寒冬により桜の開花が遅れた2024年だが、4月を迎え桜花爛漫が近づいてきた。新生活が始まるこのシーズン、企業各社は新入社員を迎える入社式で大忙しだ。そんな季節の中、電通が4月1日に新入社員入社式を開催したので、その様子をレポートしてみたい。
■2024年度のテーマは「Day One Ceremony 2024」
一風変わった入社式を行うことで知られる、国内最大規模の広告代理店、電通。2024年度の新入社員入社式は「Day One Ceremony 2024」というテーマで開催された。
本年度の新入社員は143名。彼らは21世紀に生まれた子どもたちであり、Z世代の中心であると同時に、ちょうど大学入学当初からコロナ禍の中で過ごしてきた世代となる。電通も2020年度から2022年度まで新入社員入社式をリモート開催しており、昨年からようやく会場に集まれるようになった。
電通の代表取締役 社長執行役員の佐野傑氏は、「電通は“人がほぼすべて”の会社であり、電通とはみなさん自身です。つまり、電通の未来とは、みなさん自身の未来の集合体ということです。みなさんが新しい電通の未来を作ることを、私自身も他の社員全員も、心から楽しみにし、ワクワクしています」とメッセージを贈り、電通の挑戦・変革・拡張の歴史を語った。
さらに、「我々の仕事は、人と人とが関わり合い、力を合わせ、顧客・パートナーの成長を通じてより良い社会を作っていくということですから、一番大事なことは『信頼関係』です。未来を作っていく我々は、信頼を得なければ新しいお仕事をいただくこともないし、そこから未来に進むこともできないからです」と述べ、自身の思いを続ける。
「今日から電通人になった143名は、もっとも歴史が浅く、もっともポテンシャルと可能性が大きいみなさんであり、私たちにとってすでに大切な仲間です。仲間、顧客パートナー、社会、そして自分自身に誠実に、そして思いっきり力を発揮してください。信頼や成長はおのずとついてくると信じています」(佐野氏)
そして、143名ひとりひとりが自らのユニークネスを解放し、能力を発揮しながら挑戦できる環境を整えていくこと、そして社員同士の掛け算によって新たな価値を生み、その課程でさらなる成長を実現する仕組みを整えていくことを約束した。
■新入社員がDoとBeを発表した「DAY ONE 宣言」
次に、リーダー・サブリーダー制度の説明とともに、2024年度のリーダー・サブリーダー紹介が行われる。紹介された1~20班のリーダー・サブリーダーは手を振って新入社員に応えた。
続けて、新入社員入社式のメイン企画「DAY ONE 宣言」コーナーがスタート。ステージには新入社員が「何をしたいか (Do)」と「どうなりたいか (Be)」を書き込んだボードが用意された。4名のリーダー・サブリーダーは気になった宣言を読み上げつつ、その新入社員に詳しく話を聞いていく。
真面目な宣言、面白い宣言、興味深い宣言、思わず感心してしまう宣言、意図を直接聞きたくなる宣言などをたくさんあったが、やはり書き込んでいるのは新卒のみなさん。名前を呼ばれると緊張した面持ちでステージに向かっていた。最後に「この場で宣言したい人はいますか?」と問いかけられると、少し間を置いて勇気のあるひとりが名乗り出た。143名はきっと彼のことを忘れないだろう。
■人事担当から研修に向けて3つのアドバイス
閉会メッセージを担当したのは、電通コーポレートワン 人事オフィス長の佐藤淳氏。佐藤氏は、当日から2カ月間の研修プログラムに臨む新入社員に「同期を大切にしてください」「リーダー・サブリーダーを信じてください」「今日から始まるプログラムを、業務としてしっかりと取り組んでいただきたい」という3つのアドバイスを贈り、最後に激励の言葉を掛ける。
「会社はたくさんの応募者の中からみなさんを選びました。そして、みなさんを選んでよかったと思える未来が来るように、みなさんの成長を支援します。その第一歩として、このプログラムが終わる頃、みなさんが自信を持って業務に入っていけるように精一杯サポートすることを約束します。この電通を選んだみなさん自身の選択を、誰よりもみなさん自身が信じてください。そして、電通を選んでよかったと思える未来を作っていきましょう」(佐藤氏)
こうして入社式は終わりを迎えたが、新入社員から後日感想をいただけたので、いくつか紹介しておこう。電通で仕事をしたいと考えている方は参考にして欲しい。
女性:みなさんの「Day One 宣言」がまさに143人143色で、セレモニー後につい見入ってしまいました。全員がこれから何らかの「先駆者」になると思うとワクワクします。
男性:長い会社の歴史のなかで、新入社員としてこれからの歴史を作っていけるように、「Day One 宣言」で書いたことが嘘にならないように、頑張らねばと感じさせられた。
女性:同期を大切にし、リーダー・サブリーダーの方々を信じ、社会人としての責任を持ってこれからの業務に励んでいきます。同期の「Day One 宣言」を聞くことができ、とても刺激になりました。
■リーダー・サブリーダーはなにを思った?
電通の新入社員が社会で羽ばたいていくときに重要な役割を担う、リーダー・サブリーダー。彼らは新入社員にどのような感想を抱いたのだろうか。「Day One 宣言」の司会も担当した、第3マーケティング局 CXコンサルティング2部 川畑茉衣氏、第1ビジネス・トランスフォーメーション局 DXビジネス戦略2部 奥野平太郎氏に伺ってみた。
――本日はおつかれさまでした! まずは入社式を振り返ったご感想を聞かせてください。
川畑氏:みんなすごく自分の意思だったりとか在りたい姿を描けてるんだなと感じて、刺激を受けました。自分が新入社員だった頃を振り返ると、こんなにちゃんと意識があったかなって。
奥野氏:「Do」とか「Be」も時代によって変わってきてるのかなと感じました。その時代に即して、僕たちも成長していかないと行けませんし、身が引き締まる思いです。
川畑氏:私が13年前に電通に入ったときに思い描いていた「電通でできること」と、いま新入社員のみなさんが考えている「電通でできること」は全然違いますし、すごく広がってますよね。
奥野氏:自分たちの世代よりも、会社でできることの可能性をより大きく感じていただけているのかなと思いました。
――たびたびみなさんのお話に出てきた「電通人生」とは?
川畑氏:リーダー・サブリーダー制度が物語っていると思うんですけど、本当にいろいろな人が自分の人生に関わってくるのが「電通人生」だと思っています。振り返ってみるとひとりでできる仕事はないし、いろいろな人に支えてもらって今の自分があります。自分の「電通人生」を楽しく語る人が周りにすごく多いんです。そういう人生を一緒に作ってあげられたらいいなって。
奥野氏:多種多様な業種、さまざまな仕事、いろいろなクライアントさんがいる中で、楽しく仕事ができることが「電通人生」の中で大切だと思っています。電通でなにかを達成できたとき、自分の中の「電通人生」が形作られるんじゃないかなと。いろんな人に教えてもらって、何となく自分でできるようになって成熟していくという、人の人生と同じです。
――Z世代がぞくぞくと社会にやってきていますが、どういった違いを感じますか?
奥野氏:自分の強い思いをより具現化して、外に出すのが上手だなと感じます。私たち先輩社員がそれをすくい上げていけたら、より面白い仕事ができるんじゃないかと思ったりもします。
川畑氏:余白をすごく自分なりにアレンジして使うことが上手な世代ですよね。仕事でもちょっとした余白を作って上げて、オリジナリティを出していける機会をどんどん積み重ねてもらって、自分の型みたいなものを作ってもらいたいですね。
――最後に、新入社員のみなさんに応援のメッセージをお願いします。
奥野氏:9年前、僕もあの席に座って期待とか興奮とか、ちょっとの不安とかを抱えながら聞いていたことをすごく思い出しました。新入社員のみなさんもそういう気持ちだと思うんですけど、その期待とか興奮はより大きく、不安は少しでも小さくできるように、リーダー・サブリーダーがサポートしますので、これから楽しく頑張っていければと思っています。
川畑氏:本当に早く会いたかったので、会えてすごく嬉しいです。電通はモノを売ってる会社じゃなくて、人が動いてお金をいただく会社なので、やっぱり人がすべてなんです。もうひとつ家族ができたって思ってもらえるくらいの班を作りたいと思いますし、そのために業務範囲外もサポートしていけたらいいなと思っているので、頑張ってください! 先輩を使い倒してください!
――ありがとうございました。すてきな班ができることを祈っています!