価格高騰に沸く金相場。4月2日には1gあたり1万2,130円と、またしても史上最高値を更新した。

ぶっちゃけ、ここまで価格が高騰すると新たに買うのも難しいし、残念だけど自分には縁がない世界だな……なんて諦めるのはまだ早いかも。というのも、金は意外と家庭の中で眠っていることも多いようなのだ。

  • 「買取大吉」新宿本店

ということで、今回は一攫千金……とは言わずとも、このゴールドフィーバーに少しでもあやかる方法を探るべく、大手買取専門店「買取大吉」を訪問。鑑定士の木村健一さんに話を聞いてみた!

■ベルトやボールペン、ジッポーなど、意外と身近にある金製品

  • 「買取大吉」鑑定士の木村健一さん

――金相場の高騰に注目が集まっていますが、身近な金製品って具体的にどんなものがあるのでしょうか?

金は意外といろんなものに使われています。たとえば指輪やネックレス、ピアス、ブレスレットといったアクセサリーはもちろん、昔はメガネのフレームなどにもよく使われていたので、今もお持ちになっているご年配の方も少なくないと思います。

また、昔のベルトのバックルやネクタイピン、カフスなど、ビジネスシーンで使うようなアクセサリー類にも金が使われていたりしますし、万年筆のペン先やボールペン、ジッポーなども同様です。このベルトのバックルは、販売当時は6万円くらいの価値だったと思いますが、今は約30万円以上の値がつきます。

――そもそも、なぜ昔は金製品が多かったんですか?

昔は金の価値が今よりずっと低かったので、いろんな物に使いやすかったという事情もあります。かつてはプラチナのほうが価値もあったし人気も高かったので、あまり金は重要視されていませんでした。そういうこともあって、ちょっとした小物にも普通に使われていたんだと思います。

――なるほど……。

昔は海外旅行のお土産でクルーガーコインやメイプルリーフコインを買ってくるという人も多かったですね。当時はまだ金1gあたり3,000円台だったので「ドルが余ったからコインでも買っておこう」みたいな感じで比較的、気軽に購入されていたようです。今も所持されている方は多く、持ち込みにくるお客様も目立ちますね。

■絶対に捨てちゃダメ! めちゃくちゃ多い「金歯」の持ち込み

  • カナダのメイプルリーフコイン

――他に、買取大吉にはどういった金製品が持ち込まれていますか?

やはり一番多いのは、ここにあるようなアクセサリー類ですね。続いてインゴット(延べ棒)やコイン、あとは1960~1970年代に販売された時計なども多いですね。

コインというのは、メイプルリーフコインやクルーガーランドコインだけでなく、天皇陛下の御在位60年を記念して作られた「御即位金貨」や「御成婚記念金貨」などもあります。昔はコインをそれとなくコレクションしていた人もかなり多かったようですね。

ただし、「御即位金貨」や「御成婚記念金貨」はれっきとした貨幣で、それぞれ10万円、5万円と価格も決まっていますし、溶かしてしまうと法律違反になります。また、銀行に持っていってしまうと額面通りの金額でしか引き取ってくれないどころか、手数料がかかる分、むしろ損してしまいますかので、ぜひ買取大吉のような場所にお持ち込みください。

ちなみに、取引相場だと「御即位金貨」は約33万円、「御成婚記念金貨」は約19万円となっています。

  • 天皇皇后両陛下金婚式 奉祝金メダル

――言われてみれば、祖父母の家でも金のコインのようなものが飾られていたかもしれません。

あとは意外かもしれませんが、金歯の持ち込みもかなり多いですね。

――えっ、「金歯」って歯に詰める金歯ですか?

そうです。昔はインプラントなどなかったので、虫歯になれば金歯にするのが当たり前でした。今は技術が発達し、新たに金歯を入れる人はいませんが、金歯を外してインプラントにする人はたくさんいます。そのときに外した金歯はぜひ持って帰ってください。金歯もちゃんと売れますし、売れば2gでも2万円近くになります。そのまま歯医者で金歯を捨ててしまう人も多いのですが、それだと歯医者さんが得するだけなので、かなりもったいないですね(笑)

  • 捨ててしまいがちな「金歯」も決して侮ってはいけない……

ちなみに、金は仏具などでもよく使われていて、過去には大きな金の仏像を数千万円という価格で引き取ったこともありました。昔は今よりもお仏壇にお金をかけていた家が多かったので、もしかしたら金を使った仏具も出てくるかもしれません。

■汚れていても全然OK! 金を少しでも高く売るコツ

――逆に、わかりやすく値段がつきやすい金製品はどんなものがありますか?

まずは時計ですね。特にロレックスはどのモデルも値段が上がっています。ポール・ニューマンモデルのデイトナなどは、発売当時は約30万円で販売されていたのですが、当時はデザインが斬新すぎたためあまり人気が出ず、セールで20万円くらいまで値下げされていました。それが今では5,000万円もの高値がついています。

――すごすぎる……。

時計やアクセサリーなどは金そのものの価値だけでなく、ブランド的な価値も乗っかってくるので、高い値段がつきやすい傾向にあります。たとえばカルティエ、ティファニー、ヴァン クリーフ&アーペルなども、もともと10万円くらいで販売されていたものが100万円まで値上がりしていたり。

  • 1kgのインゴット。小さくてもずっしり重い

――ちなみに、金を少しでも高く売るコツなどはありますか?

金は汚れていようが、傷ついていようが、変色していようが、価値は変わりません。発売からどれだけ時間が経っていてもいいですし、埃を被っていてもまったく問題ありません。むしろ、磨かないことで価値が維持できます。「磨く」ということは「削る」ということなので、磨いたぶんだけ金が減ってしまうんです。

あとは、今このタイミングで売ることが大事かと思います。金相場が歴代最高値(3月21日時点)を更新したので、欲を張りすぎるとこの先は危ないかもしれません。さらに価値が上がる可能性もありますが、ここ5年で金相場は3倍近く上がっているので、今売って損することはまずありません。

  • 『買取大吉』HPより参照


意外に身近なところにある金製品。使い古した金歯のように捨ててしまう前に、今一度身の回りの整理整頓をしてみるといいかも。次回は需要が高まっているという「出張買取」についてお聞きしてみたい。