お笑いコンビのくりぃむしちゅーが、地元のテレビ局・熊本県民テレビのバラエティ番組『くりぃむしちゅーの熊本どぎゃん!?』(4月12日スタート、月1回金曜19:00~ ※放送後TVer配信、10月から毎週放送)に出演する。東京で自慢できる熊本の人・モノ・場所を、10代で故郷を離れた2人が「いまの熊本、どぎゃん?(どう?)」と探っていくロケバラエティで、くりぃむしちゅーにとって初めての熊本でのレギュラー冠番組、熊本県民テレビとしても初めての自社制作ゴールデンレギュラー番組となる。

27年にわたり愛されてきた名物情報番組を終了させてスタートする、まさに社運を懸けたプロジェクトだが、どのような思いから実現したのか。それをくりぃむしちゅーはどのように受け止めて臨んでいるのか。熊本県民テレビ取締役(コンテンツ戦略担当)の平田毅氏と、番組プロデューサーの東美希氏に、熱い気持ちとともに話を聞いた――。

  • くりぃむしちゅーの上田晋也(左)と有田哲平 (C)KKT

    くりぃむしちゅーの上田晋也(左)と有田哲平 (C)KKT

単発特番で世帯視聴率24.5%を記録

熊本県民テレビとくりぃむしちゅーの関わりは、2017年にさかのぼる。前年の熊本地震を受け、くりぃむしちゅーが各地でチャリティートークライブをニッポン放送主催で行ってきたが、熊本での開催を熊本県民テレビがサポートすることに。これをきっかけに、2人が熊本を巡る特番『くりぃむしちゅーのぎゃん!行って ぎゃん!行って ぎゃん!!』が、18年10月に放送された。

今回の新番組と同様、金曜19時台に放送されたこの番組は、自社制作番組として歴代最高の世帯視聴率24.5%を獲得(ビデオリサーチ調べ・熊本地区)。「我々としても初めて大物タレントさんをローカル番組でキャスティングできた上に、このような数字を叩き出して、エポックメイキングになりました」(平田氏)といい、続編も期待したが、2人がさらに多忙を極めて頓挫していた。

そんな中、熊本県民テレビは自社制作番組の大幅改編に着手。27年にわたり放送してきた平日夕方の情報番組『てれビタ』を終了し、17時台にキー局・日本テレビの『news every.』のネットを受けることで、『てれビタ』に集中してきた制作費と人材を分散させる方針を打ち出した。

「いろんな番組を作れる局に体質を変えたいという思いがあり、若いクリエイターたちにどんな番組をやりたいかを考えてもらいました」(平田氏)という結果、上がってきたのが、「最高のキャスティングでゴールデンタイムのバラエティ番組を作る」という構想。この最高のキャスティングこそが、地元出身の大スター・くりぃむしちゅーだった。

  • くりぃむしちゅー

    (C)KKT

日テレのヒットメーカーが全面協力

このオファーや企画の成立にあたって大きな役割を果たしたのが、日本テレビ執行役員の高橋利之コンテンツ制作局専門局長。『行列のできる法律相談所』『人生が変わる1分間の深イイ話』『有吉反省会』『絶対に笑ってはいけないシリーズ』などを手がけてきたヒットメーカーで、くりぃむしちゅーとは『世界一受けたい授業』『スター☆ドラフト会議』などで仕事をしてきた。

「30代の社員による検討チームで企画を考える中で、当社の宗田英成社長(日本テレビ出身)と高橋さんのつながりから相談に乗ってもらい、最初は無理だろうという話だったんですが、昨年の秋から交渉を重ねて当たってもらうと年末には事務所さんのOKが出て、具体化していきました。“くりぃむしちゅー”に改名してから地方で冠番組を持つのが初めてということもあり、高橋さんも入れ込んで全面協力してくださり、実現につながりました」(平田氏)

東氏は「念願のくりぃむしちゅーさんと番組をすることができて、社内は本当に信じられないという感じでした」と振り返るが、さらに、地元出身のバンド・WANIMAがテーマ曲を書き下ろすことも決定。平田氏は「我々が想定していたよりも、もっとステージが上がってくという、なかなかない経験をしているところです」と心境を打ち明ける。