スタジオで見守る自身の役割を、「思いを寄り添わせることしかできない」と謙そんしながら、「上出さんと(北山)流川さんが作ってくださったこの“装置”的なものは、本当に後世に残すべきだと思うんです。だからスタジオに僕がいなくても、むしろVTRを見守る人がいなくても成立するような番組になっていったらいいなと強く思います」と希望する斎藤。

これに対し、北山氏は「僕も特番の最初で“こどもディレクター”になったのですが、それを放送で見たら、スタジオの斎藤さんとYOUさんがすごく優しい表情で見守ってくれ、温かい言葉をかけてくれて安心感がものすごくあったんです。それが自分としても大きくて、“こどもディレクター”の皆さんにとっても心強いと思うので、これからもいてください(笑)」と懇願。

上出氏も「この番組の1つの特異性は、我々スタッフはもちろんディレクターだし、カメラを渡された人もその瞬間からディレクターだし、見守る斎藤さんも映像の監督をされるディレクターなので、こんなにディレクターだらけの番組って相当変で、相当面白いんです(笑)。また、斎藤さんの反応を見て“そこか!”と気付かされることもある。“常にお茶の間のテレビがついているところがリアル”と言ってくれたのですが、今までの番組だったらそのシーンは“これ切っちゃう?”ってなるところなんですよ。そうやって新しい目線を持ってくださることで、僕らもスリリングな経験ができるので、映像をやりたい人の教科書的な役割を担うかもしれないし、斎藤さんには末永くいていただきたいと思います」と願った。

  • 上出遼平氏(左)と北山流川氏

あふれる才能に溺れそうになる

俳優業に監督業、プロデューサー業と多忙な日々を送る斎藤は、この番組が英気を養う場にもなっている様子。

「切迫してくると、自分の半径だけでしか物事が動いていないような気がしてくると同時に、情報が多すぎて自分の時間のキャパをオーバーしてしまうようなことを、ここ数年ものすごく実感しているんです。でも、この番組で人様の当たり前に動いている時間というものに触れることで、僕自身に色づく何かをもらっているのを感じます。

 それに、上出さんと流川さんのあふれる才能に、たまに溺れそうになるんです(笑)。彼らや番組のディレクターさんたちが“こどもディレクター”と触れ合って全力でサポートして、守るべきものを守りながら一緒に作品を作っていく姿を目撃できるというのは、すごく贅沢だなと思っています」

ちなみに、自身が“こどもディレクター”を務めることになったらどうするかを聞かれた斎藤は「一番カメラを向けたくない場所に向けてみるところから始めると思います」と回答。

「誰かの言っていた言葉で“あなたが求めているものは、あなたが避けているものの中にある”というのがあって、そこにつながると思っているんです。この仕事をしていると、どこかで擦りむいて、そのかさぶたみたいなところが唯一の成長の伸びしろなのかなと思っていて。上出さんや流川さんというそれを背中で見せてくれる人たちと、この番組で一緒に“乗組員”になれていることで大きな影響を受けています」と、映像クリエイターとして刺激になる番組になっているようだ。

  • 4月3日放送の初回放送より