2024年2月15日、三菱自動車の新型ピックアップトラック「トライトン」が発売された。新型トライトンはタイで生産され、タイから日本に輸入される1ナンバー登録の2.4L直4ディーゼルターボ車である。価格は498万800〜540万1000円。
先行受注では、上級のGSRグレードが約9割と人気で、ボディカラーはホワイトダイヤモンドが32%とトップ。次いでヤマブキオレンジメタリック(以下ヤマブキオレンジ)が27%となっている。ヤマブキオレンジはGSRだけに設定されている新規カラーで、テレビCMやカタログなどに登場する訴求色となっている。そんなヤマブキオレンジのカラーについて、デザイン本部プログラムデザインダイレクターの吉峰典彦氏に話を聞いた。
■ヤマブキオレンジの開発のいきさつ
「じつは先代のトライトン(日本未発売)でもサンフラワーオレンジというボディカラーがありまして、ピックアップのお客様がオレンジを好まれるという趣向性はあったのです。ただ、4〜5年前までは、赤みがかったオレンジが多くて、今回はGSRとのカラーマッチングで、黒い部品とオレンジの色を合わせるために、わざと黄色みに振りました。私たちはデザインしているときに蜜蜂やバンブルビー(マルハナバチ)といいながらデザインしていたのですが、イエローオレンジメタリックとブラックメタリックのコンビネーションを意識しながら開発しました。他車よりもメタリックフレークを増やしているので立体感があり、角度によって見え方が違うので、狙いどおりの調色をするのに開発の初期段階から開発に苦労した色になります」
■最初からオレンジ系の色を導入しようと決めていた?
「開発当時からカラーラインアップを考えていくなかで、候補の1つとして最初からあって最後まで残ったということですね」
■ヤマブキオレンジのネーミングは日本語にこだわった?
「ヤマブキというのは花の『山吹』なんですけれども、それが海外だと何なの?と思われることもありますが、生産国のタイを含むASEAN地域では日本語のバリューがかなりあります。ですので、当初からカラーデザイナーが“ヤマブキオレンジ”という名前でずっとプレゼンテーションしていたのを商品企画担当の増田(義樹氏、チーフプロダクトスペシャリスト)を含めてこのまま行こうと。加えて、ヤマブキという花は日本に昔からある古花で、その意味や由来を調べると発色がよくて美しく、高貴な色として扱われてきたというところもありまして、日本で発売するときも他地域で販売するものと同様にこのネーミングを採用することになりました。カラーデザイナーがイメージを伝えるためにプレゼンでずっと使用していたものが、そのまま市販車のカラー名になりましたね」
日本で古来から美しい花とされてきたヤマブキをモチーフにしたヤマブキオレンジメタリック。日本語の名前が世界に飛躍する。
〈文=ドライバーWeb編集部〉