パリ市内でも存在感を増す英国車|MGがレトロモービルで100周年を祝う

ここのところパリ市内でも、数多くのMGを見かける。もちろん上海汽車傘下の現代のMGである。そのMGは1924年に誕生した(1923年という説もあり)ことから100周年を祝う大々的名な展示をレトロモービルでおこない、イギリスのブリティッシュモーターミュージアムの車両とフランスのMGオーナーズクラブの車両を展示した。

【画像】MG100周年を祝う展示ともあいまって、英国車が輝いた今年のレトロモービル(写真26点)

MGの車がここフランスで一堂に見られるのは珍しいことだ。もちろん往年のMGだけではない。今年フランス国内で販売予定の2シーターEVのサイバースターも展示した。レトロモービルは往年の車達だけではなく新車発表の場としても使われはじめている。

MGは戦前からレースに参加しているスポーツカーブランドで、イギリスのライトウェイトスポーツの世界を作り上げた立役者の一人だ。展示は1925年のMG Old Number Oneから始まる。MGの最初のプロタイプでいわゆるプロトタイプレーシングスポーツカーであり、いくつかのロンドン周辺のレースで勝利を収めている。この勝利がMGをカーブランドとして歩ませるきっかけとなったのだ。

MGは戦前から陸上での最高速度の記録を狙った。1939年に製造され1952年まで記録を作りながらチャレンジしていたEX135。すぐに敵対することになるドイツでメルセデスやアウトウニオンから空力の協力を得たのはおもしろい。MGとして最後の記録を打ち立てたEX181もここレトロモービルに展示された。

海を渡ってきたのはMGだけではなかった。同ミュージアムから1964年にモンテカルロラリーで優勝した1963年製モーリスMINI クーパーSもやってきたのだ。

こうなると会場内での英国車への関心が高まる。会場を見回すとロンドン近郊にショールームを持つ上質なヴィンテージカーを扱うフィスケンズのブースに目がとまった。Ecurie Ecosseカートランスポーターだ。2013年にボナムスのオークションで落札されたのが話題となったが、ここで再び販売されるのだ。おなじフィスケンズのブースにはハイブリッドの現代のスポーツカーAston Martin Valkyrieも販売中。1968年ヨッヘン・リントがドライブしたブラバムBT26も販売。会場の片隅にはイギリスからの出展でスーパーチャージャー付きMG J2もお目見え。

気がつけばシトロエンとプジョーのメーカーブースがなく、その場所を英国車が飾っていた。英国車一色と言うほどではないが、英国車が輝いた今年のレトロモービル。そんな気がして今回は紹介してみた次第である。次回はメインスポンサーであるアーキュリアルのオークションとバイクを紹介する予定です。

写真・文:櫻井朋成

Photography and Words: Tomonari SAKURAI