プロ野球 最新情報
プロ野球の世界で活躍する選手の中には、高校時代に強豪校で圧倒的な活躍を見せていた選手が多くいる。一方で、野球では名の知れていない高校から鍛錬を積み、プロで一流に駆け上がった例も多くある。ここでは、一線級の活躍を続ける無名校出身の現役選手を紹介したい。
千賀滉大(ニューヨーク・メッツ)
・投打:右投左打
・身長/体重:185cm/92kg
・生年月日:1993年1月30日
・経歴:蒲郡高
・ドラフト:2010年育成ドラフト4位
福岡ソフトバンクホークスで結果を出したのちに、メジャーリーグの舞台へ渡った千賀滉大。野球界では無名の高校を出た1人だ。
千賀は、愛知県立蒲郡高に入学後、監督の意向もあり投手へ挑戦。2年夏からエースとなった。3年夏の愛知県大会では、初戦で9回5失点の力投。チームを勝利に導いたが、次戦は先発せずにチームは敗れた。
目立つ実績は残せなかったが、素質を見抜いたスポーツ用品店の店主が、プロスカウトに千賀を推薦。ドラフト会議でソフトバンクから育成4位指名を受け、プロの門を叩いた。
高卒2年目に支配下契約を勝ち取ると、翌2013年はリリーフとして51試合に登板し、18ホールドポイント(1勝4敗1セーブ17ホールド)、防御率2.40をマーク。27試合連続無失点を記録するなど、安定した投球を見せた。
2016年には先発へ転向し、12勝をマーク。翌年にも13勝を記録し、初の主要タイトルとなる最高勝率(.765)を獲得した。
その後も2020年に投手三冠(最多勝・最優秀防御率・最多奪三振)に輝くなど躍進を続け、NPBで7年連続の2桁勝利を収めるなど、球界を代表する投手となった。
昨季からはニューヨーク・メッツの一員となり、メジャー1年目で12勝をマークした千賀。今季はサイ・ヤング賞候補にも名前が挙がるなど、その投球にさらなる注目が集まる。
佐藤輝明(阪神タイガース)
・投打:右投左打
・身長/体重:187cm/93kg
・生年月日:1999年3月13日
・経歴:仁川学院高 - 近畿大
・ドラフト:2020年ドラフト1位
阪神の”左の大砲”として活躍する佐藤輝明も、出身高校は強豪校ではなかった。
仁川学院高では、2年春から4番打者として活躍した佐藤。最後の夏は兵庫県大会初戦で敗れたが、高校通算20本塁打を放つなどのパンチ力を示した。
高校卒業後は近畿大に進むと、2年春から3季連続でベストナインを獲得。3年秋と4年秋にはMVPを受賞し、関西学生リーグ新記録の通算14本塁打を放った。その後、ドラフト1位で阪神タイガースに指名され、プロ入りを果たした。
大卒1年目から開幕スタメンに名を連ね、開幕2戦目にはプロ初本塁打を記録。シーズン後半は打撃不振に陥ったが、最終的に打率.238ながら24本塁打、64打点を記録した。
翌2022年は全試合出場を果たし、打率.264、20本塁打、84打点をマーク。昨季も24本のアーチを描き、チームのリーグ優勝・日本一に貢献した。また、左打者では初となるルーキーイヤーから3年連続20本塁打を達成した。
今シーズンは”プロ通算100号”の達成が期待される佐藤。2年連続の日本一になるためにも、佐藤の活躍は必須と言える。
中島宏之(中日ドラゴンズ)
・投打:右投右打
・身長/体重:180cm/90kg
・生年月日:1982年7月31日
・経歴:伊丹北高
・ドラフト:2000年ドラフト5位
メジャーリーグにも挑戦し、今季から中日ドラゴンズでプレーする中島宏之は、地元の県立高校から躍進した。
兵庫県立伊丹北高では1年時からレギュラーを獲得し、3年時には投手も務めた。甲子園には縁がなかったが、高校通算43本のアーチを描き、ドラフト5位で西武ライオンズからから指名を受けた。
プロ入り後3年間はファームが主戦場だったが、松井稼頭央のMLB移籍に伴い、2004年から正遊撃手に抜擢された。
2008年には打率.331、21本塁打、出塁率.410をマークして最高出塁率のタイトルに輝くと、翌年には最多安打(173本)と、2年連続の最高出塁率(.398)を獲得した。
2013年にはメジャー挑戦を決断したが、開幕前に負傷離脱。翌年も結果を残せず、2年間でメジャー昇格を果たせなかった中島は、2015年にオリックス・バファローズでNPBへ復帰した。
オリックスで4年間プレーしたのちに、2019年からは読売ジャイアンツでプレー。勝負強い打撃を武器に一定の成績は残したが、昨季はけがの影響もあって出場機会が減少。同年オフに戦力外通告を受け、中日へ移籍した。
通算1000打点まで残り「6」と迫っている中島。記録達成だけでなく、持ち前の勝負強さでチーム浮上のきっかけを作りたい。
岸孝之(東北楽天ゴールデンイーグルス)
・投打:右投右打
・身長/体重:180cm/77kg
・生年月日:1984年12月4日
・経歴:名取北高 - 東北学院大
・ドラフト:2006年希望入団枠
プロ18年目を迎えるベテラン・岸孝之は、地元の宮城県立名取北高を出ている。
名取北高では2年夏からエースとなったが、同じ宮城県内の強豪・東北高に高井雄平(元ヤクルト)がいたことも相まって、注目度は高くなかった。しかし、3年夏の宮城県大会では、初戦で5回参考記録ながらノーヒットノーランを達成。能力の高さを見せていた。
高校卒業後は、東北学院大に進学。4年時には東北福祉大のリーグ戦35連覇を阻止し、18年ぶりの春季リーグ優勝に大きく貢献。ドラフト会議では、希望入団枠で西武ライオンズに入団し、プロ入りの切符を手にした。
ルーキーイヤーから11勝7敗、防御率3.40の成績を収めると、翌年にも12勝をマーク。2014年にはプロでもノーヒットノーランを達成し、最高勝率(.765)を獲得した。
その後、2016年オフにFA権を行使し、東北楽天ゴールデンイーグルスへと活躍の場を移すことに。
移籍初年度は2桁勝利を逃すも、翌年には11勝4敗、防御率2.72で最優秀防御率のタイトルを獲得した。それ以降はシーズン2桁勝利にこそ届いていないが、昨季はNPB史上51人目となる通算150勝を達成。また1つ、大きな記録を作った。
チーム最年長のベテランだが、今季も衰え知らずの投球で3年ぶりの規定投球回到達、2018年以来となる2桁勝利も視野に入れたい。
宮﨑敏郎(横浜DeNAベイスターズ)
・投打:右投右打
・身長/体重:172cm/85kg
・生年月日:1988年12月12日
・経歴:厳木高 - 日本文理大 -セガサミー
・ドラフト:2012年ドラフト6位
佐賀県立厳木高出身の宮﨑敏郎。現在は、セ・リーグを代表するヒットメーカーとなっている。
厳木高では1年春からベンチ入りし、2年夏からはエース兼4番打者とチームの中心に。佐賀県大会を勝ち進むことはできなかったが、高校通算24本塁打を放つなど、好打者の片鱗を見せていた。
日本文理大に入学後は、野手に専念。首位打者2回、MVP3回、ベストナイン3回を受賞するなど結果を残し、大学卒業後は社会人野球のセガサミー入りを決断。
入社2年目の第83回都市対抗野球大会では、初戦で逆転満塁本塁打を記録。大舞台での活躍も評価され、2012年ドラフト6位で横浜DeNAベイスターズへの入団を果たした。
プロ1年目は、デビュー戦で本塁打を含む3安打猛打賞と鮮烈デビュー。翌年は5試合の出場にとどまったが、その後は徐々に成績を伸ばした。
2017年には初の規定打席に到達し、打率.323をマークして首位打者を獲得。翌年以降も広角に打てる技術を駆使し、昨季はキャリアハイとなる打率.326で2度目の首位打者に輝いた。
今シーズン、6年契約の3年目を迎える宮﨑。”生涯横浜”を宣言しているヒットメーカーの活躍は、チームの優勝に欠かせない。
石川歩(千葉ロッテマリーンズ)
・投打:右投右打
・身長/体重:186cm/80kg
・生年月日:1988年4月11日
・経歴:滑川高 - 中部大 - 東京ガス
・ドラフト:2013年ドラフト1位
一時は千葉ロッテマリーンズのエースとなった石川歩。投手タイトルを獲得したこともあるが、高校時代に目立った実績は残していない。
富山県立滑川高で3年夏にエースとしてチームを牽引したが、3回戦で敗退。中部大では4年春に最優秀防御率のタイトルに輝くと、その後は社会人野球の東京ガスへと進んだ。
入社後2年間は思うような結果を残せず、ドラフト指名漏れも経験。しかし、入社3年目に第84回都市対抗野球大会で大会優秀選手に選ばれるなど飛躍し、2013年ドラフト1位でロッテに入団した。
ルーキーイヤーから10勝を挙げて新人王を獲得すると、翌年にも12勝をマーク。さらに、2016年には14勝5敗、防御率2.16の好成績で最優秀防御率に輝くなど、チームの主戦格となった。
しかし、2017年は3勝11敗、防御率5.09と大きく成績を落とすと、その後もけがの影響を受けて苦しいシーズンが続いた。
昨季は自身初の一軍登板なしに終わり、同年10月に右肩のクリーニング手術を敢行。オフには育成契約へ移行することとなった。
復活に向け、リハビリを続ける石川。かつての輝きをもう一度取り戻せるのか、注目だ。
【了】