ヒューリック杯第95期棋聖戦(主催:産経新聞社、日本将棋連盟)は二次予選が大詰め。2月15日(木)には第5ブロック決勝の三浦弘行九段―三枚堂達也七段戦が東京・将棋会館で行われました。対局の結果、相掛かりの空中戦を79手で制した三枚堂七段が自身初となる決勝トーナメント進出を決めました。

最後の1枠は誰に

振り駒で先手番を得た三枚堂七段は相掛かりに誘導します。角道を開ける手を保留して右桂の活用を急いだのが用意の作戦で、実戦はこの桂をめぐる攻防から早くも戦いに。後手の三浦九段は3筋の歩突きから桂頭攻めを開始、同筋に飛車を回って攻勢を取りました。

三枚堂七段も軽妙な受けで応じて競り合いは一段落。直後に後手が放った自陣角は飛車取りですが、ここから三枚堂七段は華麗なさばきでリードを奪います。強く飛車取りをかけ返したのがその手始めで、飛車打ちに弱い後手が取り合いに持ち込めないのを見越しています。

変幻自在の指し回し光る

ギリギリの利かしを入れた三枚堂七段はようやく飛車を退避。手番を握った三浦九段も反撃に転じますが、三枚堂七段はここから一転して丁寧な受けで優勢を確立しました。自陣に作られた成桂を一歩一歩追いかけた局面は、先手玉に対する嫌味が一切なくなっています。

終局時刻は16時12分、最後は攻防ともに見込みなしと認めた三浦九段の投了によって三枚堂七段の勝利が決定。投了図では後手からの攻めが切れて反撃が続かない形でした。この結果を受け三枚堂七段は自身初となる決勝トーナメント進出を決めています。

水留啓(将棋情報局)

  • 三枚堂七段は公式戦の連敗を3でストップ(未放映のテレビ対局除く)

    三枚堂七段は公式戦の連敗を3でストップ(未放映のテレビ対局除く)