作詞の林 古渓が少年時代を過ごした辻堂
鉄道の発車メロディは、その地域ゆかりの作曲家やアーティストによる楽曲であったり、舞台となった映画やドラマ、アニメの主題歌などが使用されています。
湘南エリアにある駅の発車メロディは、サザンオールスターズの桑田佳祐さん出身ということからJR茅ヶ崎駅では「希望の轍」を採用しているのが有名ですが、お隣の辻堂駅の発車メロディが、『浜辺の歌』なことにお気付きでしょうか。
「あした浜辺をさまよえば 昔のことぞしのばるる」という歌詞で始まるこの曲は、中学校の音楽教材に長年使用されており、多くの人に馴染みがあるはず。
『浜辺の歌』の作詞をした林 古渓(はやしこけい)は、少年時代を辻堂で過ごしたことから、辻堂海岸を思い出してその歌詞を書いたと言われており、2016年に、辻堂駅開設100周年事業の一環で、NPO団体を中心に署名活動をするなどして発車メロディに採用されました。
『浜辺の歌』は、1913年、雑誌に『はまべ』というタイトルで発表され、1918年に『浜辺の歌』と改題し出版。その後、1967年にはNHKみんなのうたで放送され、2007年には「日本の歌百選」に選定されるなど、長い年月日本で愛されている楽曲です。
そんな『浜辺の歌』の作詞場所は、一体どんな場所なのか、筆者が実際に行って来ました!
辻堂駅南口から海へ向かって2km程歩くと、辻東海岸に着きます。
地元の方々のお散歩スポットでもあり、穏やかな波の音を聞きながらのんびり歩いている人や、サーフィンを楽しむ人、学校帰りの子どもたちの姿も。
そこに、「『浜辺の歌』作詞場所」と書かれた看板が設置されています。
そこには、こう書かれています。
「浜辺の歌」の作詞者である林 古渓の父、三郎は、羽鳥学校で教鞭をとっていた。幼少の古渓は父母に連れられて、辻堂海岸へ防風と松露を取りき来た際、辻堂東海岸の砂山の高台より相模湾を眺めた。右に富士の麗峰、伊豆の山々、沖に煙たなびく大島、左望めば房総半島、手前に三浦半島、近くに江の島を見て、足元の渚にはこれまた美しきピンク色のさくら貝を見た古渓は、この一大パノラマが脳裏に深く焼き付き、三十数年後の大正二年、京北中学校教師在任中、辻堂海岸を想い浮かべて「浜辺の歌」を作詞した。
その後、成田為三が作曲し、今なお日本の名歌として親しまれ謳われている。
郷土史家 大石 靜雄(文責)辻堂郷土資料研究会平成二十一年三月二十五日辻堂海岸一丁目町内会 二丁目町内会 三丁目町内会 四丁目町内会
穏やかな辻堂東海岸の浜辺は、晴れた日には西側に房総半島と江の島、東側には伊豆半島と富士山という、林 古渓が少年時代に訪れた時と変わらないであろう美しい風景が、今も変わらずに広がっていました。
湘南の海と言えば夏のイメージが強いですが、温暖な気候のエリアなので、冬晴れの日はポカポカと日差しが温かく、人も少ないので、実はおすすめのシーズン。
『浜辺の歌』の作詞の場所などの穴場スポットや、空気の澄んだ季節にこそ、より美しさの際立つ景色や夕日を見に訪れてみては?
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施設紹介
【浜辺の歌 作詞場所】■住所:〒251-0045 神奈川県藤沢市辻堂東海岸4丁目18
アクセス
JR辻堂駅南口から約2㎞小田急線鵠沼海岸駅から徒歩約21分
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