藤井聡太王将に菅井竜也八段が挑戦する第73期ALSOK杯王将戦七番勝負(毎日新聞、スポーツニッポン新聞社、日本将棋連盟主催)は第2局が1月20日(土)・21日(日)に佐賀県三養基郡の「大幸園」で行われました。対局の結果、三間飛車対居飛車穴熊の対抗形を113手で制した藤井王将が連勝して防衛に前進しました。

菅井八段の工夫

藤井王将先勝で迎えた本局は菅井八段の後手三間飛車でスタート。囲いを美濃囲いで済ませて石田流の攻撃陣構築を優先したのが開幕局との違いです。先手の藤井王将が居飛車穴熊に組んで臨戦態勢に入ると、仕掛けを探る両者による長考合戦が始まりました。

菅井八段が5筋の歩突きを保留しているのは先手からの歩交換を警戒した工夫の駒組み。素直に一歩交換を許すと居飛車側からの攻め幅が広がるため振り飛車側も反発を求められます。実戦はこのあと7筋で歩がぶつかって戦いが始まりました。

模範的な振り飛車破り

歩の取り込みを許した菅井八段は左桂の活用で応戦。角桂の協力で中央突破を狙った積極策でしたが、本局はここから藤井八段の対応が光りました。軽快な角の転換で桂成りを防いだのが藤井王将の封じ手。菅井八段は局後、この周辺に誤算があったことを明かしました。

首尾よく仕掛けを得た藤井王将は手に乗って大駒の活用に成功。「と金の遅早」の格言通りの垂れ歩が間に合って居飛車優勢が確立されました。終局時刻は15時26分、自玉の受けなしを認めた菅井八段が投了。投了図で先手陣はほぼ無傷の4枚穴熊が残った状態でした。

菅井八段の先手番で迎える第3局は1月27日(土)・28日(日)に島根県大田市の「国民宿舎さんべ荘」で行われます。

水留啓(将棋情報局)

  • 藤井王将は局後「自玉が安定した形で戦いを起こせたことでペースをつかめた」と振り返った(提供:日本将棋連盟)

    藤井王将は局後「自玉が安定した形で戦いを起こせたことでペースをつかめた」と振り返った(提供:日本将棋連盟)