三井住友カードはこのほど、データ分析支援サービス「Custella」を活用し、同社が保有するキャッシュレスデータをもとに、訪日外国人の消費動向について分析したレポートを作成し、発表した。
本レポートは、2023年11月末までの外国人によるクレジットカードの決済データから、支出内容などを勘案し、訪日外国人による決済データを抽出。そのデータを、時系列・国籍別・決済地域別・業種別などに細分化して整理・分析した。なお、三井住友カードのデータのみを分析したものであるため、実態の傾向とは異なる可能性がある。また、本レポートの考察は同社の独自の想定見解であり、確定事項ではない。
決済額月次推移
訪日外国人による決済額は、2022年10月の水際対策緩和後に急回復し、2023年の後半にコロナ禍前の2019年の水準に回復。2023年は新型コロナウイルスの5類移行や円安による追い風、さらに8月に中国政府による日本への団体旅行解禁といったイベントもあり、引き続き決済金額が伸長している。
決済地域別
2023年の決済額をコロナ禍前の2019年と比較すると伸長率に差がみられる。東北・中国・四国などではコロナ禍前の水準を上回っている一方、近畿・中部・北海道などの回復に遅れがみられる。県別にみると、都市部に比べ、地方部において決済額の伸長が顕著となった。
コロナ禍前と比較すると、中国人観光客による決済額の構成比は全国的に縮小している。地域別にみると、コロナ禍前の東北地方における構成比は他地域より低く、近畿地方は比較的高い水準となっている。東北地方の2023年1-11月における決済額は、2019年同期比で55%増とコロナ禍前の水準を大きく上回っているが、中国人観光客の決済額の構成比は、各地域の回復率に影響を与える要因の1つと考えられる。
国別の決済額構成比
コロナ禍前の2019年には決済額全体の6割程度を中国人観光客が占めていたが、2023年は2割程度の水準に縮小した。中国人観光客以外に着目すると、各国コロナ禍前と比較して構成比は伸長傾向にある。決済額が上位の国を見ると、アメリカや台湾をはじめ、各国の構成比が2倍前後の水準となった。
決済額上位国の金額推移
決済額の上位5か国の金額指数推移をみると、中国人観光客以外は各国とも2019年の水準を超えており、2023年後半も引き続き右肩上がりの傾向となっている。中国人観光客による決済額は緩やかに回復しているものの、2023年11月時点においてコロナ禍前の3割強の水準となっており、今後の回復が期待される。
決済業種別
2019年と比較すると、百貨店や家電量販店などの業種で決済金額が減少。一方、ホテル・旅館や飲食店・レストランといった観光で利用される業種の決済額が伸長している。コロナ禍前に注目を集めていた「爆買い」などのキーワードに代表されるモノ消費から、コト消費へと訪日外国人の需要がシフトしてきているとみられる。