『Octane』UKスタッフによる愛車レポート。今回は、1968年 フォード・マスタング GT390に乗るジェシー・クロスがタイヤ選びに悩む。なぜなら彼にとってのタイヤ選びは「見た目」も重要な要素のひとつだからだ。
クラシックカーをレストアする際に最も難しいことのひとつは、適切なタイヤを見つけることだ。サイズやタイプが正しいだけでなく、見た目も大切。戦前や戦後初期のクラシックカーともなると、マニア向けにオリジナルパターンのタイヤが現代でも製造・販売されていることはよくあるが、20世紀中〜後半の車となるとそうとも限らない。ホイールサイズが大きくなったため、適切な幅と形状で、そして時代を感じさせてくれるトレッドパターンを持つタイヤを見つけるのはなかなか難しい。
私のマスタングGT390の場合、さらに難しい挑戦となった。1960年代のアメリカでは、タイヤの寸法が現在とは異なり、ブリット・マスタングは標準の14インチ鋼鉄リムとハブキャップの代わりに15インチのアメリカン・レーシング・エクイップメント・トルク・スラスト・ホイールを装備していた。
そこで、ブリット・マスタング界の最高峰の人物であるデイブ・クンツからヒントを得ることにした。彼は最も有名なブリットレプリカのひとつを作った人物だ。デイブは「How to Bullitt your Mustang」という非常に有益な記事を書いている。
デイブは、実際に劇中で使われたタイヤはプロトタイプのブラックウォール・ファイヤーストーン・ラジアルだったと指摘し、GR70-15が適切なサイズだと考えている。そして現代に代替品として用いることができるのは、225/70 R 15だと言っていた。さらに色々と自分でも研究してみた結果、タイヤを実際に履かせるまでには、まだ少し道のりがあることがわかった。デイブは、ボディシェルに干渉しないために215/65 R 15を推奨している。
問題は、適切なサイズで見た目も良く、英国で入手できるものを見つけることだった。
ロングストーン・タイヤショップはマスタングについて熟知しており、デイブと同じサイズを提案した。これには、すでに私のリストにあったBFグッドリッチ・ラジアルT/Aも含まれていた。しかし、私は見た目にこだわっており、グッドリッチのトレッドパターンは理想的ではなかった。まあ、とはいえ、完全におかしいというほどでもない。グッドリッチがダメだとしたら、唯一の代替案は、Cokerタイヤのファイヤーストーン・ワイド・オーバル・ラジアルだった。これは時代を反映したものではあったのだが、この地域では在庫切れのようだった。しかも入手可能だとしても、一本500ポンド以上もするという。
ロングストーンは、合わなければ返品できるという条件で、グッドリッチタイヤを供給してくれた。取り付けてクリアランスを確認するまでには時間がかかったが、特に問題もなかったので、各タイヤ155ポンドで残りの3本を注文した。
私は、本物らしい見た目をより追求するためにホワイトウォールの文字を内側に隠して取り付けたのだが、なかなか良い感じである。
タイヤはこれでとりあえずいいとして、今後はまずフロントのライドハイトを調整する必要がある。オリジナルのスプリングにもかかわらず、ノーズが高いのだ。それからインテリアにも取り掛からねば…
文:Jesse Crosse