帝国データバンクは、2023年までに発生した「建設業」の倒産動向に関する調査・分析結果を1月10日に発表した。同調査は2023年12月31日までの期間、負債1000万円以上法的整理による倒産した企業を対象にしている。
2023年に発生した建設業者の倒産件数は「1,671件」で、前年比+38.8%と急増した。増加率が30%を超えるのは2000年以降では初めてであり、リーマン・ショック期にも見られなかった高い水準に。8年ぶりの1,600件超えとなり、2019年(1,414件)を上回り、2014年以降の10年間では2番目の多さになった。
負債総額は1,857億300万円で、前年比+52.5%の大幅増になった。大手パチンコチェーン「ガイア」のグループ会社で、同社の店舗建設を担っていたMG建設(負債214億5,000万円)とガイア・ビルド(負債155億1,600万円)が全体を押し上げたが、この2社を除いて1件あたりの平均負債額は「8,900万円」である。
調査によると、倒産急増の背景には、資材の高騰と人手不足などに伴う「建設コストの上昇」が挙げられるという。施主に対しての価格交渉が難航するなど、請負単価が上がらない中で資材高騰の局面が続き、元請け、下請けともに収益力が低下。
さらに人手不足の問題は、工期の延長も引き起こしているという。完工時期が後ズレすることで、元請業者による下請業者への支払延期要請も多く、孫請け以下の工事に関係する業者全体の資金繰りにも影響。
つなぎ融資を調達しようにも、コロナ禍でのゼロゼロ融資の導入などによって借入余力が小さい業者も多く、受注は確保できているにも関わらず、支払い先行で手元現金がショートする「黒字倒産」も見られたとのこと。
2023年の建設業者の倒産を地域別にみると、「北海道」は前年比210.0%増の62件だった。「九州」は50.5%増の158件となり、過去10年で最多となった。同調査では、「コロナ禍で業績や財務が悪化していたところからの急回復で、資金繰りが追いつかない業者の倒産が増えている」と考察している。