第82期順位戦C級1組(主催:朝日新聞社・毎日新聞社)は、9回戦全15局の一斉対局が1月9日(火)に各地の対局場で行われました。このうち、名古屋将棋対局場で行われた高橋道雄九段-服部慎一郎六段戦は75手で服部六段が勝利。8勝0敗と全勝をキープして単独首位の座を守りました。
絶好調の服部六段
8回戦を終えた段階で7勝0敗の服部六段、6勝1敗の斎藤明日斗五段と古賀悠聖五段が上位集団を形成。3つの昇級枠を30名強で争うC級1組、9勝1敗で4名が並び頭ハネが生じた昨年のことを思うとどの対局も負けられない大一番です。
さて本局、後手となった高橋九段がカニ囲いの構えを優先したのは独特の序盤戦術。横歩を取らせる代償に角を打っての反撃を用意しています。実戦は服部六段も堂々とこの誘いに乗って飛車角交換の力戦模様に進展。盤上はじっくりとした駒組みに移りました。
盤上制圧で全勝キープ
自玉を矢倉に収めた先手の服部六段は二枚の角を活用して徐々にポイントを稼ぎます。自陣中央へのと金作りを防ぐために自陣に角を投入したのは過剰防衛のように見えても最善手。歩切れの後手が8筋に眠る飛車を活用できない点を見越しています。
終局時刻は16時50分、形勢の開きを認めた高橋九段が投了。中盤戦ながら、後手からは有効な指し手が難しい局面でした。これで勝った服部六段は8勝0敗で首位をキープ。また古賀五段は勝利、斎藤五段は敗北と上位陣に動きのあった一日となりました。
水留 啓(将棋情報局)