MS&ADインターリスク総研は12月12日、「人的資本調査2022」における回答データの統計的な分析を行い、結果を発表した。調査は2022年9月8日〜12月2日の期間、280社(上場232社、非上場48社)を対象に行われた。
まず、同調査の分析においては、回答があった280社(上場232社、非上場48社)のうち、分析対象とした項目に欠損がなかった184社を使用している。
人的資本調査の項目は、「人材版伊藤レポート2.0」(経済産業省)や「人的資本可視化指針」(内閣官房)で推奨される人的資本の取組み内容を参考に、大項目・中項目・小項目を作成。企業の人的資本に関する取組み水準を項目ごとに4段階でスコア化出来るように設計されている。
分析では、スコアにより高群・中群・低群に回答企業を分類のうえ、企業業績の指標である「従業員1人当たりの営業利益額」(調査回答時点の直前決算期)との関係性を探った。
その結果、最も取組み水準の高い「高群」は、他の2群と比べて1人あたり営業利益が3倍程度高く、統計的にも有意な差であることが示された。
一方で、従業員規模や業種による分類では1人あたり営業利益に有意な差は見られなかった。
このことから、人的資本の取組みをある程度実践すれば結果が出るものではなく、一定以上の高い水準に至らなければ企業業績に影響を及ぼさない可能性が示された。