テレビ朝日系ドラマ『家政夫のミタゾノ』(毎週火曜21:00~)第6シリーズも、いよいよきょう5日で最終回。女優の黒木瞳がメインゲストとして登場する最終回の注目ポイント、そして“ミタゾノらしさ”が詰まった第6シリーズの魅力を、放送前の取材会でのキャストコメントと共に振り返っていく。

  • 『家政夫のミタゾノ』主演を務める松岡昌宏=テレビ朝日提供

    『家政夫のミタゾノ』主演を務める松岡昌宏=テレビ朝日提供

■『家政夫のミタゾノ』第6シリーズ最終回

同作は女装した大柄な家政夫の“ミタゾノさん”こと三田園薫(松岡昌宏)が、派遣された家庭・家族の内情を覗き見し、そこに巣くう根深い汚れまでもスッキリと落としていく、痛快覗き見ヒューマンドラマシリーズ。2016年10月クールにテレビ朝日の金曜ナイトドラマ枠でスタートした同作が、今回の第6シリーズで初めてゴールデン帯へ進出した。

最終回で“ミタゾノさん”と、新人家政婦の矢口実優(桜田ひより)は、森の中に立派な屋敷を構える桃山宗次郎(小野武彦)を当主とする桃山家へ。長女の麗子(黒木瞳)とその夫・康介(宮川一朗太)、宗次郎の弟・哲平(有薗芳記)らがそろって夕食を待つ中、服を真っ赤に染め、手に果物ナイフを握りしめた実優が突然、「私…おじいさまを殺してしまった」とつぶやく――。宗次郎が残したと思われる「M」の文字を見つけるミタゾノさん。その後、遺体が消えるというさらなる事件も発生するが、果たして人気和菓子メーカーの当主を殺した犯人とは。最終回は、そんな殺人事件を追うミステリー仕立てのストーリーとなっている。

■黒木瞳、和菓子屋の社長役でメインゲストに

最終回のメインゲストを務めるのは黒木。実優の小学生時代の先生で、現在は「和菓子のももやま」の社長である麗子を演じる。以前松岡は取材会で「いつからか大女優さんがゲストに出てくるようになって『いやいや、こんな方が出てくださるドラマではないんじゃない』と戸惑ったこともあります」と自虐気味に話していたが、まさに最終回に相応しい大女優の黒木が、『ミタゾノ』恒例の“何やら裏のある小狡そうな依頼主”を演じるさまは新鮮で贅沢だ。麗子は「教師時代の思い出が詰まった木箱が父の部屋にあるから探してほしい」とミタゾノさんと実優に頼むが、果たして本当にその木箱の中身は思い出の品なのか。

■桜田ひよりが、ゴールデン進出にあわせて作った実優

『ミタゾノ』のヒロイン家政婦はこれまで清水富美加、剛力彩芽、川栄李奈、飯豊まりえ、山本舞香が務めており、桜田は6代目。取材会で松岡は実優というキャラクターについて「半年ぐらい一緒にやってきたんじゃないかと思えるほど、初日から違和感のないナチュラルなトーンで加わってきたんです」と表現していたが、桜田自身も、「視聴者の方にとって、また違ったヒロインが出てきたけど、すごく馴染みがあって、3人のコンビネーションをすぐに想像できるような人物像にしたい」「視聴者の方が違和感なく受け入れられるかなという点を重視して役作りをしていきました」とそれが計算通りであることを明かした。初めて『ミタゾノ』を見た人もその役割を考えずとも理解できる、“ヒロイン家政婦”のスタンダード。新たな視聴者との出会いが期待できるゴールデン帯進出のタイミングと、桜田がフラットに作り上げた実優はベストマッチだったといえる。そんな実優は最終回で、小学校時代の先生である麗子に久しぶりに会えるとあって浮かれ気味。さらに血まみれで犯人かもしれないと言い出す一幕も。ヒロイン家政婦はこれまでシリーズごとに交代しているため、実優とは今夜でお別れの可能性が高いが、ラストになっても悔いがないであろう大活躍を見せている。

■伊野尾慧、村田光を振り切って演じ躍進のシリーズに

そして第3シリーズからの続投で、4シリーズ目の参加となるのがHey! Say! JUMPの伊野尾慧。今シリーズにあわせてTELASA(テラサ)ではスピンオフドラマ『家政負のヒカル』が配信されたが、本編でも心なしか現場に派遣される回数が増え、“おバカキャラ”にも拍車がかかるなど、躍進のシリーズとなった。伊野尾は取材会で「光はシリーズを重ねるごとにどんどんおバカちゃんになっていって、こんなに何もわからないバカだったっけ、と。でもそんなところが愛されるキャラクターになればいいなと思いながら演じています」と話していたが、今回は、VTuberのファンであるという一面や、毒を飲んで死にかけるというトラブルなど、光がストーリーに大きく絡む役回りも多く、そのたびに分かりやすく“おバカな愛されキャラ・ひー坊”を振り切って演じ、より確立されたキャラクターに仕上げてみせた。最終回で現場に派遣されるのは実優だが、むすび家政婦紹介所で先輩家政婦たちとのんきなおしゃべりに花を咲かせるおなじみのシーンで、存分に光らしさが味わえるはずだ。

■ブレない魅力と個性を発揮した『ミタゾノ』

第1話では、ミタゾノさんのこんな台詞があった。「たとえ環境が変わってもミタゾノはミタゾノ、スケールダウンすることなく、スケールアップも致しません。ありのままの『家政夫のミタゾノ』を今後ともどうかご贔屓に」――これは主演の松岡と制作陣の決意表明でもあったのではないだろうか。取材会で松岡は「『レベルアップすることもなく、落とすこともなく、上げることもなく』というのがモットーです。『時間帯が上がって丸くなる』という方向にはしたくなかったので、金曜ナイトドラマ枠で見せてきた“攻めの姿勢”を変えることなく見せていきたいです」と宣言していたが、時事ネタを取り入れたブラックユーモア満載の『ミタゾノ』にとっては、変わらないことが“守り”ではなく“攻め”だったのだ。そんな第6シリーズは、第1話から放送中にXでトレンド1位を獲得し、TVer再生数も約1週間で100万回を突破(ビデオリサーチ調べ)するなどのスタートダッシュを切り、ファンが求める“変わらぬミタゾノ”を見せることに成功。今シーズンも、セカンドパートナー、VTuber、闇バイト、田舎への移住、AI、男性の育休など、時事ネタを盛り込み、最終回まで駆け抜けた。今夜放送の最終回も、安心していつも通りの『ミタゾノ』ワールドを満喫できる。テレビ朝日制作のドラマには、『科捜研の女』や『相棒』、『ドクターX』のようなロングヒットシリーズが多数存在するが、『ミタゾノ』もそこへ仲間入りするのか。そんな未来への期待を感じられる“ブレない”最終回をぜひ見届けてほしい。