第17回朝日杯将棋オープン戦(主催:朝日新聞社・日本将棋連盟)は二次予選が進行中。11月29日(水)には野月浩貴八段―佐々木勇気八段戦を含むCブロックの全3局が東京・将棋会館で行われました。対局の結果、相掛かりの熱戦を146手で制した佐々木八段が次戦に進出。午後に行われた中村太地八段戦も制して第7回以来となる本戦進出を決めています。
野月流の相掛かり
本棋戦の二次予選は4名からなるトーナメントを制した計8名が本戦に進出するもの。振り駒で先手となった野月八段は得意の相掛かりに誘導します。続いて3筋に右銀を腰掛けたのは鎖鎌銀と呼ばれる積極策で、後手の左銀に壁形を強要する狙いが見て取れます。
野月八段はここから受けを基調にペースをつかみます。後手の佐々木八段が9筋の端攻めに出たのを受けて玉を右辺に逃げだしたのが臨機応変の受け。金銀を繰り出して後手の飛車角を抑え込む体制ができたことで先手優勢が明らかになりました。
佐々木八段が逆転勝利
両者秒読みに入って局面は終盤へ。後手の佐々木八段が金を取って下駄を預けた局面が大きな分岐点となりました。野月八段は飛車で銀を取る王手を選びますが結果的にこの手が敗着に。ここは飛車を打っての王手であれば自玉を安全にしながらの寄せが可能でした。
王手の連続で迫る野月八段ですが、後手玉に詰みはなく形勢逆転の様相。終局時刻は12時19分、最後は自玉の詰みを認めた野月八段の投了で佐々木八段の勝利が決まりました。勝った佐々木八段は午後に行われた中村八段との対局も制して自身2度目の本戦進出を決めています。
水留 啓(将棋情報局)
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