今回は5つの有名な英語の名言を紹介するとともに、フレーズを英文法の視点からも解説してみたいと思います。英語の名言は頭の中に残りやすいので、その中で使用されている英文法も覚えておけば、きっと定着率も高まるはずです。

  • 【かっこいい英語の名言集】世界の偉人・経営者が残した「心を動かす言葉」とは?

1. 名経営者の決断にまつわる言葉

Indecision is often worse than wrong action.
「決断しないことは、ときとして間違った行動よりたちが悪い」
By ヘンリー・フォード(アメリカの実業家)

この言葉は、自動車会社フォード・モーターの創設者であるヘンリー・フォードのものです。フォードは、工業製品の製造にライン生産方式を導入し、大量生産技術開発をすすめました。今日の自動車産業の発展に大きく貢献した人物です。いろいろ考えすぎて実行しないよりも、間違ってもいいからまずは行動してみることの大切さが伝えられています。

【比較級】
日本語でも、物事を説明するときに「比較」を用いると分かりやすくなります。英語で比較を表す場合には「比較級」を用います。基本形は、「比較級+than ~」で「~より比較級」という形になります。ここでは、「worse(badの比較級)+ than ~」という形になり「~より悪い(たちが悪い)」という形になっています。

【比較級を使った例文】
This PC is better that mine.(betterはgoodの比較級)
「このパソコンは私のより優れている」
Tom is taller than I.(tallerはtallの比較級)
「Tomは私よりも背が高い」

2. 国を率いたトップが伝えた"本当の恐れ"とは?

The only thing we have to fear is fear itself.
「我々が恐れなくてはならないただ一つのことは、恐れそのものである」
By フランクリン・ルーズベルト(第32代アメリカ合衆国大統領)

これは世界恐慌中にアメリカ経済の再建を目指したルーズベルト元大統領の就任演説で用いられた言葉です。 何かを始めるとき、恐れすぎると行動できなくなることへの懸念が伝えられています。

【関係詞】
ある言葉を後ろから文章で説明するときに「関係詞」を用います。ここでは、The only thing「ただ一つのこと」という言葉を、we have to fear「我々が恐れなくてはならない」という文章が説明しています。

日本語との語順の違いに注目です。
「我々が恐れなくてはならない(説明部)→ ただ一つのこと」
「The only thing ← we have to fear(説明部)」

【関係詞を使った例文】
The book I read yesterday was interesting.(I read yesterday が The book を説明)
「昨日読んだ本はおもしろかった」
The party we are attending is on Saturday.(we are attending が The party を説明)
「私たちが参加するパーティーは土曜日です」

3. 慈愛に満ちた女性が残した名言

Do not wait for leaders; do it alone, person to person.
「リーダーを待つのはやめなさい。一人で、人から人へやればいいのです
By マザー・テレサ(カトリック教会の聖人)

貧困者や病人などへの幅広い奉仕活動で世界的に尊敬を受け、1979年にノーベル平和賞を受賞した人物です。これは慈善活動で知られるマザー・テレサの名言の一つです。一人ひとりの行動が大切で、大きな変化や成長は一人ひとりの積極的な取り組みから始まるという考え方を示唆しています。

【命令文】
動詞や動詞を否定する語で文章を始めることを命令文といいます。しかし、日本語の「命令」ほどの強いニュアンスはありません。「~しましょう」くらいの感覚でも使えます。

Do not wait for leaders; do it alone, person to person.
この文章では、2つの命令文が使われています。
Do not wait「待つのではありません」(否定形の命令文)
do it alone「ひとりでやればいい」(一般的な命令文)

【命令文を使った例文】
Be kind to others.(Be kind で命令文)
「他人には親切にしましょう」
Hurry up!
「急いで!」

4. 改革者が伝える"理解"とは?

Understanding is a two-way street.
「理解することは双方向なものです」
By エレノア・ルーズベルト(フランクリン・ルーズベルトの妻)

積極的な社会改革の支持者であり、当時からジェンダーや人種に関する平等を訴えました。女性の権利や社会的正義の支持者として有名です。自分のことを理解してほしければ、まずは自分が相手を理解する必要があるということが伝えられています。

【動名詞】
文章の先頭で、動詞に「~ing」をつけた形にして「~すること」という意味にします。動名詞にはいろいろな使い方があり、この使い方はその一つです。
Understanding is a two-way street.
「理解すること」

【動名詞を使った例文】
Swimming is one of my favorite sports.
「水泳(泳ぐこと)は私の好きなスポーツの一つです」
Reading books can change my mood.
「読書をすると気分が変わります」

5. 国民の心を震わせた言葉

If I had six hours to chop down a tree, I'd spend the first four hours sharpening the axe.
「もし木を切り倒すのに6時間与えられたら、私は最初の4時間を斧を研ぐのに費やすだろう」
By エイブラハム・リンカーン(第16代アメリカ合衆国大統領)

エイブラハム・リンカーンは奴隷制度廃止など歴史的な変革を主導した指導者です。「ゲティスバーグの演説」で国民に感動的なメッセージを送り、南北戦争の指導者としても知られています。ここでは、行動を起こす前の準備の大切さが伝えられています。

【仮定法】
If のついた文章の中で、動詞を過去形にします。しかし、この過去形は過去のことではなく、実際には起こらない、非現実的な意味(仮定)を表します。

If I had six hours to chop down a tree,
「もし木を切り倒すのに6時間与えられたら」
アメリカ大統領が木を切り倒すのに6時間与えられることは現実的にありません。ですので、仮定法が使われているのです。

【仮定法を使った例文】
If you were in my place, what would you do?(your are が you were と過去形に)
「もしあなたが私の立場なら、どうしますか?」
If I had a billionaire, ….. (I have が I had と過去形に)
「もし私が億万長者なら…」

みなさんはどの名言が心に残ったでしょうか? ぜひ、これらの名言を英文法とともに覚えてみてください。