普通に生活を皆が営んでいるように見えるフランス。でも現在は10月の高校の教師刺殺事件をテロと見なし、そこからフランス国内はテロ警戒を最高水準まで引き上げた。そんな状況の中でフランス内務省を中心としたフランス警察の装備品及びセキュリティーの見本市MILIPOL(ミリポール)が開催された。フランスでは国防省が主催する『ユーロサトリ』と、内務省が主催するこの『ミリポール』を交互に行っているので2年ぶりの開催となった。
【画像】普段お目にかかれない装備を満載した特別仕様車(写真15点)
会場では警察の装備品に関するメーカーが世界各国から集まった。制服に始まり、小銃や探知機や無線、そして今話題のドローンやロボットなどだ。その中には、もちろん車両の展示もある。特にオートバイではヤマハやBMWはメーカーが出展。一般のカタログでは見られない特別仕様車を披露した。
また車両の警察向けのカスタマイズメーカーが特別仕様車を展示。カスタムといっても色々だ。パトカーといえば赤色灯。このようなイルミネーションメーカーなども展示を行っていた。日本のパトカーは赤色灯の名の通り赤色だが、フランスをはじめヨーロッパは青が多い。日本は青信号という感じで青からは”危険”を感じないが、なぜ青を選んだのか。それは青のライトが一番遠くまで確認できるからというのが理由だ。
一般車を改造する特別車両を製造するメーカーも。これは市販されている車両をベースに防弾処理を行うのがこの世界では一般的。窓ガラスだけでなくボディも弾が貫通しないようにするのだ。よく映画で車を盾にして銃撃戦を行うのを見かけるが実際にはエンジンルームでさえライフルの弾は貫通するので盾にならない。そこで、危険地帯を走行する車両用、あるいはVIP用の車両の全体を防弾処理を施す。必要であれば車のフロアー部分は地雷を踏んでも破壊されないものにする。この改造を施せば襲撃からは万全だが重量が増す。そのためにサスペンションも専用のものに改良してある。こういった処理を施されたVIP用の車にはメルセデスの車両が多い。王室や法王、大統領の車にメルセデスが多いのはライバル会社としてはおもしろくない。まるでメルセデスはVIP愛用に見えるからだ。BMWはスポーティを売りにするブランドで、できるだけコンパクトに車をデザインしていた。そのためこのカスタムが施すには限界があった。そこで、BMWはこういったカスタムに対応することを念頭に、少し大型化したという経緯が実はあるのだとか。
この会場で目にする警察や、いわゆる機動隊の車両の重装備は、軍のそれに相当するほど強力なもので日本では見かけない。ロシアのウクライナ侵攻に加えイスラエルとガザの紛争から益々世界は緊張が高まる。フランスは来年オリンピックを控えておりお祭り騒ぎでは済まされない状況だ。そんな中でのミリポールはいつもより活気にあふれていた。これは果たして喜ばしいことなのだろうか…
写真・文:櫻井朋成 Photography and Words: Tomonari SAKURAI