セレブリティが海辺での時間を過ごすために製作された「ビーチカー」。ギアの500や600をベースとした「ジョリー」の成功に触発され、他の欧州コーチビルダーもフィアットの小さなシャシーを用いて同様のビーチカーの製作を手掛けるようになった。
【画像】籐の内装もビーチリゾートらしくて最高!フィアット850ベースの「スピアゲッタ」(写真20点)
今回紹介する「スピアゲッタ」も究極のオープンエアのビーチカーの一台だ。ヨットデザイナーのフィリップ・シェルと、イタリアの著名自動車デザイナーであるジョヴァンニ・ミケロッティとのコラボレーションにより誕生した。フィアット・シェレットまたはスピアゲッタとして知られるこの車は、フィアット 850 をベースにしており、すっきりとしたシンプルでモダンなスタイルが特徴だ。ジョリーではあまり見られなかったヒーターやステレオなどの”ラグジュアリーな”機能を備えている。
スピアゲッタは、ジャクリーン・ケネディ・オナシス、イタリアのアグスタ実業家、オランダ王室など、特別な顧客のためにわずか80台しか製造されなかったと言われている。他の多くのビーチカー同様に、これらの車両はビーチハウスでのバカンス時、そしてマリーナでのヨット遊びへの送迎車等として使用されることが多く、現存する車両は今でも現役で活躍している。
現在、RMサザビーズに出品されているスピアゲッタは、デザイナーのフィリップ・シェルの友人であるロイス・フィリップス・ポスターが新車時に購入したもの。履歴ファイルに含まれるイタリアの登録書類には、この車のデリバリー先の住所がミケロッティ本人であったことが記載されている。この車は21世紀初頭まで彼女が所有していたという。
その後、このスピアゲッタは2012年にニューハンプシャー州の納屋で発見された。外観的なレストアが施されたのち、このチャーミングな車は2年前に現オーナーが購入。以降は彼のコレクションの一台として、適度に温度調整された好条件で管理されてきた。
オークションは2024年3月にマイアミで開催される。この車ほどビーチが似合う車はないだろう。購入後はそのままマイアミの海辺で走らせてみたいものだ。
Photography: Jasen Delgado ©2022 Courtesy of RM Auctions