オフィス家具などを手掛けるオカムラは、11月8日より完全招待制の展示会「オカムラグランドフェア2024」を東京・千代田区のオカムラ ガーデンコートショールームにて開催。

先駆けて、メディア向けに記者発表会・内覧会が行われた。「今、オフィスは、イノベーションの舞台へ。」をテーマに、多様な働き方に対応した家具などが提案された。

オフィス環境を整えることが、人的資本経営につながる

コロナ禍を経てテレワークやハイブリッドワークなど、働き方が多様化。ここ数年でオフィス出社の必要がない働き方も選べるようになり、オフィスの在り方にも急激な変化が求められていた。

しかしながら、行動制限が緩和されたことに伴ってオフィス回帰の動きが進み、オフィスへの出社率は増加傾向にあるという。

  • オカムラ代表取締役 社長執行役員 中村雅行氏

オカムラ代表取締役 社長執行役員の中村雅行氏は「オフィスには新たな価値を創出する場としての役割が求められている」と話し、「コミュニケーションの活性化や生産性向上、人材の確保といった課題を解決するために、オフィス環境に投資するという考え方が必要」と、今こそオフィス環境を整えて人的資本経営を考えていくタイミングであるとし、この傾向は今後2~3年は続くのではないかと見込んだ。

オフィス家具によってイノベーションの場としての機能を加速

オカムラでは「今、オフィスは、イノベーションの舞台へ。」を2024年のコンセプトにしており、オフィスという場所はイノベーションを起こす素地として、働く人が健康的に、快適に働ける場と捉える。

新たなヒントをつかむための交流し、アイデアを深化させて、具現化に向けて加速できる場所にしていくことが、イノベーションを創出するプロセスだと考え、新商品をラインナップしているそうだ。

個人作業の快適性とコミュニケーションを両立するクリエイティブファニチュア「WORK ISLE(ワークアイル)」は、事務処理などの個人作業を行いつつも、必要に応じて周囲に声をかけたり相談したりすることができる、オフィス活動の拠点となるようなテーブルシリーズ。

近年ではオフィス出社とテレワークのハイブリッドワークが広がっているが、一方で一緒に働く仲間とのコミュニケーション不足が課題。

2021年の同社の調査では、部下の状態の把握を「雑談などの会話」という回答が多くあり、雑談のような偶発的なコミュニケーションのためには、メンバーとのつながりを感じながら働けるオフィス環境が必要だという。

  • 状況に応じて人との距離感を調整できる「ワークアイル」のテーブル

  • やぐら型のアッパーフレームは一体感を演出

アメリカの文化人類学者エドワード・ホールによれば、人を中心に1.2mの間隔が個人作業を快適に行うために必要な領域だと定義されている。

オカムラではこの考えを発展させ設計したスタンダードテーブルのほか、より集中できる1.8m、打ち合わせなど会話をしながらの仕事がしやすい0.9mなど、シチュエーションに応じて距離を調整できるラウンドテーブル、場の一体感をより強めるやぐら型のアッパーフレーム付きのテーブルなどもラインアップしている。

狙うのはコミュニケーション機会の増加や、よりよいオフィス環境の構築だ。

また、2015年に発売した電動昇降デスク「Swift(スイフト)」をリニューアル。ミリ単位で高さ調節が可能で、個々の体格に合った快適なテーブル環境を実現した「Swift Nex(スイフト ネックス)」を発売する。

  • 天板や脚などの構造を変更し、天板や足元を広く使うことができるようになった「スイフト ネックス」

電動昇降デスクは、北欧では1980年代から、米国では1990年代はじめから普及し始め、現在デンマークやスウェーデンでは9割近く、米国でも8割近くの普及率となっている。

しかしながら、日本では1990年代後半から導入されているものの、普及率としては非常に低い。より快適なデスクワークが可能となる電動昇降デスク導入を提案し、近年注目されている従業員のウェルビーイングを推進する。

オカムラの2023年の実態調査では、電動昇降デスク利用者の、6割が立ち姿勢で使用していたり、8割が座り姿勢の場合も作業内容に合わせて高さを変えていたりするという。

さらに、使用感として、快適性、健康面、生産性のすべてにおいて9割以上が効果を感じていると回答。電動昇降デスクの導入により、高いワークパフォーマンスを実感している人が多いことがうかがえる。

リニューアルした「スイフト ネックス」では、天板を滑らかに昇降できる機能はそのままに、構造体を見直して、脚を細くして天板を薄くするなど、広い足元空間を確保。

配線口を無くしオプションのクランプコンセントにすることで天板面を広く使えるようにした。天板裏面には大容量配線トレーなど、配線を使いやすく見た目もスッキリとさせる工夫も施されている。

ラインナップには、高さ調整ができるデスク(調整域650~1250mm/720~1220mmの2種)と複数人での使用を想定したテーブル(調整域720~1220mm)を用意。

テーブルは矩形、台形、楕円形の3つの天板が選択できるほか、仕切りや目隠しになるバックパネル、ワゴン、カールコード電源タップなどのオプション品も用意した。

さらに、さまざまな場所に容易に設置できるフルクローズ型のワークブース「TELECUBE by OKAMURA C Type(テレキューブ by オカムラ Cタイプ)」に新たな品揃えを追加する。

こちらのシリーズはブイキューブ、テレキューブ、オカムラの三社で共同開発しているもので、2018年12月に発売以降、オフィス内やビルエントランス、駅、商業施設などに数多く導入されているもの。

出張時の作業やWeb会議などのビジネス利用だけでなく、講義の受講や就職活動のWeb面接などの学校利用や、図書館の自習スペース、個人情報を扱う店舗などでの相談ブースなど、ニーズが多様化しているという。

  • ユニバーサルタイプ

  • フォンブースタイプ

  • 2人用ブースはソロワーク向けのレイアウトも選択できる

そのニーズに応える形で車椅子での利用を想定した「ユニバーサルタイプ」、ちょっとした電話などスタンディング使用に限定した最小サイス「フォンブースタイプ」、2人用ブースのレイアウトを変更し、長時間のソロワーク向けにゆったりとした仕様にした「シーティングレイアウト」、相談窓口としての使用を想定した「両面ドアタイプ」が追加された。

  • ユニバーサルタイプは車いす利用に配慮し、出入り口にスロープが設置されている

  • 通常はスロープが無い

「WORK ISLE(ワークアイル)」、「Swift Nex(スイフト ネックス)」、「TELECUBE by OKAMURA C Type(テレキューブ by オカムラ Cタイプ)」は、2023年11月より発売される。