新格闘技イベント『FIGHT CLUB(11月19日、東京都内/場所非公開)』が目前に迫っている。注目を集めるのはOFG(オープンフィンガーグローブ)キックボクシングマッチ、朝倉未来(JAPAN TOP TEAM)とYA-MAN(TARGET SHIBUYA)の対決─。

  • 左から木村“ケルベロス”颯太、山口裕人、YA-MAN、朝倉未来、西谷大成、白川陸斗。11・19『FIGHT CLUB』ではYAMAN率いる「RISE」と朝倉の「JAPAN TOP TEAM」全面対抗戦が行われる(写真:RISE)

11月13日にはYA-MANが所属ジムで公開練習を行った。キレの良い動きを披露した後に彼が語ったこととは? そして「朝倉に勝つ」自信の根拠とは?

■「明日、喧嘩しに行くんだ」

「ここ最近で一番良いコンディションを作れていると思う」
開口一番、YA-MANはそう言った。
11月4日の対戦発表記者会見の際には固さが目立ったYA-MANだが、今回はそうではない。

表情に自信を漂わせて彼は続ける。
「殺す気で行きます。今回の試合は倒せなかったら引き分けになってしまう。だから倒しに行くしかない。朝倉未来が築き上げてきたものを全部奪うつもり、倒す気しかないです。
いまは試合前というより『明日、喧嘩しに行くんだ』という、橋の下に向かっていく時のような気持ち」
「ここ最近の試合は、受けて立つことが多かった。でも今回は挑戦する立場なので面白いしモチベーションも高い。逆に相手は格闘技に対してモチベーションを保てずにいるので、ぶっ倒してやりますよ!」

YA-MANは、現RISE OFG 65キロ以下級の王者。対する朝倉はキックボクシング初チャレンジである。ならば今回も受けて立つ状況なのだが、本人はそうは考えていないようだ。これは互いの知名度を意識してのことなのだろう。

  • 公開練習で、気合の入ったミット打ちを披露したYA-MAN(写真:SLAM JAM)

■キャリア差で優位なのはYA-MAN

そして、自らが勝つ理由に触れる。
「総合(格闘技)とキック(ボクシング)の差もあると思う。総合の試合では、(グラウンドの展開などで)割と考える時間があるんですよ。でもキックは、そうじゃない。一瞬の迷いが命取りになる。この違いは大きい。
それに相手(朝倉)は背負うもの、守るものがいっぱいあって死にに行けない。でも自分は行けます!
たとえば、ナイフを持った相手に対して俺は、そのナイフの先端に向かって顔面を思い切り近づけてフルスイングできる。相殺覚悟で行けますよ。でも守りに入った奴は、一瞬引くと思う。その差で自分がKOできる」

さらに朝倉の動きに対する分析も怠っていない。
「あの人のクセは全部分かっている。前に一緒に練習した時に自分はずっと映像を撮っていて、それを見返した。キックボクシングなら、全然負ける気がしないですよ。
パンチのスピードは、それほどではない。警戒するのは左足での蹴り技、ミドルキックとテンカオ(膝蹴り)だけですね」

そういえば先日、RISE伊藤隆代表が、この一戦の展開を予想していた。
「YA-MANが2度ダウンを奪われた後に、逆転KOで勝つ」と。
それを聞いて、YA-MANは言った。
「ダウンを取られても、そこから行くのが俺ですから。テンカオを喰らってアバラの2、3本折られてもいいですよ。そこからでもぶっ倒します」

  • メディアからの質問に答えるYA-MAN。表情からも「絶対に倒して勝つ!」との強い決意がうかがえた(写真:SLAM JAM)

YA-MANは、引き分けに持ち込まれたくはないと考えている。
倒さないと自分をアピールできないからだ。王者がキックボクシング初体験者相手にドローなら、それは負けに等しい。だから倒すために、開始早々から見合うことなくYA-MANは積極的に打って出る。

ここが、ポイントとなろう。
一気に攻め切れば圧勝だが、朝倉はカウンターの名手。彼は、そのチャンスを待つ。さらには「ドローでもいいんだよ」との余裕も見せても来よう。これも戦略だ。
「KOしなければ」とのYA-MANの思いが焦りにつながると、そのカウンターの餌食になりかねない。

キックボクシングのキャリア差で優位なのはYA-MAN。それでも何かが起こりそうな雰囲気も十分。朝倉は「興味本位」で闘いの舞台に上がる。だが、YA-MANにとっては今後のかかった大一番。
闘いの後に笑うのは、飢えた「キング・オブ・ストリート」なのか、それとも余裕の「路上の伝説」なのか─。
観る者をヒリヒリさせてくれる9分間を期待したい。

▼YA-MAN、「挑戦する立場はオモロイ」朝倉未来戦に向け気合いの入った公開練習を実施! 『FIGHT CLUB』公開練習

文/近藤隆夫

※11・19『FIGHT CLUB』の模様は「ABEMA PPV ONLINE LIVE」にて配信される。