TOYOTA Gazoo Racing全日本ラリーチーム(TGR-WRJ)のコ・ドライバー(コドラ)の安藤裕一です。
松本選手の北海道日記は読みましたか? 急遽参戦したラリーもしっかり楽しむ余裕はさすがです。まだの方はぜひ読んでくださいね。
今回の日記は、先日岐阜県高山市で開催されたJRC(全日本ラリー選手権)第8戦ハイランドマスターズと、翌週に急遽参戦したTGRラリーチャレンジについて。みなさんが気になるWRCラリー・ジャパンについても書いていますので、最後までお付き合いください。
■レッキは数字で見ると大変
写真はレッキを終えた直後のラリーコンピューター(ラリコン)の画面。表示の見方をすべて説明するとめっちゃ長くなるので割愛するとして、今回注目いただきたいのが、中央の赤い表示の時刻と左下の積算距離です。赤い時刻は目的の時刻までの残り時間。レッキの際は開始=目的の時間(※1)となります。
左下の距離は開始からの積算距離なので、ハイランドは約300キロを8時間かけてレッキしました(※2)。改めて数字で見ると「あー大変だなー」って自分でも思っちゃいますね。
※1 レッキは目標時刻までの所要時間などを設定しないので、開始と同時に残り0秒になり、以降はマイナスになります
※2 スペシャルステージ(SS)とリエゾンを合わせた時間と距離です
■なにが写っているのか興味津々!?
一般的なラリーカメラマンは、SSやサービスパーク、または背景が風光明媚な場所で撮影しますが、この写真に映る友人でもあるYカメラマンは少々変わっています。
被写体の優先順位が、クルマや景色よりもメカニックや観客も含めた「人間」のほうが高いようです。「TCにチェックインする時刻までの時間調整」のような、私たち選手からしたらなんてことない場所にフラッと現れます。
私のファイスブックやインスタグラムにYカメラマンの写真がいくつかあるので、探してみてください。いい写真ですよ。
FB:https://www.facebook.com/ralyeandy
Instagram:https://www.instagram.com/u1_ando/
■ピンチヒッターがサプライズに!?
さて、話は一気に1週間進んで翌週に富山県で開催されたTGRラリーチャレンジについて。
ハイランドの1日目が終わったころに「ラリチャレ高岡ってコドラできます?」とサービスパークでオファーを受け、急遽乗れなくなったコ・ドライバーの代わりをしてきました。
この選手変更ですが、規定上はドライバーは変更不可。車両はクラスが変わらなければ可。コ・ドライバーは比較的簡単に変更できます。
しかし! コ・ドライバー変更が公示されるのは随時ではなく、写真のような公式通知とよばれる書類でのみ。今回はスタートの1時間前(!)でしたので、ほかの選手はなぜエントリーリストに名前のない私がロードブックやペースノートを持ってウロウロしているのか謎だったでしょうね(笑)。
皆さんが私を見つけて「え!?」という顔をするのを楽しませてもらいました。
■赤ペン先生、参上!
今回組んだドライバーは、まだラリードライバーとしては初心者でした。あまりレッキ前にアドバイスしてしまうとスムーズなレッキを妨げる可能性があるため、レッキ後に「こうしたらいいんじゃないかな?」という表記に赤鉛筆で修正。提案してみて採用してもらった部分は、赤鉛筆の内容で読みます(今回は九分九厘採用!)。
ちなみに私が修正する部分は、「なんか読みにくいな」とか「読み遅れや早読みしちゃいそうだな」と思った部分。あとは、文字からイメージした道の形状が、実際の形状と違うと感じた部分ですね。久々に眞貝選手とは違うドライバーと走ったことで再確認できました。
長くやってるとこんな能力が身につくんだなぁ。
■おまけとまとめ
愛知県豊田市で、10月8日に地方選手権のシロキヤ・ラリーが開催されました。来場者向けのパブリックビューイングステージで、トークショーへの出演を依頼されたため、いつも通り息子を連れて行ってきました。
そこには私が2020年まで乗っていた「TGR Vitz GRMN Rally」や、ラリー・ジャパンのラリーカーが展示してあったり、五平餅の出展があったりと、ラリージャパンに向けて開催地が盛り上がっているのを感じることができました。
また昨年からは、豊田市のラリー開催地域で地元にお住まいの方々を対象とした、「オートテスト」という入門モータースポーツの大会をお手伝いしています。
・地域住民の交流
・交通安全意識を高める
・ラリージャパン開催への機運醸成
などをおもなテーマとして今年は4回開催しています。
9月にはラリー・ジャパンの最終ステージのある旭地区で行っていて、そのときにラリー・ジャパン事務局やフォーラムエイトなどから許可をいただき、ラリー・ジャパン用ラリーカーの顔ハメパネルを作成しました。
写真は準備日に息子と2人で撮影。とてもいい思い出になりました。
さて、そんなラリー・ジャパンですが、先日エントリーリストが公開になり、今年は私も選手として参加いたします。さらに、この日記を一緒に書いてきた松本優一選手も出場。お互いにいい結果を報告できたらと思います。
まだあと1戦、ラリー・ジャパンが残ってはいますが、我々が主戦場とするJRCはすべての日程を終えました。また「ユウイチ」2人でラリーを盛り上げるお手伝いをしていこうと思っていますので、引き続き応援よろしくお願いいたします。
1年間お付き合いいただき、ありがとうございました!
<写真=安藤裕一/青山朋弘 文=安藤裕一>