民放連の放送基準には、「占い、運勢判断およびこれに類するものは、断定したり、無理に信じさせたりするような取り扱いはしない」という項目がある。

これを踏まえ、「僕ら制作者以外のフェーズでもプレビュー(試写)をしてチェックしています」(前田氏)と体制を整備。番組の最後には毎回、「占い師の発言はあくまで占いに基づくもので、過去または現在の事実とは異なることもあり、未来を断定するものではありません」と、注意喚起のテロップを表示している。

また、「そもそもなのですが、番組の演出(ディレクター)が占いを信じてないんです(笑)。占いで引き出した話をきっかけに、占われた人がどのような人生ドラマを歩んできたのかというところを大事にしています」(前田氏)といい、基本的なスタンスとして、占いはあくまで話を引き出すためのツールの1つとして捉えている。

さらに、VTRに出演した一般の人のその後も放送。「占いをしてから数カ月後に『占いで言われたことをやりましたか?』『占いをして変わったことは?』など聞いて『やっていません』『変わっていません』と言われても放送で使います。占われた方の人生ドラマを見ていただければと思っています」(坪井氏)という姿勢だ。

主に登場する木下レオン、星ひとみ、シウマらには、共通して「占いをうまく取り入れて人生のプラスにしてほしいという思いがあります。マイナスのことを回避して、プラスなことは取り入れてほしいという考えを皆さん持っているので、“占いにハマっちゃダメ”、“占いは利用するもの”と言ってらっしゃいますね」(坪井氏)という傾向があるのだそう。

過去に番組では、夫が亡くなってスピリチュアルに1,000万円使ったという人をレオンが占い、「(スピリチュアルに)それ以上お金を費やす必要はない、旦那さんも、あなたが幸せになることを望んでいる」と説得する回も放送した。

■3時間の繰り上げで下ネタは…

23時台から20時台へ3時間も放送時間が繰り上がる大きな枠移動となるが、坪井氏は「新しい企画も始まります!」と予告。新たな軸として、飲み屋街での一般人への“突然占い”を復活させ、そこにゲストや番組MCが同行する企画がスタートする。初回は稲垣吾郎を迎え、MCのみちょぱと新宿三丁目に繰り出す。

番組草創期のメイン企画が、コロナ禍が明けて本格的に復活すると同時に、コロナ禍で鉱脈を当てた“有名人”という強力な武器が合わさることで、新たなスタイルが確立される形だ。前田氏は「やはりタレントさんがいることで、一般の方がいろんなことをしゃべってくれるんです。稲垣さんが行くとテンションが高くなって、どんどん引き出していくので、面白くなると思います」と手応えを語る。

  • 稲垣吾郎と池田美優

    新宿三丁目でロケをする稲垣吾郎(左)と池田美優 (C)フジテレビ

沢村一樹、水野美紀、みちょぱのMC陣は、時間帯が浅くなることによって「下(ネタ)の話ができなくなる」と心配していたが、前田氏は「家族で見られる時間帯なので、そこは考えないといけないですが、家族で笑える話だったらいいと思うので、わざわざ触れないようにするということはしないです。今まで通りいろんな話を聞いていくという方針は変わりません」と強調した。

また、有名人への占いを、セットを建てたスタジオでなく、リハーサル室で行うケースも多いが、ゴールデン進出を機に大きく予算をかけることはせず、「ちょっと壁紙だけ変えようかという話が出たぐらいです(笑)」(前田氏)という方針。

その背景には、「仰々しくない会議室みたいな場所のほうが、ゲストが話しやすいし、占い師さんも集中しやすいと思うんです」(坪井氏)という狙いもあるそうで「実は占いの収録は、我々制作スタッフでカメラを回して、本当にミニマムなスタイルでやっています」(同)と裏側を明かした。

■テレビを見ない人も興味あるコンテンツ

今後の番組の展望を聞くと、前田氏は「占いをきっかけにして、他番組の名MCたちも聞き出せないことを話してくれるトークで、家族みんなで楽しく笑えるバラエティという番組作りにしていきたいと思います」と意欲。

坪井氏は「占い師さんによるお悩み解決や、明日試してみたくなるようなことを紹介するとか、開運神社のロケを見て家族で出かけたくなるとか、実用的な企画も考えています。新たな局面に期待していただけると思います」と構想を明かし、“占い”というキーワードで様々な企画を展開していく。

TVerでの見逃し配信再生数が、フジのバラエティでトップクラスにある同番組。「占いというコンテンツ自体が、テレビを見ていない人も含めて興味のあるコンテンツだと思います」(前田氏)と捉え、放送外でイベントやグッズ販売などができる強みを生かしていく考えだ。