三菱電機は、鉄道車両内に設置したビーコン装置から乗客のスマートフォン等に向けて列車の行先・走行位置・乗車位置といった情報を発信する鉄道向け情報提供プラットフォーム「Train Connect(トレインコネクト)」を開発したと発表した。
「Train Connect」は、鉄道利用者向けの新しいサービスを実現する情報提供プラットフォーム。三菱電機は今回、多くの鉄道事業者に納入実績がある「列車統合管理システム」や、鉄道車両向けデジタルサイネージ「トレインビジョン」の技術を応用したビーコン装置を新たに開発。この装置を各車両に設置し、列車統合管理システムが管理する列車のさまざまな情報から旅客サービス向けに提供可能な情報を抽出して、乗客が所有するスマートデバイスに発信する。
同社が開発した鉄道事業者向けのビーコン装置は、鉄道事業者や車両形式によって異なる情報を統一フォーマットに変換し、列車固有情報としてBLE(Bluetooth Low Energy)通信でスマートデバイス向けに発信できる。同時に、ビーコン装置から発信される情報を利用できるアプリケーションインタフェースドキュメントやサンプルコード、ライブラリーなどをまとめたソフトウエア開発キットを鉄道事業者やアプリケーション開発ベンダー向けに提供する。このキットをアプリケーションに組み込むことで、列車固有情報を多様な用途に活用することが可能になるという。
活用例として、現在の走行位置情報を利用した次の停車駅でのイベント情報の提供、乗車列車の行先と種別情報を利用した正確な乗換え情報の提供、ダイヤ乱れによる行先変更に追従した経路情報の提供などを想定する。乗車している列車や号車を特定できるため、列車内での忘れ物に気づいた際に速やかに照会を行う機能や、車内で不審者、不審物を発見した際にその場から乗務員に迅速に通報する機能など、新たな旅客サービスの開発も可能になるとしている。2024年1月から鉄道事業者やアプリケーション開発ベンダー向けに提供を開始する。