つい軽視してしまいがちだが、睡眠と健康はやはり密接な関係にあるようだ。

寝具メーカー西川の研究機関「日本睡眠科学研究所」と、抗加齢医学研究の第一人者である同志社大学大学院生命医科学研究科の米井嘉一教授がタッグを組み、西川のマットレスが睡眠の質に与える影響について検証。10月17日、その研究結果が発表された。

これによると、睡眠の質を向上させることで心身ストレスが緩和し、更年期症状やPMS(月経前症候群)の一部が優位に緩和したことが示唆されたという。さっそくその詳細を見てみよう。

  • 検証結果を報告する、日本睡眠科学研究所の安藤翠さん

■睡眠の質で更年期症状、PMSは緩和されるのか?

今回の検証は、軽度の更年期症状、PMS、睡眠障害を抱える女性12人(45〜52歳)を対象に、8週間をかけて実施された。

睡眠の検証時に使用したのは西川の4層特殊立体構造マットレス「エアーSX」。ボディラインにフィットする柔軟性、寝返りしやすい高弾力性、身体をしっかり支える硬度などに優れたモデルで、腰痛にいいとアスリートを中心に人気を集めているそうだ。

  • 今回の検証で使用した西川の4層特殊立体構造マットレス「エアーSX」

更年期障害の主な症状としては、疲れやすい、イライラする、顔がほてる、寝つきが悪い、腰痛・肩こりなどが挙げられるが、その原因は性ホルモンバランスの変化による自律神経の乱れや心身ストレスの増加によるものだと見られている。

PMSも疲労やイライラ、頭痛、情緒不安定、眠くなるといった症状が挙げられ、これも更年期障害同様、性ホルモンバランスの変化が主な原因になっているという。

日本睡眠科学研究所の安藤翠さんは、「これまでの研究では、西川の機能性マットレスを使うことで睡眠の質が上がり、深い睡眠が安定して得られること、心身ストレスが減ることなどがわかっています」と説明。

そこで今回は、西川の機能性マットレスを使用し、睡眠の質を改善することで、更年期障害やPMSの一部が緩和するのではないかという仮説のもと、さらなる検証を行ったのだという。

「検証の結果、簡略化更年期指数(SMIスコア)が解決しておりました。具体的には、もともと53.5だったSMIスコアが、(マットレスを8週間使用したことで)42.5に大幅改善していました。

53.5というスコアは『医師の診察を受けて、生活指導、カウンセリング、特別療法を受けた方がいいでしょう』というレベルを指しますが、42.5は『食事、運動などに注意を払って、生活様式などで無理をしないようにしましょう』というレベル。病院の受診対象レベルだったはずが、『日常生活に注意をしましょう』というところまで改善したんです」

特に「疲れやすい」「肩こり、腰痛、手足の痛みがある」「寝つきが悪い、または眠りが浅い」といった更年期症状が改善したり、他にも「勉強や仕事への覇気がなくなる」「自信がなくなる、自分を責める」「頭が痛い」といったPMS症状なども改善したりしたそうだ。

ちなみに、安藤さんによると、今回は45歳から52歳の女性を対象に検証を実施したが、同様の効果は男性や若年層にも期待できるという。

睡眠の質が健康と深く繋がっていることは、多くの人が知識として理解しているに違いない。しかし、実際に何か行動に移しているという人はあまり多くないようだ。

例えば、西川が1万人を調査してまとめた「睡眠白書2023」によると、「美容に効果があると思うこと」という設問に対し、70%~80%の人が「睡眠関連」と回答。しかし、「美容のために実際に意識していること」という設問については、わずか30~40%しか「睡眠関連」を挙げなかった。

つまり、睡眠の質が美容に関わるとわかっていながら、実際には意識できていないのである。ちなみに、これは「ダイエットに効果があると思うこと」という設問でも同様の傾向が認められている。

健康や美容、体型維持に気をかけているのであれば、やはり機能性マットレスを導入するなど、自分なりの「快眠術」を模索することが近道になりそうだ。