ヒューリック杯第95期棋聖戦(主催:産経新聞社、日本将棋連盟)は予選が進行中。10月3日(火)には一次予選の計4局が行われました。このうち、午後に行われた渡辺大夢六段-藤森哲也五段の対局は104手で藤森五段が勝利。相居飛車の熱戦を制して二次予選進出を決めました。
二次予選まであと1勝
棋聖戦の一次予選は15名前後からなるトーナメントを勝ち抜いた8名が二次予選に進出するもの。この日の午前に行われた対局において渡辺六段は飯塚祐紀八段に、藤森五段は阿部健治郎七段にそれぞれ勝っての登場となりました。振り駒が行われた本局は両者の息が合って矢倉対雁木の対抗形に進展します。
飛車先の歩交換を果たした先手の渡辺六段は四枚矢倉の堅陣に組んで持久戦を志向。対する後手の藤森五段は雁木+右四間飛車に構えて先攻の姿勢を打ち出します。藤森五段が8筋の歩をぶつけたことで始まった戦いは次第に盤面全体に波及し盤上は攻め合いへ。一段落した局面は角と銀桂の二枚換えとなりました。
怒涛の攻めで藤森五段勝利
手番を握った後手の藤森五段はここから怒涛の攻めでペースをつかみます。先手陣深くに角を打ち込んだのがその手始め。この角はすぐ先手の飛車に取られてしまいますが、これを取らせることで自玉への圧力を緩和できる点は見逃せません。藤森五段は続いて、6筋に築いた拠点に駒を打ち込む俗手の寄せで渡辺玉を囲いから追い出します。
優勢を築いてからの藤森五段の寄せは明快でした。終局時刻は16時10分(14時0分対局開始)、最後は自玉の詰みを認めた渡辺六段が投了。最後まで攻め切った藤森五段が快勝で二次予選進出を決めました。藤森五段の二次予選初戦は木村一基九段―鈴木大介九段の勝者との対戦が予定されています。
水留 啓(将棋情報局)
この記事へのコメント、ご感想を、ぜひお聞かせください⇒コメント欄