三井不動産レジデンシャルは5日、“脱炭素社会の実現”に貢献する4階建てALL木造カーボンゼロ賃貸マンション「パークアクシス北千束MOCXION」をメディアに公開した。人と地球環境にやさしい『木』を全フロアの構造部材に活用したもので、建築時のCO2排出量はRC造との比較で約50%も削減。また再生可能エネルギーを有効活用するなど、地球環境に優しい賃貸マンションになっている。
木の温もりが感じられるデザイン
「パークアクシス北千束MOCXION」は2023年8月31日に竣工したばかりの賃貸マンション。これまで三井ホームが手掛けてきた木造マンションのブランド「MOCXION」(モクシオン)の技術やノウハウを活用した。敷地面積は731.47平米、間取りは1DK~2LDK、総戸数は33戸。
もともと木は熱を伝えにくい材質(熱伝導率はコンクリートの1/10、鉄の1/350)として知られているが、さらに三井ホームならではの高断熱・高気密の技術を活かすことで、冷暖房の消費を大幅に抑えることが可能になったとのこと。
本物件では、非化石証書付きの再生可能エネルギーを一括受電する。これに加えてオール電化にすることで、入居中の建物から排出されるCO2は実質ゼロとなる。またガスは引いておらず、給湯設備はエコキュートを使用。大気熱を活かしてお湯を沸かすシステムのため、環境に優しいだけでなく電力使用量も抑えられる。なお屋上には54枚(総面積139.32平米)の太陽光パネルを設置しており、共用部の想定使用電力量を上回る電気を創出する。万が一、停電などにより電力供給がストップしたときには、太陽光パネルで発電した電気を入居者に無償提供する(共用ラウンジに非常用コンセントを設置している)。緊急時のサポート体制も整えられている。
マンションではいたるところに木材が使われており、温もりが感じられるデザインとなっている。三井不動産グループでは北海道の道北エリアを中心に約5,000haの森林を保有しているが、この保有林から採取した木材を本物件の壁面などにも積極的に使用しているとのこと。
環境負荷の低い『木』を構造材に使用したこと、再生可能エネルギーを一括受電したこと、オンサイト太陽光を有効活用していることなど、環境に配慮した一連の取り組みが評価され、本物件は三井不動産レジデンシャル賃貸マンションでは初となる国際的環境認証「LEED認証」のゴールドランクの予備認証を取得している。
断熱と遮音にも自信
いくつか部屋を案内してもらった。メディアが通された4階の1室は1LDK+ロフト付き33平米の住戸。ダブルシールドパネルにより断熱性が確保されており、シーズンを通して快適に過ごすことができる(詳細は後述参照)。たとえ夏場のロフトでも、室温が上がりすぎることがないという。ちなみに、こちらの部屋で月額18万円ほど。「周辺エリアの相場と比較して1割ほど高い賃貸料になっています」と担当者は説明する。
隣室との壁の厚さについても説明があった。堺壁は約290mmの厚さ。強化せっこうボード、ロックウールなどを使い、厚みをできるだけ抑えながらもRC造と同等の遮音性能を実現している。
床については、オリジナル高遮音床の「Mute」(ミュート)を採用。強化せっこうボード、ゴム足のついた制振パッド、高比重遮音マットなどの組み合わせで構成されており、子どもが椅子から飛び降りたときなどに発生する重量衝撃音にも対応する。RC造マンションと同等クラスの高性能遮音床システムになっているという。
先述のダブルシールドパネルについて、担当者は「弊社が施工する平屋、2階建て、3階建ての戸建て住宅でも標準的に使っている材料です。断熱材を構造材で挟むような仕様で、これを屋根の部分に用いています」と説明した。
想定するターゲット層は、単身の30代。入居の募集開始から間もないこともあり、現在のところ申し込みは3件だけだが、1年ほどで全室が埋まるとみている。担当者は「今後も、三井不動産レジデンシャルの全住宅事業のブランドコンセプトである『Life-styling×経年優化』のもと、多様化するライフスタイルに応える商品・サービスを提供することで、安全・安心で快適に暮らせる街づくりを推進し、持続可能な社会の実現・SDGsに貢献してまいります」と話していた。