アルプスアルパインは日産自動車のミニバン「セレナ」向けに専用の11型大画面カーナビ「ビッグX11」(EX11NX2-SE-28-AM)を発売する。新型セレナのシフトノブがなくフラットなインパネのデザインに合わせた専用設計のカーナビで、純正との大きな違いは「DVD/CD」挿入口が付いていること。最近、あまり見なくなった設備だが、搭載の理由は? アルプスアルパインの製品発表会を取材してきた。
根強いニーズ、確実な商機
アルプスアルパインは車種専用のカーナビを豊富に取りそろえている。今回は日産セレナ向けの新型カーナビを公開。セレナはシフトノブがなくてフラットなインパネのデザインが特徴だが、専用カーナビを開発するうえでは取り付け位置やパネルの構造などを詳細に検討し、試作を重ねながら、インテリアとマッチする「後付け感のない」デザインを探ったという。
今回のカーナビは新型セレナ向けに車種専用設計を施してある。例えば起動時のオーニングアニメーションやサウンドチューニングはセレナ専用だし、ステアリングのスイッチ操作とカーナビの連動や「インテリジェントアラウンドビューモニター」のディスプレイ表示など、セレナとの互換性もしっかりと担保している。スマートフォンと連携させれば「Apple CarPlay」「Andoroid Auto」「Amazon Alexa」などが使用可能で、Apple CarPlayをワイヤレス接続できるのは市販カーナビで同シリーズのみだという。
純正とアルプスアルパイン製の大きな違いは、後者ではDVD/CDの挿入口の付いたモデルを選べるところ。ここ最近、新型車の試乗をする際、ディスクを出し入れする横長の口が付いたカーナビにはほぼお目にかからないのだが、なぜアルプスアルパインはあえて同設備を用意するのだろうか。
同社によると、子育て家族の自動車ユーザーには車内でDVDを試聴したいという根強いニーズがあるそうだ。小さな子供は気に入った作品を何度も観たりするし、子供が気に入っている作品が動画配信サービスなどに展開されていないこともあったりする。そんなとき、自宅からヘビロテ中のDVDを持ち込めばすぐに再生できる車載DVDプレイヤーが頼りになる。もちろん、配信系サービスに対応していないアーティストやアイドルなどのファンにとっても、DVD/CDの再生環境は嬉しいはずだ。
最近のクルマは「メカレス」(スマホ連携やネット経由で動画配信などは楽しめるが、DVDなどの物理的なディスクは入れられない)のカーナビが増えているが、これだと上記の理由で困るので、クルマ用のDVDプレイヤーを購入する人も実際にいるそう。DVD/CDの再生機能が欲しいという人は全体から見れば少数派かもしれないが、事実として存在し、純正(自動車メーカー)が対応しきれていないニーズがあるのなら、アルプスアルパインにとっては商機となる。ましてやセレナのようにたくさん売れるクルマであれば、少数派のニーズであっても母数と掛け算した規模は馬鹿にならない。
アルプスアルパインのセレナ専用カーナビ「ビッグX11」(EX11NX2-SE-28-AM)はオープン価格で2023年冬の発売を予定している。想定販売価格は約32万円。ちなみに、日産の純正ナビ(メーカーオプション)は48.84万円だ。