日本における子どもの英語教育は、グローバル化が進む現代社会でますます重要になってきています。高校入試や大学入試では必ずと言っていいほど受験科目に含まれ、最近では私立中学を中心に中学入試でも必要とされることが目立ってきました。また、英語に関する能力は、入社する際や入社後の昇進などにも利用され、将来のキャリアの成功にも大きく関わっています。

  • 【知ってた?】子どもの英語教育は日本人講師からも学ぶべし!? その理由とは?

子どもの将来的な活躍を願う保護者としては、英語教育は当然気になる話題でしょう。そこで今回は子どもの英語教育について押さえておきたいポイントをお話ししていきます。

1. 現在の英語教育内容を把握する

「自分が英語を話せず苦労した(している)ので、子どもには英語が話せるようになってほしい」などと考える保護者も少なくないはずです。

30代~40代の子育て世代の方が「英語が話せない」のはなぜでしょうか? これはご自身の努力不足などでなく、当時の英語教育に原因があります。中学・高校のときの英語の授業を思い出してください。「(英語を)話す」授業をどれだけ受けましたか? 一つの授業(およそ50分)で何%が「話す」授業でしたか? 多くの人が、ほぼ0%と答えるのではないでしょうか。

当時の英語学習を「読む・書く・聞く・話す」の4技能に分けたとき、授業で扱われた4技能の割合は、「読む」85%、「書く」10%、「聞く」5%、「話す」0%といったような感じであったと思います。「(英語を)話す」授業を受けていないのだから、「(英語を)話せない」のは当然なのです。

一方、現在の小中高校で行われている英語教育は「話す」時間が確保されるようになっています。また、大変重要なことですが、教科書自体が「話す」授業を行いやすいコンテンツになっています。ですので、ご自身が「英語で話せず苦労した」経験をお子様がされる可能性はかなり低くなると言えるでしょう。

現在の英語教育は「話す」ことに大きくシフトされています。この状況をしっかり理解することで、お子様に必要な英語教育の方向性が見いだせるのではないでしょうか。

2. 英語は日本人の先生からも学ぶ

お子様を英会話スクールに通わされている保護者の方の多くは、ネイティブが担当してくれるレッスンを重視しているようです。

ネイティブとのレッスンにおける最大の恩恵は、ネイティブ発音への「慣れ」だと思います。第二言語として英語を習得した日本人にはまねのできないネイティブならではの音声を耳にすることは大切です。また、日常生活ではなかなか交流する機会の持てない外国人と、直接コミュニケーションが取れることも理由の一つかもしれません。

その一方で、あまり考慮されていないケースも多いようですが、「日本人」講師にレッスンを受ける利点もいくつかあります。

まず、日本人講師は、大学・大学院等で子ども向けの体系的な英語指導法をしっかり学んでいる場合が多いという特徴があります。次に、日本人講師は第二言語として英語を習得しています。つまり、ネイティブのように、第一言語として自然に英語を身につけたのではなく、自らが学習することによって英語を身につけたという点で生徒と同じ状況にあります。

例えば、fly:フライ「飛ぶ」とfry:フライ「揚げる」の音の違いなどは、自然に慣れるよりも日本語の「フライ」との違いを説明してあげると習得が早くなります。こういった点からも、ネイティブと日本人の先生両者からバランスよく学ぶべきかと考えます。

3. 英語教育の目的を忘れない

子どもに対する英語教育の若年化は進む一方です。この流れが焦りのようなものを生み、子どもの英語教育について一番大切な部分が忘れられている気がします。私は英検を毎回のように受験していますが、英検会場の小学生の数はこの3年ほどで急増しています。

「小学生で英検〇級合格」「小学生のうちに正しい発音をマスター」「小学生で中学文法の先取りを」などという宣伝もよく目にします。これから英語を学んでいくうえで、英検も発音も文法も大切なのは間違いありません。

しかし、これらのことよりも優先すべきは、子どもが英語を好きになり、英語を話せることをかっこいいと感じることだと思います。こうした思いを持った子供たちは英語学習に前向きに取り組み、中学や高校へ進学してもずっと同じ気持ちで英語学習を続けていけるはずです。

2022年ワールドカップサッカー日本代表で活躍し、「ブラボー」という言葉を流行させた長友佑都氏は「物心ついた頃からサッカーボールを蹴っていました」と言います。好きだからこそ自ら英語にたくさん触れる。この感覚が子どもの英語学習において一番重要なことだと言えるでしょう。