• 「どさ」の意味・語源

    「どさ」の意味や使い方を身につけましょう

「どさくさに紛れる」「どさ回し」など「どさ」という言葉を使った表現を見聞きすることがあるでしょう。また「どさ」は方言としても用いられることもあります。この「どさ」にはどういった意味があるのでしょうか。

この記事では「どさ」の意味やどのような地域で使われるのかについてご紹介します。

「どさ」の意味とは?

  • 「どさ」の意味・語源

    「どさ」にはさまざまな意味があります

「どさ」は、日常生活で頻繁に使う言葉ではないため、一般的に馴染みが薄いかもしれません。ここでは「どさ」の意味や語源をご紹介します。

「どさ」の意味は、主に2つあります。

  • 1. どこに行くの?

「どさ」は、青森県など東北地方でも使われる方言です。「ど」は「どこに」、「さ」は方角を表します。「どさ」を標準語に言い換えると「どこに行きますか? 」という意味です。

  • 2. 田舎・田舎者

「どさ」は地方や田舎、田舎者をさげすむ意味もあります。

江戸時代、佐渡金山で作業する人材を確保するために行われた博徒狩りが語源だとされています。

佐渡の金山での発掘作業が盛んだったころ、坑道が深くなるにつれて作業の負担が大きくなり、危険度も高くなったため労働者を集めるのが大変でした。そこで当時の政府は、江戸で増加していた無宿人を佐渡金山に送り込むことを考えます。

なお無宿人とは、かけおちや家出、ばくち、軽犯罪などにより戸籍を除かれた人のことです。発掘作業の人手を確保するために罪人予備軍を捕まえて佐渡に送ることを、「どさ」と呼ぶようになったといわれています。

2つ目の意味では使用しないようにしましょう。

短すぎる会話「どさゆさ」って?

ここで青森の方言「どさ」を使った会話の一例をみてみましょう。

「どさ? (どこに行きますか)」
「ゆさ(銭湯に行きます)」

このように、たったの4文字で会話が完結してしまうのです。

東北方言の特徴は、長い文章を短く表現することです。たとえば「あなた」は「な」、「わたし」は「わ」、「おいしい」を「め」と1文字で表します。

短く表現するようになった理由には、気温の低さが関係しているのだとか。東北地方は寒さが厳しく冬は唇がこわばるため、できるだけ口を開けずに発音し、短時間で会話ができるように言葉が短くなったと考えられています。

「どさ」を使った表現

  • 「どさ」を使った表現

    「どさ」を使った表現をご紹介します

「どさ」は、単体で使うことはあまりなく「紛れる」「回る」といった言葉と組み合わせて用いることがほとんどです。ここからは「どさ」を使った表現についてご紹介します。

どさくさに紛れる

「どさくさに紛れる」とは、混乱している状態を利用して悪いことをすることです。「どさくさ紛れ」と表現することもあります。なお「紛れる」とは「入りまじって区別がつかなくなる」「混乱などに乗じる」という意味の言葉です。

「どさくさに紛れる」の例文は、以下のとおりです。

・どさくさに紛れて逃げ出す

・ どさくさに紛れて証拠を隠滅した

・どさくさに紛れてうまい儲けをする

ちなみに、どさくさとは「突然の出来事や急用などのため混乱しているさま」「落ち着きを失っているさま」を表す言葉です。

「どさくさ」の語源は、前述の博徒狩りからきています。賭博をして佐渡に送られることを「どさを食った」といい、それが訛って「どさくさ」になったとされています。

どさ回り

「どさ回り」とは、劇団や芸人などが地方を興行して回ること。また決まった劇場を持たずに、地方巡業する劇団などを指します。

さらに、いつも人が集まっている場所や繁華街などを歩き回る遊び人という意味もあります。転じて中央から地方への転勤などを「どさ回り」と表現することもあるようです。

「どさ周り」を使った例文は次のとおりです。

・売れていなかった時代は、十余年どさ回りして活動していた

・どさ回りの旅暮らしで、数多くの安宿を泊まり歩いた

・長い間どさ回りしていた経歴があったからこそ、今の自分がある

「どさ回り」の語源も、博徒狩りで佐渡に送られることに関連しています。当時、一度佐渡に送られると、しばらく戻って来ることができませんでした。そこから、芸人や劇団が地方巡業に出ることを「どさ回り」と呼ぶようになったとされています。

「どさ」はさまざまな意味で用いられる言葉

青森などの東北地方では「どこに行きますか? 」というニュアンスで使われたり、田舎を馬鹿にする意味合いがあったり、さまざまな意味で用いられる言葉です。

「どさ」の使い方として、単体で使うことは少なく「どさくさ紛れ」や「どさ回し」など、他の言葉と組み合わせて用いるのが一般的です。「どさ」の意味を理解して、正しく使えるようにしましょう。