本作で改めて俳優業の醍醐味も感じたという。
「違う人間を作り上げてそれになりきる作業は、いつまで経っても興味深いなと感じていますし、人間を学ばせてもらっている気がしています。皆さんと議論していく中で自分の視野が広がる感覚も楽しくて、それも作品を作る魅力の一つだと思います」
そういった醍醐味は、最近より感じるようになってきているという。
「いろんな役を演じ、役を作る上でのアプローチ方法がどんどん出てきて、これやってみよう、あれやってみようと挑戦する楽しさを感じています。また、そういった計算ではなく、現場でその瞬間に生まれるものがあると知ってより楽しくなりました」
山下は以前、バラエティ番組に出演した際、大ヒットドラマ『野ブタ。をプロデュース』で演じた彰のチャラいキャラについて、当初は優等生キャラだったものの、本番で監督の要望とは真逆のことをして生まれたと明かしていた。
当時“イヤイヤ期”だったため違うことをやったという山下だが、「いい意味で裏切りたいという気持ちはずっと変わっていない」と言い、「天邪鬼なところがあって、子供の頃から予定調和的なのが好きではありませんでした。役も、自分の生き方も、予定調和にならないようにしている気がします」と自己分析。予定調和を壊すことで想像を超えるものを生み出し、多くの人たちを楽しませたいと考えている。
「こんな役やらないだろうという役に挑戦するなど、グッドサプライズを届けたいという気持ちは常にあります。そのほうが見ていて飽きないと思いますし、俳優の話だけでなくすべてにおいて、いい意味で裏切っていきたいと思います」
最近、予定調和を裏切るような挑戦をして、新しいものが生まれたエピソードを尋ねると、7月19日にリリースするニューアルバム『Sweet Vision』で経験したと明かした。
「普段ならやらないような曲をやりたくなって、歌ってみたら意外と歌いやすくて、もしかしたら自分の声にこういう曲も合っているのかなと。そういう風に自分のイメージとは違うものにも挑戦していこうと思います」