東京大学大学院新領域創成科学研究科 藤本・清水研究室と三井不動産は、屋外ロボット開発検証拠点「KOIL MOBILITY FIELD」にて、走行中給電用コイルを埋設した走行レーンを民間で初めて新設し、フィールド検証実験を開始した。

  • KOIL MOBILITY FIELD

東京大学大学院新領域創成科学研究科 藤本・清水研究室(以下、東京大学)と三井不動産は、これまでの共同研究において、首都圏最大級の屋外ロボット開発検証拠点「KOIL MOBILITY FIELD」を活用して、走行中給電の早期実用化を目指し研究開発を進めてきた。

今回新設したレーンは、走行している途中でも、EVに給電できるように送電コイルを道路に埋没した走行レーン。送電コイルは、道路工事や路面温度等の環境条件に対応できるSWCC社のものを使用し、より社会実装に近い実験ができるようにした。

  • 今回新設した走行レーンと、従来走行レーン

今回埋設した送電コイルは60秒間充電をすると、約6km走行できる試算となっている。社会実装に際しては、送電コイルは市中においては信号待ちをする交差点停止ライン30m付近に埋設することがより効果的であると考えられている。

  • 送電コイルの埋設

将来的に6km走行する間に60秒間の充電が可能なインフラ整備や街づくりを進めることができると、駐車して特定の充電設備を使うことなく断続的に充電しながら、バッテリーの正味消費電力をゼロにでき、小型なバッテリーだけで連続走行が可能となる。

今回のレーン新設により、東京大学と三井不動産は、日本初の電気自動車(EV)への走行中ワイヤレス給電の公道での実証実験により近づくこととなる。走行中給電システムを開発研究する企業、大学等は、東京大学と共同研究パートナーとなり、かつKOIL MOBILITY FIELDの会員になることで同レーンを利用できるようになる。

今回新設した走行中給電レーンでの研究成果については、2023 IEEE Third International Conference on Industrial Electronics for Sustainable Energy Systemsにて発表を予定している。