「歳」と「才」は、いずれも年齢を表す際に使用される漢字です。そのため、どちらを使えば良いのか迷われる方も多いのではないでしょうか。

本記事では、「歳」と「才」の違いや意味、正しい使い方について解説します。

「歳」と「才」の違いとは

  • 「歳」・「才」の違いとは

    「歳」と「才」の違いについてご紹介します。

「歳」「才」は、どちらも「さい」と読み、年齢を表記する際に使われる漢字です。ただし、これらは異なる意味を持っています。

「歳」は年月や数を表します。一方、「才」は生まれ持った才能や資質などの意味を持つ漢字です。「才」に年月や年齢に関する意味は存在しません。

つまり、年齢を示す漢字は「歳」が正式な表記といえます。

年齢は「歳」・「才」どちらを使えばいいの?

  • 年齢は「歳」・「才」どちらを使えばいいの?

    年齢は「歳」と「才」どちらを使えばよいのかを解説します。

前述の通り、年齢を示す助数詞には「歳」を使用することが正式な書き方とされています。

本来「才」は、「歳」とは異なる意味がありますが、なぜ年齢の表記に「才」が使用されることもあるのでしょうか。

年齢の表記に「才」が使用されている経緯は、画数にあります。「歳」は13画に対して、「才」は3画です。「歳」は画数が多いため、小学校で習う「才」で代用するケースが広く浸透するようになりました。

「歳」と「才」の意味

  • 「歳」・「才 」の意味

    「歳」と「才」の意味をそれぞれご紹介します。

前述の通り、「歳」と「才」は本来、まったく異なる意味を持った漢字です。そのため、年齢を表す時以外では、場面に応じて使い分ける必要があります。

ここからは、「歳」と「才」の意味についてそれぞれ詳しく解説します。

「歳」の意味

「歳」は、年月や数を表す漢字です。年齢を数える際は、「5歳」「満18歳」など、接頭に数字を置いて助数詞として用いられます。

そのほか「歳末」や「歳暮」など、年の暮れを表現する場合にも使われています。「歳」の訓読みは「とし」です。「歳を重ねる」「歳をとる」と表現できます。年齢を意味する言葉以外では、「豊歳」「凶歳」など、作物の実りを表す際にも使われます。数量を表す言葉の後につけることで、物の性質や形状を示す役割もあります。

「歳」は、「戉(エツ:刃物)」と「歩」から作られた漢字です。「歩」は「時の歩み」、つまり時の流れを意味します。育った稲穂を刈り取るまでに流れる時間を「歳」と表記したことが由来です。

「才」の意味

「才」は、人間の生まれ持つ能力や素質を表す漢字です。「才能」「秀才」「才色兼備」など、人が持っている能力を表す言葉に使用されます。木材や船の積荷の体積、織物の大きさの単位などに「才」が使われることもあります。

前述の通り、年齢の意味を持たない「才」が使われている理由は、画数が少なく、小学生でも簡単に書ける点にあります。

ただし、「才」は本来年齢を示す言葉ではなく、あくまで代用となるため、公文書や新聞には「歳」が使用されています。また、代用は年齢を表す助数詞の表現に限定されます。

「才」と「歳」は意味が異なるため、「歳末」を「才末」、「凶歳」を「凶才」と表記することはできません。

「歳」の正しい使い方・例文

  • 「歳」の正しい使い方・例文

    「歳」の正しい使い方を例文でご紹介します。

前述の通り、「歳」は年月や年齢など、時間の流れを表す際に使用される漢字ですが、さまざまな言葉に使用されています。

ここでは「歳」の使い方を、例文とともに詳しくご紹介します。

  • 彼は今年で10歳になった

年齢を示す場合、前述の通り「歳」を助数詞として使用します。助数詞とは、数を表す語の後につけて物の種類と値を示す接尾語の一つです。「〇歳」と表記すると、年齢を示す数字だとわかります。

年齢を示すケースでのみ、「才」と「歳」が併用して使用されていますが、本来の意味から「歳」が正しい表記です。正式な文書で年齢を記載する際は「歳」と書きましょう。

  • 今年のお歳暮の準備を始める

本来、「歳暮」とは年の暮れ、つまり1年の終わりを表す言葉です。12月の季語にも使われます。ここでの「歳」は1年の時間の流れを表しています。現代では、年末に贈り物をする行為や贈り物そのものを「お歳暮」と呼ぶことが一般的です。

  • 彼女は良い歳のとり方をしている

「歳」の訓読みは、「とし」です。訓読みの場合、「年齢」を示す意味で使われます。数字を使わずに年齢を示す場合、「歳をとる」「歳を重ねる」と表現します。

  • 長い歳月をかけて問題を解決した

「歳月」とは、「年月、としつき」を表す語です。よってこの例文は、「長い年月をかけて問題を解決した」と言い換えられます。

「才」の正しい使い方・例文

  • 「才」の正しい使い方・例文

    「才」の正しい使い方を例文でご紹介します。

「才」は、前述の通り、年齢の助数詞としての「歳」の代用を除いては、年齢や年月に対してこの漢字を使用することはありません。

ここでは、「才」の正しい使い方を例文とともにご紹介します。

  • 彼女には優れたスポーツの才能がある

「才」は、生まれつき持っている知能や才能を表す言葉です。個人の素質はもちろん、努力や訓練で成し遂げられる力とも表現できます。相手を賞賛したり、努力の結果を称えたりと、優れた能力を認める際に使用します。

  • 彼は後世で数学の天才と呼ばれることになる

「才」を含む言葉としてよく使われる例に、「天才」があります。「天才」は、天性の才能を意味する言葉です。生まれつき持つ優れた才能や、素質を持った人物に使われます。芸術やスポーツなど、ある分野で人間の一般的な能力値を超えていると賞賛する表現です。

  • 多才で博識な人にあこがれる

「多才」とは、多方面で活躍する人を賞賛する際に使われる言葉です。四字熟語では「博学多才」「多芸多才」と使われています。2つ以上の分野で優れた能力がある人物を指す表現です。

  • 息子に「5才のお誕生日、おめでとう」と書いたメッセージカードを渡した

年齢を示す場合、正しくは「歳」と表記しますが、前述の通り、年齢を表す「才」は「歳」を習っていない小学生向けに使われたことが広く浸透したとされるものです。

この例文では、小さい子どもに向けたメッセージであるため、相手にきちんと伝わるように「才」と表記しています。

「歳」と「才」の違い・使い方を知っておこう

  • 「歳」と「才」の違い・使い方を知っておこう

    「歳」と「才」の違い・使い方を知っておこう

「歳」と「才」は、それぞれ異なる意味を持つ言葉ですが、いずれも年齢を示す際の助数詞で使われるケースがあるため、使い方に迷う場合もあるでしょう。「歳」と「才」の意味を理解して、正しいシーンで使えるようにしましょう。