「以外」と「意外」は、日常的によく使われる言葉です。
どちらも「いがい」と読みますが、意味が異なるため、メールや手紙のように文章で伝えるときには、正しく使い分ける必要があります。この2つの言葉を正確に使い分けられているでしょうか。
本記事では、「以外」と「意外」の違いや使い分け方、例文などを紹介します。
「以外」と「意外」の違いとは
「以外」と「意外」はどちらも「いがい」と読む、同音異義語です。
「以外」は「ある物事を除くこと」であり、ある物事の他のものを指し示す場面で使われます。一方の「意外」は「想定と異なること、予想外のこと」を意味します。
「以外」は除く対象の後に付けて「(対象)以外」のように使う言葉です。
一方の「意外」は「意外です」や「意外に思う」のように単体で使われます。ほかにも、「意外と素早い」や「意外な出来事」のように、用言や体言の前につける修飾語としても使用されます。
「以外」と「意外」の意味
ここでは、「以外」と「意外」それぞれの意味を、より詳しく解説します。意味を正しく理解することで、違いをしっかりと認識しましょう。
「以外」の意味
「以外」は、ある範囲の外側という意味です。他の名詞や動詞の後ろに付けて、それを除く他の物事を意味します。
「以」は、範囲や方向の起点を示す語であり、「〜より」という意味があります。そして「外」という漢字は「そと」や「ある範囲から外れたところ」の意味です。そのため「以外」は、ある範囲より外側、つまり「それを除く他のこと」を指します。
たとえば「日本以外の国」や「関係者以外立ち入り禁止」のように、「以外」の前にくるものを除くときに使う言葉です。
「意外」の意味
「意外」は、想定していた状態と大きく違っている状況や様子を表します。それまでに考えていたことと全く異なる様子や予想外の物事に対して使用します。
「意」は、「気持ち」や「心に思うこと」を意味する漢字です。そして「外」は、前述のように「ある範囲から外れたところ」を意味します。そのため、「意外」は「心に思うことと異なる」ことを表現する言葉です。
たとえば、「意外な展開」や「意外と早かった」のように使用します。「意外」は「予想と違った」「思っていたものと違う」状態を表し、感想や主観を伝える際に使う言葉です。
「以外」の正しい使い方・例文
前述のように、「以外」は、その前に除くものを付けて、「〜以外」のように使う言葉です。
ここでは、「以外」の正しい使い方を、いくつかの例文とともに確認します。
- そうする以外の方法が思いつかない
「以外」の前にある「そうする」ことを除いた方法が思いつかないという意味の例文です。つまり「そうする」方法しか思いつかないことを表します。
- ここは関係者以外立ち入り禁止です
「関係者」に該当しない人の立ち入りを禁止する言い回しの例文です。関係者のみが入れる場所であることを伝えています。
似た例文として「この先は工事車両以外進入禁止です」や「関係者以外はこの会議に参加できません」などがあります。
- 業務に関する質問以外には答えない
「業務」に関係しない質問には答えない、つまりは業務に関する質問のみに答えるという意味の例文です。
他の例文として「この店ではクレジットカード以外の支払い方法は使えません」や「この材料は指定業務以外の用途に使用することは禁じられています」があります。
「意外」の正しい使い方・例文
「意外」は、予想外の状況や状態に対して、自分の感想を伝えるときに使います。
ここからは、「意外」の正しい使い方と例文を確認しましょう。
- 見た目に反して、意外においしい料理だった
この例文は、食べる前にはおいしくないだろうと予想していた料理を食べてみたところ、予想に反しておいしい料理だったという意味です。このように予想と結果が異なる場合に「意外」を使用します。
- 意外と居心地がよい宿だった
この例文では、「居心地がよい宿」の前に「意外と」と付いているため、訪れる前には「宿の居心地がよくない」もしくは「居心地が悪い」ことを予想していたと考えられます。もしくは宿の居心地について全く考えていなかったケースもあるでしょう。
「意外と」を使うことで、自分の予想や期待が当たらなかったことを表現できます。
- 彼女は意外と親切な人でした
「意外と」の後にくる「親切な人」が現実に感じたことであり、「意外と」は、予想が外れたことを表します。
つまり、「彼女は親切でないだろう」という予想が先にあり、それに反して実際は彼女が親切であったことを表現する例文です。
- 彼らの意外な一面を見た
「意外な一面」は、この人にはこういった面があるだろうという予想が先にあり、それと異なる面を見つけた場合に使います。
「以外」と「意外」の使い分け方を知っておこう
「以外」と「意外」は意味が異なる同音異義語です。2つの言葉の使い分けはそれほど難しくありません。
全体から何かを取り除く表現では「以外」を使い、予想と違うと感じたときには「意外」を使います。使い分けに迷ったときには、それぞれの漢字の意味を思い出すとよいでしょう。