東京商工リサーチは6月20日、「少⼦化対策」に関するアンケート調査の結果を発表した。調査は6月1日〜8日、日本全国大企業(資本⾦1億円以上)655社、および中小企業(資本⾦1億円未満)4,628社を対象にインターネットで行われた。
少子化対策として、「3歳までの在宅勤務」「3歳までのフレックスタイム制の適用」「就学前までの残業免除権の拡大」などが検討されているが、導入した場合に、業務に支障が出そうなものを教えてもらったところ、大企業の51.9%、中小企業の49.6%が、3つのうち1つ以上導入することで「支障がある」と回答。
「支障あり」の回答率を支援策別でみると、「3歳までの在宅勤務」が最も高く38.1%。次いで「3歳までのフレックスタイム制の適用」が26.1%、「就学前までの残業免除権の拡大」が23.7%という結果に。コロナ禍を契機に在宅勤務やフレックスタイム制が広がり、仕事と育児の両立支援の地盤は整いつつあるものの、「在宅勤務」については、社内コミュニケーションなどへの影響も指摘されており、効率化には弾力的な運用が必要なよう。
従業員数別では、「300人以上」(59.7%)で6割を占めた一方、「5人未満」では25.7%と、従業員数が少ないほど「支障あり」が下がる傾向に。大企業は女性の雇用拡大に取り組んでいるほか、責任ある職務に就いた社員のカバーが難しいことも背景にあるよう。一方、中小・零細企業は、従業員の高齢化や採用難などで少子化対策の両立支援策が必要な年代が少ないことや、中小・零細企業ほど、男性を含めた子育て関連支援制度の整備が進んでいないことが要因として挙げられる。
産業別では、「製造業」(55.3%)、「建設業」(52.8%)、「小売業」(52.4%)の3産業で半数を超え、特に「3歳までの在宅勤務」の回答比率が高く、「製造業」(42.6%)、「建設業」(38.7%)、「小売業」(39.3%)と4割前後に。工場や工事現場、店舗での業務は在宅での対応は難しく、仕事と育児の両立支援策両立支援は業種間で負担に濃淡が分かれた。
業種別(母数10社以上)では、「学校教育」(81.8%)で8割を超え、対面が必須の授業も多いことから在宅勤務やフレックスタイム制の導入は難しいよう。また、5位「宿泊業」(構成比65.0%)、9位「社会保険・社会福祉・介護事業」(同63.1%)、「飲食店」(同61.2%)など、対面サービス業の構成比が高かったほか、2位の「家具・装備品製造業」(同78.2%)、6位の「パルプ・紙・紙加工品製造業」(同63.8%)など、製造業が上位15業種のうち7業種を占め、人手不足が解消しないなかで、製造ラインの人員見直しが難しいこ現状が浮き彫りとなった。