第13期加古川青流戦(主催:加古川市、一般財団法人加古川市ウェルネス協会)は、2回戦の井田明宏四段-生垣寛人三段戦が6月10日(土)に関西将棋会館で行われました。対局の結果、91手で勝利した井田四段が次回戦進出を決めました。

生垣三段の四間飛車穴熊

井田四段は京都府出身の26歳。居飛車党で、雁木と相掛かりを主戦場としています。対する生垣三段は兵庫県出身の19歳。振り飛車党で、昨年の三段リーグ(前期)では12勝6敗の好成績を残しています。午前中に行われた荒木隆アマとの対局を最終盤の逆転劇で制した生垣三段は、後手番で迎えた本局で角道を止めた四間飛車を採用しました。

生垣三段の四間飛車は左銀を5筋に構える独特の作戦で、持久戦になれば四枚美濃の堅陣を組んで堅さを主張する狙いです。これを受けた先手の井田四段が袖飛車に振って戦いを挑んだのは臨機応変の対応で、実戦では手薄になった振り飛車の角頭を狙いつつ首尾よく後手の左金を3筋にくぎ付けにすることに成功した井田四段が早くも主導権を握りました。

井田四段が丁寧な指し回しで勝利

盤面右方で屈服する形となった生垣三段は振り飛車穴熊に囲うことで対抗を試みますが、井田四段もゆうゆうと左美濃囲いに組んで崩れません。反対に、黙っていては作戦負けと見た生垣三段が7筋から開戦したのに対して丁寧に面倒を見たのが井田四段らしい手厚い勝着となりました。生垣三段は右辺の飛車角が遊び駒となっているのが響きます。

優位に立った井田四段は、相手からの端攻めを逆襲する形で反撃に転じます。終局時刻は15時16分(14時開始、持ち時間各1時間)、追いすがる生垣三段の反撃をいなしつつ桂香の攻め駒で丁寧に振り飛車穴熊を攻略した井田四段が勝利、3回戦への進出を決めました。井田四段は次局で徳田拳士四段-上野裕寿三段戦の勝者と対戦します。

  • 井田四段は局後SNSを更新し、決断良く指すのを心掛けたのが功を奏したと振り返った

    井田四段は局後SNSを更新し、決断良く指すのを心掛けたのが功を奏したと振り返った

水留 啓(将棋情報局)

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