本記事では「お恥ずかしながら」「恥ずかしながら」の詳しい意味や使い方と例文を紹介。戦後に流行語となった「恥ずかしながら帰って参りました」についてや使用時の注意点、類語もまとめました。

  • お恥ずかしながらとは

    「お恥ずかしながら」の意味や正しい使い方、使用する際の注意点、類語などを紹介します

「お恥ずかしながら」の意味とは?

「お恥ずかしながら」は、恥ずかしいことですが、という意味のクッション言葉であり、実際には「恥ずかしながら」の形で使用するのが一般的です。

「恥ずかしい」には、自分の欠点やミスを面目ないと思う様子や体裁が悪い様子、照れくさい様子、気後れする様子などの意味があります。

「~ながら」は「にもかかわらず」「けれども」「ではあるが」といった意味です。

「恥ずかしながら」には、単純に羞恥心だけではなく、申し訳なさのニュアンスも含まれています。

例えば、仕事をする上で自らの力不足、知識不足を感じたり、誰かに対してお詫びをしなくてはならなかったりする場合に使用します。

横井庄一さんの「恥ずかしながら帰って参りました」が流行語に

「恥ずかしながら」を含む、特に有名なフレーズは、横井庄一さんの言葉です。

横井庄一さんは1944年(昭和19年)、第二次世界大戦のため日本兵としてグアム島に送られます。アメリカ軍の上陸により日本軍は壊滅状態に陥り、横井さんは同年9月30日に戦死したことになっていました。

しかし実際には、1972年(昭和47年)に偶然発見されるまでの約28年もの間、戦争が続いていると信じ、ジャングルで一人、敵から隠れて孤独な戦いを続けていたのです。

横井庄一さんが帰国後に発した「恥ずかしいけれども帰って参りました」」「恥ずかしながら生きながらえておりました」などの言葉が広がり、「恥ずかしながら帰って参りました」となって、当時の流行語となりました。

命を掛けて戦争に赴いたものの、生きて帰って来たことを恥じながら、それでも自分の経験を伝えることが何かの役に立つのではないかと述べる横井庄一さんに、戦争を知らない世代を含め、多くの人が心を揺さぶられたのです。

「恥ずかしながら」の正しい使い方・例文

  • 「恥ずかしながら」の正しい使い方・例文

ここからは、「恥ずかしながら」の使い方と例文についてご紹介しましょう。ビジネスをはじめとした重要な場面でもよく使われる言葉なので、正しく理解したいものです。

ビジネスで取引先に向けて使用する場合

「恥ずかしながら」は、自分よりも目上の立場である取引先に向けても使用できます。取引先に対して自分の力不足を伝えたり、謝罪をしたりする場面で使います。

例えば、「恥ずかしながら◯◯の件は、私のミスに起因するものです」という使い方が可能です。

その他にも「恥ずかしながらわが社のシステムにバグが見つかりました」など、自分だけではなく自分の会社のミスについて述べる際にも使えます。

なお深刻な事柄に対して使用する際は「恥ずかしながら」だけでなく、前後に「申し訳ございません」などのはっきりとした謝罪の言葉を添えるといいでしょう。

上司に向けて使用する場合

上司に向けて話をする場面でも、「恥ずかしながら」は使用可能です。上司に何か伝えにくいことがある際は、ぜひ活用してみてください。

例えば「その件につきましては、恥ずかしながら存じませんでした」などと、自分の知識不足について述べることができます。

その他にも、「恥ずかしながら、部下を管理できていない状態です」というように、自分の不足している部分について述べ、申し訳ない気持ちを持っていることを表せます。

またこの場合も、深刻な事柄に対して使用する際は「恥ずかしながら」だけでなく、前後に「申し訳ございません」などのはっきりとした謝罪の言葉を添えましょう。

日常会話で使用する場合

「恥ずかしながら」はビジネスの場面だけではなく、日常会話でも使用が可能です。

例えば、「恥ずかしながら、料理はあまり得意ではなくて…」と、照れくさい様子、気後れしている様子を相手に伝えたいときに使えます。

その他にも、「恥ずかしながら、妻とけんかをしておりまして…」など、他人に話しづらい話題について述べるときにも、マイルドに伝えることが可能です。

「恥ずかしながら」をビジネスで使う場合の注意点

  • 「恥ずかしながら」の使用時に気を付けること

「恥ずかしながら」は便利な表現ではありますが、同じ会話の中で何度も使用するのは避けましょう。

多用することで言葉が軽々しくなったり、相手に「そんなにいくつも恥ずべきことがあるのか」「改善する気持ちはないのか」などと思われてしまったりする可能性があります。

また「恥ずかしながら」と言われる度に、相手はフォローの言葉を考える必要があるため、余計な負担を掛けてしまいます。

「恥ずかしながら」を使用する際は、言われた相手の気持ちを考えて、適度な量に抑えましょう。

「恥ずかしながら」の返答・返信

ここでは、「恥ずかしながら」と相手に言われた場合に、どのように返答するといいのかを紹介します。

「恥ずかしながら」という言葉を使う心理として、相手が自分に対し、何か申し訳ないという気持ちを持っている可能性があります。

そのため、相手をフォローしてあげるような返答をするのが望ましいでしょう。そうすることでその後の会話の流れや人間関係がスムーズになるはずです。

「恥ずかしながら」の類語・言い換え表現

  • 「恥ずかしながら」の類義語

ここからは、より理解を深めてもらうために、類語や言い換え表現を紹介します。「恥ずかしながら」と似ている部分や違う部分を確認し、場面に応じて使い分けてみましょう。

恐縮ですが

「恐縮ですが」は、「恥ずかしながら」と同じく、相手に対し気おくれする場面、申し訳なく思う場面などに使用します。特に相手に何かお願いしたいときや、伝えにくいことがあるときなどに使える言葉です。

例えば、「お忙しいところ恐縮ですが、少しお時間を頂戴できますでしょうか」「大変恐縮ですが、私ではお役に立てそうもありません」といった使い方ができます。

僭越ながら

「僭越(せんえつ)ながら」は、自分の地位や立場、身分を越えて、出過ぎたまねをしていると自覚している際に使用します。「恥ずかしながら」と全く同じ意味合いではないものの、体裁の悪い様子を表したいときに、言い換えが可能でしょう。

例えば「僭越ながら、この場合はこちらの案の方がふさわしいかと存じます」という使い方ができます。

目上の人に対して、謙遜しつつも自分の意見を伝えられる言葉です。

「恥ずかしながら」を正しく適切に活用しよう

「恥ずかしながら」とは、体裁が悪い様子や、照れくさい様子、気後れする様子などについて表現する言葉です。

本記事を参考に「恥ずかしながら」の意味や使い方を正しく理解して、適切に活用しましょう。