「当面の間」という言葉は、ビジネスシーンや日常でよく耳にします。しかし、正しい意味を聞かれると、正確に答えることが難しいと感じることもあるのではないでしょうか。
そこで、本記事では「当面の間」の意味や期間、使い方を詳しくご紹介します。
「当面の間」とは
ここでは、「当面の間」の意味や期間、「当分の間」との違いを解説します。
「当面の間」の意味
「当面」とは「さしあたって」という意味を持つ言葉で、「当面の間」は「しばらくの間」といった意味で使用されます。「とりあえず少しの期間、いつまでかは不明」というニュアンスです。
「当面の間」の期間は?
結論、「当面の間」は具体的な期間は決まっていません。
前述の通り、「当面」とは「さしあたり」を意味しますので、「今のところは」や「一時的に」の意味を含み、「現段階でいつとは決まっていない状態」を示すのです。
また、「しばらく」のニュアンスも含むため、早急に解決できるというよりは少し時間がかかる状況に対して使うのがふさわしいでしょう。
「当面の間」は誤り?
「当面」に「今しばらく」「さしあたり」という意味があるので、「間」をつけて「当面の間」にするのは、意味が重複しているため間違っているともいわれています。
しかし、「当面の間」は多くの場面で一般的に使用されているので、気にせずに使用しても問題はないでしょう。
「当面の間」と「当分の間」の違い
「当面の間」と「当分の間」はどちらも「しばらくの間」を意味するため、さほど大きな差はありません。基本的に同じように使用されますが、指す期間の印象が異なります。
「当面の間」は、「今のところは」というニュアンスを含む表現です。一方で「当分の間」は「当分」を含み、「しばらく」を主に意味します。そのため、「当分の間」の方が「当面の間」よりも期間が長いときに使用する傾向です。
このように多少の差はありますが、どちらも同じように使用して問題はないでしょう。
「当面の間」の使い方・例文
「当面の間」の使い方と例文をご紹介します。
- ネガティブな状況を表すとき
「家の給湯器が動かなくなったせいで、当面の間、ホテル暮らしになる」
- 急な路面トラブルで報告や告知、連絡が必要なとき
「道路凍結のため、当面の間通行止めです」
- 急な休業で報告や告知、連絡が必要なとき
「〇〇のため、当面の間休業とさせていただきます」
以上のように、「当面の間」は現段階で特定できない期間を示します。
「当面の間」をビジネスで使うときの注意点
ビジネスシーンでもよく使われる「当面の間」ですが、使用する際の注意点を確認しておきましょう。
「当面の間」を、ビジネスシーンで使うシチュエーションはかなり限定されています。「問題が発生し、復旧の目途や元通りになる期間が分からないとき」に使用すると考えてよいでしょう。
いつまで続くか予想しにくい、不確定な期間を示す際に使用するのが基本です。ある程度期間が読める場合は使用しません。
「当面の間」の類語・言い換え表現
不確定な期間を示す際に使用される「当面の間」ですが、他の言葉に言い換えることはできるのでしょうか。
「当面の間」に似た使い方ができる言葉はいくつかあります。
以下に、類語や言い換え表現を紹介します。
さしあたって
当面と同じく、「とりあえず今は」という意味合いがある言葉です。先のことが不明確な場合に使用する点も、「当面の間」と同じです。
当分の間
前述した、「当分の間」も同じ意味合いで使用可能です。「当面の間」と比較すると、「当分」は「しばらく」の意味合いが強いイメージです。
そのため、「しばらくの間」の言い換えとして使用され、「見通しのつかない間はずっと」という状態を示します。
「今のところは」という意味を含む「当面の間」よりも長い期間を指す場合の使用が多いといえますが、一般的には、期間の長さの違いをそれほど意識せず使用されています。
今のところ
「今のところ」も、「当面の間」に似た使い方のできる言葉です。「当面」と同じく、「差し迫った今」を指します。
「現時点では」の意味合いを強く持つ表現です。そのため、今後状況が変化する可能性を含む場合に使用します。
しばらくの間
「しばらくの間」は、ある程度長い間や見通しの見えない一定期間を指す表現です。
例として「しばらくの間お休みします」、「しばらくの間、海外で生活をします」のような使い方をします。
「当面の間」を正しく理解して使用しよう
「当面の間」の意味と使い方をご紹介しました。
何気なく使っていた「当面の間」ですが、きちんと意味を理解すると活かせる場面が増えます。 ときと場合によって上手に使い分け、円滑なコミュニケーションに活かしましょう。