「先んじて」はビジネスシーンにおいて使われることがある言葉です。メールで目にすることも多い言葉ですが、正しい意味を知らないという人もいるのではないでしょうか。

本記事では、「先んじて」の正しい使い方や例文、類語・言い換え表現、英語表現などについて紹介します。

「先んじて」とは? 読み方・意味・由来

  • 「先んじて」の意味・読み方とは

    「先んじて」の読み方は「さきんじて」です

ここでは、「先んじて」の読み方・意味・由来を解説します。

「先んじて」の読み方

「先んじて」は「さきんじて」と読みます。

「先んじて」の意味

「先んじて」とは、「前もって」「あらかじめ」「先立って」という意味です。

「先んじて」の由来

「先んじて」は、動詞の「先んじる」の連用形「先んじ」に、接続助詞の「て」がついた言葉です。「先んじる」は、「先んじて」と同じく「ものごとを他者より先に進める」「先に起こす」などの意味があります。

「先んじて」と「先だって」の違い

「先んじて」と似ている言葉に「先だって」があります。

「先だって」には、「先んじて」と同じように「前もって」「先に」「あらかじめ」の意味を持ちますが、「先日」「この間」といった過去のことも含まれます。これに対して「先んじて」には、過去のことは含まれていません。

「先んじて」は敬語? 目上に使える?

「先んじて」は、正確には敬語ではありませんが、敬語表現と一緒に使用することで、丁寧な言葉遣いになります。目上の人へ業務の報告や連絡をする際にも、「先んじて」は使用して問題ないでしょう。

「先んじて」の正しい使い方・ビジネスで使える例文

  • 「先んじて」の正しい使い方・ビジネスで使える例文

    誰よりも早く行動して物事を有利に進めるという意味

ここでは、「先んじて」のビジネスで使える例文を3つご紹介します。

この分野において、弊社の技術は他社に先んじていると自負しております

この例文は、「自社の技術は他社と比べて先に進んでいると自信を持っています」という意味になります。

自社のサービス・商品をプレゼンテーションする際に使用できるフレーズです。ほかにも、「弊社の技術は他社より先んじています」「この分野の技術は弊社が先んじています」などのように使用することもできます。

担当の変更が決まりましたので、先んじてご報告いたします

この例文は、「担当している人が変更になることが決まったため、前もって報告します」という意味です。

会社の営業担当や編集者など、異動・退職によって担当者が変更になるケースがあります。その際、相手に対して前もって連絡する文章として使用できます。

なお「先んじて」には、「先に」「あらかじめ」「前に」などの意味合いがあるため、担当者の変更が確定している状態で相手に報告しましょう。

そのほか「〇〇様の担当者が変更になるため、先んじて連絡します」「担当者の変更を先んじて報告します」といった使い方も同じ意味になります。

ライバルに先んじて契約を取ることに成功した

この例文は、「ライバルの会社(人)よりも先に契約を取ることに成功した」という意味になります。営業先やユーザーに対してではなく、同僚や上司などに対して報告する際や、自身の日報や記録に使用できるフレーズです。

ほかにも、「先んじて」には「誰よりも早い」の意味があるため、「先んじて契約を勝ち取った」という言葉も同じ意味で使用できます。

また、契約を取ってからだけではなく、「ライバルに先んじて契約を取る」といったように今後の目標として使用することも可能です。

「先んじて」の類語・言い換え表現

  • 「先んじて」の類語・言い換え表現

    「先んじて」の類語・言い換えについて紹介

ここでは、「先んじて」の類語について解説します。

先駆けて

「先駆けて」は「さきがけて」と読み、「他のものごとよりも先に」「他者よりも先行して始める」などの意味を持ちます。真っ先に攻め入ることを表す言葉でもあり、誰よりも(なにより)先に始めることを指します。

ビジネスシーンでは、ライバルの会社や人よりも先に始めることを示す際に使用されます。以下の例文のように、ポジティブな意味で使われることが一般的です。

  • この技術は弊社が先駆けて導入して功績をあげられた

早々と

「早々」には、「そうそう」「はやばや」の2つの読み方があります。どちらの読みでも「早くものごとを始める様子」「誰よりも早くに始めること」などの意味があります。

また、「そうそう」には「行動を起こしたすぐ後」という意味もあります。「はやばや」は、「はやばやと眠る」「はやばやと店じまいをする」など、普段よりも早めに行動する様子を表すことも可能です。

先行して

「先行して」は、「せんこうして」と読み、「先に立ち手引きをする」「他のことよりも先に始める」などの意味を持ちます。

また、ビジネスにおいては、ある動作をライバルの会社(人)よりも早いタイミングで起こすことや、先に行動することを意味します。

「先んじて」は硬い表現で日常会話ではあまり使われませんが、「先行」は「先行投資」「先行発売」「先行開発」などさまざまな言葉と組み合わせて使われています。

先陣を切って

「先陣を切って」は、「せんじんをきって」と読みます。「ものごとを真っ先に行う様子」「最初に切り込み他の者が後に続く様子」などの意味があります。

「先んじて」の英語表現

  • 「先んじて」の英語表現

    「先んじて」の英語表現について

「先んじて」の英語表現には、「in advance」「ahead」「do first」が使われます。それぞれの単語の意味は、以下のとおりです。

  • in advance:先だって、より進んで
  • ahead:前に進める、前進させる
  • do first:まず

ビジネス・日常で「先んじて」を適切に活用しよう

  • ビジネス・日常で「先んじて」を適切に活用しよう

    「先んじて」を適切に活用しよう

「先んじて(さきんじて)」は、「先に」「早々に・早い」「あらかじめ」などの意味を持つ言葉です。似た言葉の「先だって」は過去まで含めた使い方をしますが、「先んじて」は過去を含みません。必ずものごとが起きる前に伝えましょう。