タレントのタモリが、第60回ギャラクシー賞(主催:放送批評懇談会)の放送批評懇談会60周年記念賞を受賞。31日、都内のホテルで行われた贈賞式で喜びを語った。
受賞の感想を聞かれ、「今までの受賞は作品に関わったということで私1人の受賞ではないんですが、今回は『おまえ、よくやったぞ』っていうことですから、これ正直意味が違うんですよね」と実感をコメント。
続けて、「私この世界に入りましてずっと活動してきたんですけど、ほぼ半分は非難の歴史です。まず最初に『テレビでサングラスをかけるな』ということから始まって、白いブリーフ1枚でイグアナやったりなんかして、非難は当然だと思うんですけど、ようやくここいらで褒められ始めて、ちょっと気持ち悪く思ってます(笑)」と本音を述べた。
長い芸能活動の中で、最も印象に残る出来事は、『笑っていいとも!』(フジテレビ)で「テレフォンショッキング」ゲストの作家・有吉佐和子氏が、ほぼ全編しゃべり倒したことで、「最後まで全部のコーナーをぶち壊して、1人でしゃべって帰っていったんです。帰りがけにまだ客席にいましたから」と回想。さらに、「その後、黒柳(徹子)さんが同じことをなさいまして、この2つは印象に残ってますね。ひどい方たちです(笑)」と振り返った。
今回の受賞では「唯一無二の批評性」と評価されたが、タモリは「過大評価です。批評性はないけども、ひねくれてるから、それが出てるだけですね。それだけの力もないし、技術もないので、言っていただくのはありがたいですけど、過大評価です」と恐縮。
最後に、ラジオ・テレビへの期待を聞かれ、「今地上波ってちょっと下り坂になってるみたいで、関係者いろいろご苦労なさってると思うんですけど、まだまだやれる余地があると思うので、今後もそれを見つけてやっていきたいと思います」と意欲を示した。
タモリの登壇前、呼び込んだ司会の長野智子が、「足跡」を「そくせき」ではなく「あしあと」と読み間違えるハプニングがあったが、最後に、司会のジョン・カビラに「ぜひともまた素晴らしい足跡(そくせき)を歩み続けてください」と言葉をかけられたタモリは「分かりました。足跡(あしあと)を残したいと思います。泥棒じゃないんだから(笑)」とニヤリ。長野は「すみません!」と謝罪していた。
放送批評懇談会は「1970年代のデビュー以来、鋭い批評性に裏打ちされた知的な笑いは変わることがありません。その唯一無二の批評性は、今の時代においてこそ必要とされているものです。さらに、その一貫して自由で柔軟な生き方は、タレントという枠を越えた絶大な存在感を示し、多くの人々から支持されてきました。半世紀近く常にテレビやラジオの第一線で活躍してきた放送界への多大な貢献は、当会の60年におよぶ批評活動を記念して贈る賞にまさにふさわしく、心からの敬意を表するものです」と選評している。