会社という組織の中にいる以上、誰しも上司との付き合いは避けられません。そして、その上司の人柄や仕事ぶりは、たいていの場合において部下たちに大きく影響します。

優秀で信頼のおける上司であれば言うこと無しですが、中にはそうでない人がいることも事実です。

そこでこの記事では、仕事ができない上司に共通する特徴や具体的な問題点、対処法を紹介します。ボスマネジメントや、なぜ仕事ができない上司が存在するかについてもまとめました。

  • 仕事ができない上司にストレスを感じているあなたへ

    仕事ができない上司の特徴や、対処法を紹介します

仕事ができない、仕事をしない上司にストレスを感じている人は多い

「上司たるもの、優秀で仕事ができるはず」と思いがちですが、仕事ができない上司に頭を抱える部下の人は意外にも多いものです。

ではなぜ、仕事ができない、仕事をしない上司が存在するのでしょうか。

理由の一つとして、年功序列が根強かったり、評価制度がしっかりしていなかったり、社内でのごますりが上手な人が優遇されたりという環境であるために、実力が伴わない人が出世しているケースが考えられます。

このケースの場合、優秀でない上司に部下が振り回されたり、適切な指導をしてもらえなかったりすることがあるでしょう。

また別の理由としては、平社員であったときに求められていたスキルと、上司として求められるスキルが異なることも挙げられます。

上司の主な役割は、部下の仕事を管理し、より良い方向に導くことであり、マネジメント能力に長(た)けていることが必須であるといえます。

一方でこのマネジメントスキルは、平社員として業務をこなしているときにはそれほど重視されないことが多いです。そのため、業績を上げていた平社員が、必ずしも優秀な上司になるとは限らないのです。

プレーヤーとしては優秀だがマネージャーとしては不十分な上司にあたった場合、部下は進むべき方向性を見失ったり、相談をしても適切な回答が得られなかったりします。

「上司が仕事できない! ストレス!」と部下に思われる上司にありがちな特徴

それでは、仕事ができない上司が持つ特徴には、どのような点が挙げられるでしょうか。自分の上司に悩んでいる方は、上司に当てはまる部分が無いかチェックしてみてください。

自己管理ができない

仕事ができない上司には、自己管理ができないという特徴があります。

具体的には、

  • 時間を守れない
  • スケジュール調整が苦手である
  • 物の管理ができずに、よく失くしたり忘れたりする

などです。

このような人は、他者に「だらしない」という印象を与えてしまうことは必至です。上司でなくたとえ同じ立場であったとしても、仕事仲間として信頼することは難しいでしょう。

打ち合わせの重複や資料の基になるデータの紛失など、部下に直接的な被害が出ることも十分に考えられます。

やる気がなく、頼りにならない

仕事に対するやる気が感じられず、部下の目に頼りなく映るという点も、仕事ができない上司の特徴です。

例えば、

  • 勤務時間中に私用電話を頻繁にする
  • PCやスマートフォンでLINEやゲームをする

など、明らかに不適切な勤務態度をとる上司もいます。

このような上司の下では、部下のモチベーションが下がることは当然といえるでしょう。

忙しいフリ、忙しいアピールをする

忙しいフリをすることも、仕事ができない上司の特徴の一つです。できるだけ仕事をせずに過ごしたいと考えているため、忙しいことを理由にして、自分の代わりに周囲の人間を動かそうとします。

また忙しいフリは、「上司である自分は抱えている仕事が多くて大変なのだ」というアピールであることもあります。このような上司は、忙しい自分に対する特別な気遣いや敬いを求めていることが多いでしょう。

部下の目からすれば、仕事量をコントロールできない能力の低さが露呈していることに気が付かないのです。

自己中心的な面や、一貫性の無い言動が目立つ

自己中心的、または一貫性の無い発言やふるまいが目立つ点も、仕事ができない上司の特徴です。

例えば、

  • 自分はいい加減な態度でいる割に、日頃から部下の勤務態度や服装について細かく注意する
  • 部下のミスを事細かに追及する一方で、自分がミスをしたときは認めなかったり、謝らなかったりする
  • 上層部に対する態度と部下に対する態度が違う
  • そのときの気分や状況によって、指示の内容がコロコロ変わる

などが分かりやすい例でしょう。

仕事のできない上司の多くは、自分だけは特別なポジションにいて、多少の勝手は許されるのだと勘違いをしているのです。また、そもそも誠実さに乏しく、その場のノリで適当に過ごしているため、言動にブレがあるケースもあります。

口だけで自分では動かない

口先だけは立派で実際の行動が伴わないという点も、仕事ができない上司の特徴です。

このような上司は、例えば、

  • 「○○さん、コピー用紙が切れていたよ」
  • 「△△、まだ発注していないのか」

など、日頃から自分は動かずに、部下にばかり仕事を押し付けている節があるでしょう。指示が具体的でなく、丸投げしていることもよくあります。

また、

  • 「自分ならもっとうまくできた」
  • 「やっぱり失敗すると思っていた」

など、部下に文句や嫌みを言うことがあります。優秀な上司であれば、部下が失敗したときにも、一緒に反省点を考え、次に生かせるよう促すことができるはずです。また、そもそも失敗しないよう、事前に一緒に最善の策を考えたり、アドバイスをくれたりするでしょう。

感情的で対話ができない

すぐに感情的になってしまい、落ち着いて対話ができない点も、仕事ができない上司の特徴です。

マネジメント職には客観的な視点や冷静に判断する力が必須なため、すぐに感情的になる人には不向きであるといえます。

また部下がミスをしたときや仕事がうまくいかなかったとき、いら立ちを隠さないような上司であれば、周囲のメンバーはおびえてしまうでしょう。そればかりか「この人は大人なのに感情の抑制もできないのか」と、上司をさげすむようになる可能性もあります。

どのような場面でも相手の話を最後まで聞き、冷静な話し合いを重ねられることも、上司として求められるスキルの一つです。

責任を負うことを避ける

自分が負うべき責任を避けていることも、仕事ができない上司の特徴です。 このような上司は、例えば、

  • 部下のミスが発覚したときに、自分自身はそのプロジェクトに携わっていないことを主張する
  • 部署の業績悪化は、部下の能力やモチベーションの低さが理由だと言い逃れする

など、「悪いのは自分ではなく周囲である」という姿勢でいます。たとえ自分の助言によって起こった結果であったとしても、「実際に行動したのは部下である」として、責任から逃れようとする人も。

上司たるもの、「部下のしたことは自分の責任でもある」という考えや態度でいてほしいものです。

また、難易度が高そうな案件を振られたときは、はじめから他者に一任して逃げることもあるでしょう。

仕事ができない上司への対処法

  • 仕事ができない上司への対処方法

    仕事ができない上司には、どう接したらいいのでしょうか?

ここでは、仕事ができない上司への対処の仕方をご紹介します。

より立場の高い人から意見をもらう

仕事ができない上司よりも、より高い立場の人に相談することは、対処法の一つです。

仕事ができない上司の多くは、自分よりも立場が上の人間に対して強く出られないものです。

そのため、

  • 上司の上司にあたる人に意見を仰ぐ
  • 上司の上司にあたる人に、問題の上司に対して直接言葉を掛けてもらう
  • 人事部に相談する

などの行動を起こすことで、状況が改善する可能性があります。すぐに好転しないとしても、部下として感じている問題を上層部に共有することは重要です。

このとき大切なのは、上司のどういった点が問題なのか、きちんと説明できるようにしておくことです。ただ「上司が仕事ができなくて困っている」と漠然と訴えるだけでは、相手に理解してもらえませんし、適切な処理も期待できません。

例えばどんな状況のときに、どういった対応をされて、あるいは対応をしてもらえなくて、どのように困ったのか、具体例を複数用意しておきましょう。

あきらめて上司と距離を取る、必要以上に関わらない

物理的に上司との距離を取ることも、一つの対処法です。業務に必要な最低限の接触のみにとどめて、それ以外ではできるだけ関わらないようにします。

ただしそのためには、自分の裁量でできることは自己責任で進めていかなければなりません。ある程度のキャリアがある人におすすめの方法といえます。

また、相手が上司である以上、報連相は欠かさないようにしましょう。上司の確認や承認が必要なところでは、確実にチェックをもらうことが重要です。

成果を出して出世を目指す

部下として成果を出して、出世することも対処法の一つといえます。

自分の立場を上げてしまえば、問題の上司はむやみに口出しができなくなるはずです。また自分の裁量が増えるため、業務を進めやすくなるでしょう。

加えて、自分が問題の上司と同等の立場か、それ以上の立場になれば、自ら彼らに指示を出して動いてもらうことも可能になります。

問題の上司の仕事ができない理由が、調整や自己管理が苦手な点にあるならば、あなたがサポートすることで、仕事ぶりが劇的に改善される可能性もあるでしょう。

異動希望を出す、転職する

できる限りの対処はしたものの、状況が改善されないときは、環境を変えてしまうのも一つの方法です。

異動願や退職願を出して、問題のある上司と離れましょう。そうすることで、上司から受けていたストレスからは確実に解放されます。

ただしこの方法は、次の職場でもダメな上司にあたるというリスクをはらんでいます。異動先や転職先の環境をよく下調べして、内部の情報を得ておくことが重要です。

ボスマネジメントで上司をうまく使おう

  • ボスマネジメントとは

    自分が上司を動かすという手もあります

ボスマネジメントとは、業務を円滑に遂行し、目標を達成するために、部下側から上司に対してのマネジメント術のことです。

前述の通り、マネジメントは本来上司の役割です。しかし、肝心の上司にその能力がないのであれば、部下が上司をマネジメントすることも考えなくてはなりません。

部下の望む方向、望むタイミングに上司が行動するよう、積極的にフォローして誘導します。

ただし、上司を変えようとするのは避けます。人間はそう簡単に変えられるものではなく、無理に変えようとしても反感から人間関係がこじれてしまう危険があるからです。

上司の考えや好みを理解し、それに合わせてアプローチすることで、上司の信頼を得ることが大切です。コミュニケーションを密にし、自分の業務の方向性を認めてもらうことに主軸を置きましょう。

使えない上司に悩まされる日々を改善しよう

残念ながら部下は、上司を選ぶことができません。仕事ができない、仕事をしない上司に悩まされる日々は、ストレスがたまるものです。

しかしその環境に甘んじて何もしないままでは、あなたの貴重な時間や、成長機会を奪われることになります。

問題の上司よりも上の立場の人から忠告してもらう、上司と距離を取る、異動や転職を検討するなど、思い切って行動してみましょう。