ジェーエムエーシステムズ(以下、JMAS)が開発した、ユーザーの興味関心の傾向を可視化するWebサービス「LOGIOペルソナ分析」。この分析に欠かせないのがNTTタウンページの「タウンページデータベース」だ。タウンページデータベースの役割と強み、そしてLOGIOの魅力について聞いてみよう。

  • 「LOGIOペルソナ分析」を開発したJMASとNTTタウンページのみなさん

「LOGIOペルソナ分析」とは?

JMASとピース企画が共同開発した「LOGIO(ロヂオ)ペルソナ分析」は、どのような人々が、どのような場所で、どのような活動をしているかを可視化するWebサービスだ。位置情報ビッグデータとスポットデータを掛け合わせ、独自の特許技術を用いてユーザーの興味関心の傾向を算出し可視化している。

「たとえば東京ドームといった大型商業施設や観光スポットを分析する場合、まず位置情報を用いて来場者を統計的に認識します。さらに、来場当日の位置情報とそれ以外、つまり日常的な位置情報とに分解します。このように整えたデータに対しスポットデータを掛け合わせ分析することで、高級志向・アクティブ志向・健康志向といった行動の特徴によって分類したグループごとの統計データを生成できます。つまり、お客様グループごとにどのような興味や目的を持って当該施設を訪れ、その前後に周辺をどのように利用しているのか、といった情報を把握できるのがLOGIOです」(JMAS 傳寳氏)。

  • ジェーエムエーシステムズ 事業企画部 部長 傳寳幸宏 氏

昨今、自治体は観光資源を活用するため、さまざまな情報を集めている。もっとも一般的な手法はアンケートに回答してもらうことだが、やはり答えてくれる人数は限られ、十分なデータが得られないことが多い。だがLOGIOを用いれば、より多くの情報をより精度と鮮度の高い形で知ることができるだろう。自治体や施設、店舗が効果的なプロモーションを行うことが可能となる。

LOGIOは2021年に実証実験を終え、現在は月額制でサービスを提供している。そんなJMASとアライアンスを組み、ともにLOGIOの開発に携わっているのがNTTタウンページだ。

タウンページデータベースがもたらした価値とは?

「LOGIO」には鍵となる2つのデータがある。ひとつ目はNTTドコモの位置情報データ(別途同意をいただいた方のデータ)、そしてもうひとつがNTTタウンページのスポットデータだ。NTTタウンページの「タウンページデータベース」(以下、TPDB)は、職業別電話帳「タウンページ」に掲載されている約600万件(2022年3月時点)の事業所データを提供するサービス。国内最大級の情報量、情報鮮度、業種区分、パーミッション(利用許諾)といった点における優位性から、大きな役割を果たしたという。

「LOGIOは、位置情報とスポットデータからペルソナ(仮想的な人物像)を導き出すというサービスですから、スポットデータに正確性が求められます。かといって、スポット数が少なければ今度は分析の精度が落ちてしまいます。TPDBは、十分なデータ量があり、かつ業種の分類をしっかりコンサルティングされており、更新頻度も高いため、説得力があると感じました」(JMAS 小笠原氏)。

  • ジェーエムエーシステムズ 事業企画部 事業企画グループ チーフシステムエンジニア 小笠原貴洋 氏

JMASがスポットデータを選定するにあたり、もっとも重視したのが信頼性だった。つまり、地図上に示された会社や店舗は本当に現存しているのか、という点だ。実証実験の過程では、実際の立地とスポットデータの立地がずれていたり、同じ会社でも電話番号ごとにデータが重複していたりという例に手を焼いてきた。TPDBは固定電話回線設置住所に紐づいたデータのため正確性が非常に高く、重複データに対してもまとめ処理がなされているため、実用的なデータになっている。

「これまでの可視化サービスでは、ある駅の周辺に何人いるのかを調べることはできましたが、LOGIOは、ターゲットとするペルソナがどのような興味関心をもつかを知ることができます。これを実現できたのはTPDBのおかげです」(JMAS 小笠原氏)。

TPDBはこれまで、カーナビや消防指令台、企業の営業リストなどに使われてきた。また人流データと掛け合わせ、観光動態レポートなどにも活用され始めているが、その可能性はまだまだ広がりを見せている。

「JMASさんから『ペルソナ分析に使いたい』と伺い、これまでよりもワンランク・ツーランク上の分析をしようとしていると感じました。TPDBに価値を感じていただけたことを非常に嬉しく思います」(NTTタウンページ 高野氏)。

  • NTTタウンページ データベース開発部 事業推進部門 ビジネスプロデュース担当 担当課長 高野綾子 氏

LOGIOから生まれる新たな広告・販売戦略

JMASとNTTタウンページがアライアンスを組み、進化を続けているLOGIO。現在はさらにゼンリンのデータベースも連携させ、さらなる発展を遂げている。これは、TPDBが電話番号に基づいたデータベースであり、電話番号がない場所の情報を補完するためだ。最終的には、機械によって解析を進め、日本人をペルソナによってグループ化していきたいという。

「たとえば同人誌即売会開催時の東京ビッグサイトとロックフェス開催時の幕張メッセの来場者を比べてみると、同人誌即売会参加者の位置情報はふだん秋葉原に多く分布し、都内にあるアニメ・カードショップなどの施設ジャンルに接触する傾向があるということが分かります。逆に、ロックフェス参加者はふだん渋谷に多く分布し、衣料品やライブハウスなどの施設ジャンルに接触しています。当然とも言える結果かもしれないですが、こうしたペルソナを統計的に自動的に算出できるということがLOGIOの強みです。また、そのためには正確なスポットデータが不可欠です。データが業態などにわかれているTPDBだからこそ、はっきりと可視化できた例だと思います」(JMAS 傳寳氏)。

LOGIOの分析は、さまざまな応用が考えられるだろう。たとえば観光であれば、江ノ島に行く人と赤レンガ倉庫に行く人の志向の違いを分析し、イベントなどに活用できる。また広告であれば、ターゲットにしたいペルソナがどの街のどのエリアに多いかを調べ、ピンポイントで広告を出稿することが可能だ。

「渋谷のスクランブル交差点に広告を出そうと思ったら、巨額の広告費が必要です。でも、そこにターゲットがいなかったら無駄ですよね。もっと費用を抑えて、効果的な広告を出せる場所もあるはずです。あるペルソナに付随する趣味嗜好を知ることができるのが、LOGIOの強みだと思います」(JMAS 傳寳氏)。

さらなる進化も予定されているLOGIOのペルソナ分析

TPDBの強みは、情報量と鮮度、分類にあると言って良いだろう。今回のLOGIOとの連携により、より一層多くのニーズに応えられるようになり、TPDBの需要はますます増加することだろう。

「NTTタウンページさんには、純粋にデータをご提供いただくだけでなく、サービスを一緒に作っていると思っていただいているのが非常にありがたいです。我々と一緒に課題解決を行ってくれます。もしかすると当社の営業よりもその中身に詳しいかも知れません」(JMAS 傳寳氏)。

「JMASさんは、TPDBの新たな価値について気づかせてくれたと思います。今後、SNS連携なども追加されれば、もっともっと可能性がひろがっていくと期待しています」(NTTタウンページ 髙橋氏)。

  • NTTタウンページ データベース開発部 事業推進部門 ビジネスプロデュース担当 髙橋類 氏

最後に、JMASの小笠原氏は、今後のLOGIOの発展と可能性について、次のように語った。

「現在、LOGIOは情報を平面的に可視化していますが、今後は3Dになることも考えられます。特定の時期、時間といった要素を付加し、切り取ったデータも作れるようになるでしょう。当社としてはさらに付加価値を増やしていきたいですし、NTTタウンページさんにもそういったニーズをフィードバックしつつ、力を合わせてより良いものにしていきたいですね」(JMAS 小笠原氏)。