ビジネスシーンなどで使用される「異存ありません」というフレーズですが、意味や使い方をご存知ですか? 見聞きしたことがあっても、意味や使い方はよくわからないという方もいるでしょう。
今回は「異存ありません」の意味や使い方、敬語として正しいのかを解説します。
「異存ありません」の意味とは?
「異存」とは、他とは異なる考え方や、反対の意見、不服な気持ち、などの意味があります。「異存」に「ありません」と否定を合わせることで、「反対意見や不服がない」ということを丁寧に表した表現です。
「異存ありません」は敬語? 目上・上司に使うと失礼?
「異存ありません」は、正しい敬語表現なので、目上の人や取引先にも使用できます。目上の方や上司に対して使用する場合は、より丁寧な表現である「異存ございません」を使用すると、なおいいでしょう。
「異存ありません」の正しい使い方
ここまで「異存ありません」の意味について解説しましたが、注意しなければならないことがあります。
それは、「異存ありません」は「賛成」を表しているのではなく、あくまでも「反対ではない」という意味合いが強い場合に使われるということです。
そのため、積極的な賛成の意を伝えたい場合には使用しません。会議の場などで、自分に反対の意見や考えがないときに「異存ありません(ございません)」と使用するのが一般的です。
「異存ありません」の例文
ここからは「異存ありません」を使用した例文をいくつか紹介します。 ビジネスシーンでは上司や取引先に対して使用する場面が多いため、失礼にならないよう注意しましょう。
会議で意見を求められた場合
会議などで「この方針に対してなにか意見がありますか?」「このプロジェクトに彼を抜擢しようと思うが、どう思う?」など自分の意見を求められて、特に反対ではない場合は、下記のように「異存ありません」を使用します。
- 「その方針に関しては異存ありません」
- 「彼を抜擢することに異存ありません」
ビジネスメールで使用する場合
「異存ありません」は取引先やビジネス相手にも使用できる言葉です。したがって、ビジネスの取引先とのメールでも使用できます。
メールで「提案した内容に問題はありますか?」「このスケジュール進行で問題ないですか?」といった質問された際は、下記のように回答できます。
- 「ご提案の内容に異存はありません(ございません)」
- 「いただいたスケジュールでの進行に異存はありません(ございません)」
上司との会話で使用する場合
前述したように「異存ありません」は上司にも使用できます。
「この日程で問題ない?」「チーム編成、これで問題ないかな」など、確認を促されたときは、下記のように回答できます。
- 「日程の件、私は異存ありません(ございません)」
- 「チーム編成について、異存ありません(ございません)」
「異存ありません」の類義語
前章では「異存ありません(ございません)」を使った例文を紹介しました。 「異存ありません(ございません)」は、議論している内容についてなにか意見を求められた場合や、問題の確認を促された場合に使用することが多い言葉です。
ここからは「異存」の類義語を3つご紹介します。どれも似た意味を持つ言葉ですが、細かい意味やニュアンスが異なるため、しっかり理解しておきましょう。
異論
「異論」は「他と異なる意見」という意味です。意味としては「異存」と同じですが、ニュアンスとしては以下で異なります。
- 異存あり:確定された事項に対して不服がある
- 異論あり:議題にあがっている意見に対して違った意見がある
「異論」の場合、「反対意見」というよりは「別の意見」という意味合いが強い言葉です。たとえば、「彼女の提案について、なにか意見はありますか?」という質問に対して 「彼女の提案に異論はありません」と答えたとします。
その場合、「彼女の提案以外に、別の意見はありません」という意味合いになります。 「異存」の場合は「彼女の提案に不服はありません」という印象を与えるため、その場に応じて使い分けましょう。
異議
「異議」の意味は「反対、もしくは不服」という意味があります。「異存」との違いは以下です。
- 異存あり:確定された事項に対して不服がある
- 異議あり:一つの意見に対して反対である・不満である
「異存」は、確定事項に対して不服の有無を伝えますが「異議」は、確定事項以外にも不満や不服があることを伝えます。「異存」よりも広い場面で反対や不服を伝えられる言葉です。 また、異議は法律用語でもあるため、公的な文書にも使用されます。
異見
「異見」は他の人とは違った考えを表すため「異論」とよく似た意味・ニュアンスを持ちます。以下、例文です。
「この計画について全く異見はありません(ございません)」
上記の例文は、計画について他に意見(考え)はありません、ということを表現しています。「異論」の項目でも解説しましたが、あくまでも「別の意見」ということであり「反対意見」ではないところが重要です。
「異存ありません」を適切に活用しよう
似たような意味や共通する漢字を持ちながらも、ニュアンスや細かい部分が違うことで相手の捉え方が変わります。特に「異存」と「異論」は似ているようで違うニュアンスを持つ言葉です。正しい意味を理解して、適切に活用しましょう。