第49期棋王戦コナミグループ杯(共同通信社と観戦記掲載の21新聞社、日本将棋連盟主催)は、予選の佐々木慎七段―青嶋未来六段戦が4月3日(月)に東京・将棋会館で行われました。対局の結果、145手で勝利した佐々木七段が挑戦者決定トーナメント進出まであと2勝としました。

対振り飛車の金無双急戦

振り駒が行われた本局は、先手となった佐々木七段が角道を止めた四間飛車に組んで穏やかな序盤戦が幕を開けました。佐々木七段が美濃囲いに組んだのに対して、後手の青嶋六段は舟囲いに組んで急戦を志向します。近年流行のいわゆる金無双急戦の形に組み換えたのが青嶋六段の用意。この直後、袖飛車の要領で7筋の歩交換が起きて戦端が開かれました。

居飛車からの仕掛けを受けた先手の佐々木七段は、「戦いの起こった筋に飛車を振れ」の格言通りに7筋からの逆襲を目指します。敵陣近くに拠点の歩を打って敵飛を押さえ込んだのは佐々木七段の主張ですが、対する青嶋六段も自陣に眠る角のさばきに成功しており形勢は互角です。青嶋六段はこの角で先手の飛車を質に入れつつ反撃のタイミングをうかがいます。

玉頭戦制して佐々木七段が勝利

左辺での戦いが一段落したところで、先手の佐々木七段は3筋の歩を突っかけて戦線拡大を図りました。ここでの折衝は双方の玉のすぐそばの急所に当たるため、一手のミスが命取りになりかねません。玉頭の制空権をめぐる激しい争いが繰り広げられたのち、形勢をリードしたのは佐々木七段のほうでした。駒損ながら、手順に王手で飛び出した角が盤上中央で輝きます。

優位に立った佐々木七段は、攻めながら入手にした二枚の飛車を敵陣に打ち下ろして着実に後手玉への寄せを描きます。逆転を狙う後手の青嶋六段が繰り出す緩急自在の勝負手にも動じずに打った4筋への桂打ちが最後の決め手になりました。この桂は攻めては後手陣の急所の金を狙いつつ、受けては後手の角のにらみを止める攻防の一手になっています。

終局時刻は18時49分、攻防ともに見込みなしと認めた青嶋六段が駒を投じて佐々木七段の勝利が決まりました。勝った佐々木七段は次局で片上大輔七段と顔を合わせます。

  • 佐々木七段は快勝で自身の年度初戦を飾った

    佐々木七段は快勝で自身の年度初戦を飾った

水留 啓(将棋情報局)