第一三共ヘルスケアは、自分自身で健康を守り対処する「セルフケア」という考え方が、人生100年時代の日本に重要なテーマになることを見据え、毎年、働く人を対象に「健康とセルフケアの実態調査」を行っている。調査は2023年2月3日~6日、インターネット調査にて、全国の20~60代の働く男女1,000人に行われたもの。

セルフケアの実践率は前年より下がったが、本年5月には新型コロナ感染症が5類感染症へ変更されることなどもあり、8割近くが「今後セルフケアの重要性が増す」と回答。また、物価上昇を実感する中で、セルフケアは現状を維持したい支出第1位となった。

ケアの認知について聞くと、27.2%が「意味、内容まで知っている」、51.3%が「言葉だけは知っている、聞いたことがある」と回答し、全体の約8割(78.5%)がセルフケアという言葉を知っていることが分かった[図1]。

次に、セルフケアの対象範囲を聞くと、「からだ」が74.6%であるのに対し、「こころ」が88.1%と多くなっています。一方、「からだ」と「こころ」の両方を選択した人を集計すると、全体の約6割(63.6%)にとどまった[図2]。

次に、「セルフケアとは自分自身で健康を守り対処すること」と提示した上で、セルフケアができているか否かを聞いた。その結果、「セルフケアができている」実践率は年々低下し、今回は46.9%となり、最も低い40代では38.8%だたt[図3-1] 。 セルフケアができていない理由としては「仕事が忙しい」(46.0%)が最も多く、セルフケア実践率の最も低い40代では52.6%に上る[図3-2]。

一方、セルフケアにかける金額は、1カ月当たり平均で5,096円となり、昨年の4,488円より608円も高く(前年比114%)、全年代で上昇。特に60代は7,399円に上り、最も高い結果となった[図4]。

2020年から続いたコロナ禍、日常生活において緩和に向けた変化が進み、withコロナへのシフトが進んでいる。現在の生活に関して聞くと、約4割が「コロナ禍以前に比べ、自分 の体調変化に敏感になった」(38.8%)と回答し、3割以上が「旅行や外出などを再開している」(34.1%)、「外食にでかけるようになった」(31.3%)と回答[図5]。対面での交流が徐々に回復していることがうかがえる結果に。

セルフケアに対する考え方を聞くと、「セルフケアは共感できる考え方だ」と8割以上(83.2%)が賛同し、78.9%が「セルフケアは自分のためだけではなく、周囲や社会に良い影響を及ぼす」と回答した。また、77.3%が「今後、日本ではセルフケアの重要性が増すと思う」と回答しており、さらなるセルフケアの広がりが予想される[図6]。

人生100年時代を迎える中、望ましい働き方について聞いた。その結果、全体の24.8%が「年齢に関係なく健康が続く限りフルタイムで働きたい」、39.8%が「年齢に関係なく健康が続く限り働きたいが、フルタイムではなく日数や時間を限定して働きたい」と回答し、全体の64.6%が「健康であれば年齢に関係なく働きたい」と回答。

セルフケアと市販薬の関係を見ると、76.6%が「セルフケアのために市販薬は役立つと思う」、60.4%が「セルフケアのために 市販薬についてもっと知識を増やしていきたい」と回答しており、どちらも前年からスコアを伸ばしています[図7]。

この結果を、図3の「セルフケアができている/できていない」に基づき分けて比較すると、「セルフケアができている」人では「健康であれば年齢に関係なく働きたい」と回答した割合が69.7%となり、一層高いことが分かりました[図8]。

次に、何歳まで働きたいか聞いたところ、全体では [図9]働きたい年齢(勤労希望年齢)平均63.0歳までとなりました。年代別で見ると、年代が上がるほど働きたい年齢も上がっている。20代・30代は60歳を前にリタイアしたいと考えるのに対し、定年に直面する60代はさらに長く働きたいと考えている傾向がみられる。国の取り組みとして70歳までの 就業機会確保が進められているが、当事者世代の望む声とほぼ同様になっているとのこと。

なお、セルフケアができている人は平均63.9歳まで働きたいと考え、セルフケアができていない人の平均62.2歳に比べ、高い結果となった[図9]。

続いて働くことと健康やセルフケアに関する意識について聞いた。その結果、90.6%が「就労において健康がますます重要になると思う」、86.4%が「高齢でも元気に働けるようセルフケアがますます重要になると思う」と回答[図10]。

厚生労働省の調査によると、2019(令和元)年の日本人の平均寿命は、男性が81.41歳、女性が87.45歳。一方、健康寿命は男性が72.68歳、女性が75.38歳となっている。そこで、健康でいられると思う年齢(予想健康寿命)を聞いたところ、実際の上記健康年齢に比べ、男性は約4.1歳短い68.6歳、女性は約8.9歳短い66.5歳となった[図11]。

年代別で見ると50代、60代の予想健康寿命は70歳を超えているが、若い年代ほど短く見積もっている傾向がみられる。また、セルフケア実践の有無で予想健康寿命を見ると、セルフケアができている人では69.7歳と、セルフケアができていない人の66.0歳より、3.7歳長いことが分かった。

天候不良や国際紛争などの要因から、さまざまな商品やサービスにおいて値上げが続いている。そこで、1年前と比べた物価の上昇について聞くと、全体の約9割(94.6%)が「感じる」(感じる+やや感じる)と回答し、性・年代別でも大きな差はない[図12]。物価の上昇を感じるものは、「食料品」(94.2%)が最も高く、次いで「光熱費」(83.5%)、「日用品」(59.7%)、「外食費」(54.0%)が上位にあがった[図13]。

食費や教育費など10のジャンルに対し、「支出を抑えたい」「現状維持」「支出を増やしたい」の3択で回答してもらった。その結果、「支出を抑えたい」を選択した割合は、住宅費、光熱費、水道代、日用品などの「住まい・公共料金」(61.6%)が最も多く、次いで「外食費」(52.2%)、「衣類」(50.5%)、「通信費」(50.4%)があがった。

一方、現状維持の回答は、健康維持・増進のための「セルフケア」(63.3%)が最も多く、次いで「理・美容」(59.1%)、「教育・学習」(57.4%)、「医療費」(55.0%)があがった[図14]。

誰もが痛感する物価上昇だが、セルフケアや医療費など、健康にかける支出については維持する様子が見て取れる結果となった。