――愛憎って表裏一体なんだなと感じられる作品ですね。

石井:まさに美園と詩の関係性は「愛憎極まる」という感じです。この作品は詩と美園が復讐し合う物語かと思われるかもしれませんが、根底には愛がある。だからこそ憎しみも沸いてくるという……。でもそれは自分も含めて誰にでもあることなんだろうなと、この話をいただいたとき思いました。妬みや嫉みなど、好きだからこそ生まれる感情なのかなと。自分も美園ほどではないですが、気持ちは分かるなと思いました。

――ヘビーな作品ですが、現場の雰囲気はいかがでしたか?

吉谷:すごくいい雰囲気だったと思うのですが、私は人見知りという感覚がイマイチ分からなくて。杏奈ちゃんは人見知りなの?

石井:私は人見知りだと思う(笑)

吉谷:そういうのまったく気づかなくて……。男性陣の和田雅成さんや上杉柊平さんも、実は人見知りだったようなのですが、ご本人から聞いて「えーそうなんだ」って思ったぐらい。めちゃめちゃ明るい人だと思っていたんです。特に上杉さんは、結構同じシーンが多かったのですが、どんどん子供みたいに元気にはしゃぐようになっていって(笑)。一見クールそうなのですが、全然違う顔ですごく楽しかったです。

石井:本当にツッコんだりツッコまれたりと、とても楽しい雰囲気でしたね(笑)

――最後に本作の魅力をどのように感じているかお聞かせください。

吉谷:美園と詩のドロドロした関係というのが一番の見どころであるのは間違いないのですが、ただ憎しみ合っているだけではなく、その奥にある感情みたいなものが分かってくることによって、より物語に深みが増してくると思うので、最後までぜひご覧になってほしいです。

石井:私はこの作品を読んだとき、自分の愛や憎しみはどこに向いているのかなと考えるようになり、物事を俯瞰で見ることができました。ご覧になる方も、自分と向き合えるきっかけになったらいいなと、人間誰しもネガティブな感情を持つことはあると思います。そういった気持ちに向き合うことで、人に優しくなれるのかなと。自分がこの作品を通して成長できたので、そうやって見ていただけたらうれしいです。

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