シナネンホールディングスとシナネンモビリティPLUSはこのほど、4月1日より自転車乗車時におけるヘルメット着用が努力義務化となることを踏まえ、自転車市場の現状と今後の取り組みについての説明会を開催した。
自転車ヘルメット「毎回着用」は2割にとどまる
4月1日より自転車乗車時にヘルメットの着用が努力義務化することを踏まえ、同社では日常的に自転車を利用する一般消費者約1,200人を対象に「自転車乗車時のヘルメット着用に関する実態調査」を実施。その結果を踏まえ、モビリティPLUS代表取締役社長の三橋美和氏と、警視庁交通総務課交通安全担当管理官の川嶋泰雄氏が対談した。
まずは4月からの自転車ヘルメット着用努力義務化についての認知度について。「知っている」と答えた人は67.9%で、特に20代では80%以上の人が「知っている」と回答した。
大半の人が4月からの自転車ヘルメット着用努力義務化について認知している一方、「自転車に乗る際、毎回ヘルメットを着用している」のは約2割。約8割の人はヘルメットを着用していないことがあると回答した。
「ヘルメットを持っている」でも着用しない理由は?
さらに、そもそも「自転車用ヘルメットを持っているか?」という問いに対しては62%が「持っていない」と回答しており、「持っている」と回答した人でさえも「毎回着用している」のは約50%という結果になった。
川嶋氏はこの結果を踏まえ、「まだまだ着用率をあげていくための取り組みがさらに必要。まずはすでにヘルメットを所有しており、安全への意識が高い方にきちんと毎回着用してもらえるように取り組んでいきたい」と話した。
自転車事故は年々右肩上がりで増加しており、自転車乗用中に事故で死亡した人の損傷主部位は頭部が68.3%、そしてヘルメット着用状況別の致死率は着用0.12%に対し非着用では0.27%と約2倍にもなる。自転車事故の際、ヘルメットを着用し頭部を守れていれば最悪の事態を防げたかもしれないということだ。
なぜヘルメットを着用していれば死亡事故を防げるかもしれないのに着用しない人が多いのか。「ヘルメット着用者を増やすために必要だと思う取り組み」という項目については、1位が「持ち運びしやすいヘルメットの開発」、2位が「ヘルメット着用の重要性に関する報道の増加」、そして3位は「ヘルメット購入に対する補助制度」がランクイン。
「ヘルメットはかさばるから持ち歩くのは面倒」「そんなに大事じゃないのにお金をかけるのはもったいない」という考えが見える。川嶋氏は「持ち運びについては、ヘルメットはどうしても安全性の必要性から形状がある程度決まってしまうのは仕方がないものの、今回のようなイベントに警視庁としてもできるだけ参加し、重要性の啓発に力を入れていきたいと思う」と話した。三橋氏は「ヘルメットの重要性について情報を届けるためには、エンドユーザー様との接点がある我々のような事業者が得意な面もあると思うので、SNSなどを活用しつつ情報発信を強化していきたい」と話した。
シナネンモビリティPLUSではシェアサイクルサービス「ダイチャリ」を運営している。「自転車と共にヘルメットの貸し出しができないか?」という意見も寄せられるというが、三橋氏は「自分の頭部のサイズにあった専用のヘルメットを着用することが重要なのはもちろん、昨今の事情により衛生面への意識が高まっていることを考慮するとヘルメットは自分専用が良いのではないかと思います。弊社としてはヘルメットの重要性についての情報発信や、ヘルメットのプレゼントキャンペーンなどに取り組んでいきたい」と話した。
関西大学社会安全学部の伊藤大輔教授も「安全性を担保するためには自分に合ったヘルメットの着用が大事」とコメント。「2022年の警視庁の調査から、ヘルメットを着用していることで、事故時の致死率を37%低減することができる。ヘルメットを着用することで事故で自動車との衝突時や路面への転倒時の頭蓋骨骨折を防ぐことが期待できる」とした。
「努力義務」ではあるが、自分の命を守るためにヘルメットがどれだけ重要かを認識する必要がある。自転車に乗る際は必ず自分専用のヘルメットを着用するようにしたい。