あんちょこという言葉を聞いて、何のことかわからず困ったことがある人もいるでしょう。

本記事ではあんちょこの意味はもちろん、学校・ビジネスシーンシーンでの使い方を、例文を交えてわかりやすく解説します。あんちょこは死語なのかや由来、類語なども紹介しているので、読めばあんちょこについて詳しく理解できるはずです。

  • あんちょことは

    あんちょこという言葉について、意味や使い方、死語なのかなどについて解説します

あんちょこの意味とは、教科書を予習するための手軽な参考書のこと

あんちょことは、教科書に解答や解説を付け加えた、手軽な参考書を意味します。教科書ガイドとも呼ばれており、こちらの方があんちょこよりなじみ深いという人もいるでしょう。

あんちょこは、調べたり考えたりする手間を省けるように作られているため、予習や復習など自主学習のときにあると便利なものとされています。

あんちょこの使い方と例文

あんちょこは手軽な参考書を意味するため、主に生徒や学生が使う言葉ですが、ビジネスシーンにおいても使用される場合があります。ここでは、あんちょこの使い方について、例文を挙げながらそれぞれ解説していきましょう。

生徒・学生などが手軽に勉強するために使う

あんちょこは、参考書や教科書ガイドを意味していることかもわかるように、教科書で理解できない部分を補塡(ほてん)するものです。そのため、主に生徒や学生が手軽に勉強するために使うものとされています。

宿題として出された、教科書に載っている問題の解答を手っ取り早く得るために、あんちょこを購入する人もいるようです。

一方では、あんちょこで解答や解説を得なければ内容が理解できず、教科書を読み進められないことに恥ずかしさを覚えるという声もあります。

例文は、以下の通りです。

  • 数学の教科書を読んでも理解できなかったため、あんちょこを買った
  • 宿題を手っ取り早く終わらせるため、あんちょこを丸写しした
  • あんちょこを見ながら、教科書の予習を済ませた

ビジネスでも自分専用マニュアルなどの意味で使う

あんちょこは本来、参考書を指す言葉でしたが、「自分専用マニュアル」としてビジネスシーンで使う場合もあります。

マニュアルのない職場や、マニュアルはあるけれど補足したい場合などにおいて、仕事の手順やコツを自分でわかりやすくまとめたノートなどのことを指します。あんちょこがあれば、仕事でわからない点がある度に、いちいち調べたり、上司に聞いたりしなくて済みます。

ビジネスシーンで使うときの例文は、以下の通りです。

  • 社内に共通マニュアルがないため、自分であんちょこを作った
  • 先輩に何度も聞かなくて済むように、あんちょこを作ろう
  • 「ミスを減らすためにあんちょこを作っておくと良いよ」と先輩からアドバイスをもらった

あんちょこの語源・由来は「安直(あんちょく)」

あんちょこの語源は「安直(あんちょく)」です。「あんちょく」の音が変化して「あんちょこ」となりました。

安直とは、安価という意味のほか、物事に対する手段や対応が手軽で安易な様子やいい加減な様子を意味します。後者の意味は、ネガティブなニュアンスで使われることが多いです。

つまり、問題について自分できちんと調べず、簡単に解答を得ようとするさまを「安直」と表現したことがあんちょこの由来です。

あんちょこはどこの方言?

前述したように、あんちょこは「安直」が語源であり、全国共通語のため方言ではありません。あんちょことは、参考書のことを指す俗語です。

なお俗語とは世間で一般的に使われている言葉ですが、改まった場所では使いにくい言葉を意味します。「やばい」や「とんずら」などがあんちょこと同じく俗語です。スラングとも言います。

あんちょこは死語? 年代によっては通じないことがあるので注意

あんちょこは1932年(昭和7年)に発行された書籍『全権先生』(著・佐々木邦)にも既に記載があるように、古くから使われている言葉ですが、現在ではあまり使用されていないようです。特に若い世代には通じない場合があり、死語と言ってもいいでしょう。死語とは昔は使用されていたけれど、現在ではほとんど使われていない言葉を言います。

若い世代には、あんちょこというよりも、参考書や教科書ガイドと言い換えたほうがイメージが伝わりやすいでしょう。また、ビジネスシーンにおいてはメモ、または自分専用マニュアルなどと言い換えるといいでしょう。

  • あんちょこは死語なのか

    あんちょこという言葉は、世代などによって通じないことがあるので注意しましょう

あんちょことカンニングペーパー(カンペ)との違い

あんちょことカンニングペーパーは、似ているようで意味合いが異なります。あんちょことカンニングペーパーの違いは、不正のニュアンスがあるかです。

あんちょことは教科書のわからない点を調べたり、考えたりしないで済むように作られた参考書であり、基本的に公に認められているものを指します。

対してカンニングペーパー(略してカンペ)とは、カンニングするための用紙を意味する和製英語です。カンニング(cunning)は英語で「ずるい、狡猾な」と言った意味を持ち、日本語では試験などのときに隠し持った参考書を使ったり、他者の答案を盗み見たりして不正行為をすることです。

つまりカンニングペーパーは、試験などで不正行為をするために隠し持った、解答がわかる紙のことを指します。

なおカンニングペーパーは、テレビ放送などのシーンでも使われます。テレビ画面には映らない場所から、ADなどのスタッフが出演者に指示を出すボードもカンニングペーパー(カンペ)と呼びます。この場合は不正といったニュアンスは無いので留意しましょう。

あんちょこの類語・言い換え表現

ここからは、あんちょこの類語や言い換え表現について解説していきます。

虎の巻

あんちょこの類語には、虎の巻があります。虎の巻の意味は、以下の3つです。

  1. 兵法の秘伝について記した書物
  2. 芸事などの秘伝、上達する秘訣について記した書物
  3. 講義などの種本。また、教科書の内容の解説や、問題の解答などが書いてある参考書

この3つ目が、あんちょこに近い意味として使用されています。なお「虎の巻」は、古代中国(周時代)の兵法書である『六韜(りくとう)』が由来とされているそうです。

六韜は、以下の6巻からなります。

  • 文韜
  • 武韜
  • 龍韜(竜韜)
  • 虎韜
  • 豹韜
  • 犬韜

この六韜のうち、『虎韜(ことう)の巻』が兵法書の代名詞として使われるようになったことが元となって、「虎の巻」という言葉ができたそうです。

参考書

虎の巻のほか、あんちょこの言い換えには参考書があります。参考書とは、ある事柄を調べるのに際して用いるもの、学習や調査、研究などの参考として使用する書物のことです。特に、教科書と並行して使用する、学習用に販売されているもののことを指します。

あんちょこ(アンチョコ)の意味を正しく理解して使いこなそう

あんちょことは、教科書の予習などを目的に、解説や解答を付けた手軽な参考書のことであり、主に生徒・学生が自習するときに使うものです。ビジネスシーンにおいては、自分専用マニュアル、自分用の作業手順メモといった意味でも使われます。

あんちょこは「安直」が語源のため方言ではありませんが、特に若い世代には通じないことがあり、いわば死語とされています。

そのため若い世代にはあんちょこではなく、参考書や虎の巻、教科書ガイドなどと言い換える方が、意味が通じやすいでしょう。

カンニングペーパーとの違いなどについても理解を深め、あんちょこを正しく使いこなしましょう。