『市村座』の公開ゲネプロが25日に東京・日生劇場で行われ、市村正親が取材に応じた。

  • 市村正親

    市村正親

同作は市村による一人舞台。1997年に旗揚げされて以来第10回を迎え、今回は口上にはじまり、一人芝居仕立ての三遊亭圓朝の落語『死神』や、これまでに市村が出演してきた40を超えるミュージカル全作品を、MCを挟みながら振り返る。

「74ちゃいです」と登場した市村は、「最初は小さいデパートのホールだったんですけど、天下の日生劇場で10周年を迎えることが本当にありがたいです。なにせ74ちゃいですから体力が持つかどうかすごく心配で、まさしく体力勝負だなという感じがします」と同作についての思いを表す。役者人生50年を迎え、「1個言えるのは、幸せな役者人生をいまだに送ってる。市村座という1人しかいない舞台に皆さんが来てくださるわけだから裏切っちゃいけないと同時にお客さんから元気もらって、またもう一つチャレンジできたらいいな」と意気込んだ。

今作には、長男でありホリプロに所属することとなった14歳の市村優汰と、11歳の次男も応援に駆けつける。市村は「僕が若い頃に歌った歌をお兄ちゃん(優汰)が歌ってると、後ろに僕の若い頃の写真がありますから、やっぱり親子だなあという感じで似てる部分がある。お客さんもそうお思いになるんじゃないかな」としみじみ。「弟の方も僕がやってきた役で2曲歌うので、本人としては初舞台ですからね。緊張してるのかなと思ったら意外と口上のセリフを誰よりも早く覚えて、楽しい楽しいって言ってる」と明かす。

長男・優汰はタップも披露し、市村は「優汰の踊りいいですよ。4~5年タップやってましたので、『ビリー・エリオット』のオーディションに落ちてから真剣にやり始めて、僕よりも遥かに踏めるので、恐れ入りました」と称賛。息子の将来について聞かれると「有望かどうかはわかんないですけど、これから試練があると思いますよ。試練があった方がいいんですよ。痛みを堪えて傷ついてその中から『なにくそ』というのがあった方が、実はいい。これから世間の荒波に揉まれてくれば、奥に行けるんじゃないかなとは思います」と見解を示した。

アドバイスすることはあるのかという質問には「楽屋に入ったら服はかけなさいよとか、たたみなさいよとか、誰が来るかわかんないんだからと、今日言いました。歌唱については先生がいるし、お芝居については演出家、踊りも先生に任せて」と答えつつ、「親に言われると聞かないもんでしょ。こっそり演出家のところに行って『こういうふうに言っといていただけると助かります』、振り付けの先生に『あそこもうちょっと背筋伸ばした方がいいって、そこだけ言っといて』って。楽しいですよ」とこっそり助言もしている様子。

息子たちについても「上と下はキャラクターが違って面白いですね。上の方はどっちかというと用心深い、下の方は大胆で。繊細さと大胆さが両方がうまい色を出してるので、面白いなと思って、僕と(篠原)涼子の血がしっかり混ざってますからね。こちらもいろんな発見をさせてもらってて。お兄ちゃんとか弟の歌のうまさはママ似で、ひょうきんな部分は僕なのかな?」と語っていた。

東京公演は日生劇場にて2月26日~28日、大阪公演はNHK 大阪ホールにて3月3日、博多公演は博多座にて3月4日~5日、川越公演はウェスタ川越 大ホールにて3月8日、仙台公演は電力ホールにて3月10日。